blog. 連載コラム~おもてなし接客術~

おもてなし接客術②-おもてなしとは備えること

Posted on 2013-11-21

旬刊旅行新聞11月21日号に掲載されたコラム『おもてなし接客術』②です。
「おもてなしとは備えること」

おもてなし接客術②

先日、間もなく1歳になる娘を連れて、都内にあるホテルのレストランに行きました。
レストランには事前に電話で、0歳児連れでも問題無いということを確認したうえで
予約を入れていました。

しかし、席に案内されるとベビーチェアはおろか、ソファー席もあるにもかかわらず
普通の椅子テーブル席に案内されました。

途中、お手洗いに行こうと思い席を立ちましたが、ホテル内は広く、
8㌔近くある子供を抱っこしながらの移動は一苦労。
なるべく無駄な動きをしないで済むように、自分で探すよりも聞いた方が早いと判断し、
出入り口近くにいたレストランの女性スタッフに聞くことにしました。

「ベビーチェアの付いた個室のあるお手洗いに行きたいのですが」と声をかけると、
そのスタッフは近くにいた上司のような風格の男性スタッフに、近くのお手洗いの場所を示しながら
「あちらのお手洗いってベビーチェアは付いていましたっけ?」と質問。
その男性スタッフも把握していないようで、「見に行ってみて」と指示を出しました。

その後、こちらに「ただいま確認いたしますので少々お待ち下さい」と、一言残して
そのままお手洗いに確認に行ってしまいました。

このとき、こちらは子供を抱っこしながら立ったままの状態です。
しばらくすると、そのスタッフが戻ってきて「あちらのお手洗いにございました。ご案内いたします」と
先導してくださいました。

老舗の一流ホテルのため期待が大きかったこともあるかもしれませんが、
まさかこのような対応を受けるとは思いませんでした。
0歳児が来ることは事前に分かっていたにもかかわらず、席への配慮もなければ、
ベビーチェアのあるお手洗いの場所すら確認していないのです。
挙句の果てには、お客様を立たせたまま待たせる対応には開いた口も塞がりませんでした。

もちろんお客は私だけではないですし特別扱いしてほしいというつもりはないのですが、
お客様のことを“思って為す”「おもてなし」はまったくできていないと評価せざるを得ません。

これだけ特徴的な客が来ても何も準備をできないのであれば、
一般的なお客様へのおもてなしなんて到底できていないのでしょう。

事前に0歳児連れのお客様がいらっしゃることが分かれば、「ベビーチェアは必要か」
「椅子席よりもソファー席の方が良いか」「オムツが変えられるお手洗いはどこか」など、
要望や質問を想定し、スタッフ全員で対応できるようそのときに備えることこそが「おもてなし」です。

このホテルは多くの外国人も迎えている有名ホテル。
「日本といえばおもてなしの国」が定着しつつある今日、このホテルの接客が日本のおもてなしと
認識されて良いものかと警鐘を鳴らしたい気持ちで一杯です。

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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