連載コラム~おもてなし接客術~

『おもてなし接客術』㉒―「すべきことをしないのもおもてなし」

Posted on 2016-12-20

旬刊旅行新聞12月11・21日合併号に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㉒です。
「すべきことをしないのもおもてなし」

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先日、ある旅館から「お客様のお見送りはしたいのですが、ご出発時にカーナビの設定をするお客様が多く、その設定を待っていると、逆に急かしてしまっているようで申し訳なく思ってしまいます。スマートなお見送りの仕方はないでしょうか」というご相談を頂きました。

私も旅館に泊まって出発する際、こういう場面に出くわすことが多くあります。見送りで女将や仲居さんを待たせてしまうのは申し訳ないので、前の日のチェックインの際に、翌日の目的地をカーナビで設定するようにしています。
もし前日に設定ができなかった場合は、「ナビを設定しますので、もう結構ですよ」と見送りを遠慮するのですが、「どうぞごゆっくり設定なさってください」と、結局待たれてしまいます。そんなときは、取り敢えず出発して、後で一旦車を止めて、ナビを設定しますので、ご相談される旅館側の心情もよく理解できます。

お見送りする側(旅館サイド)としては、純粋にお見送りがしたいと思っているはずで、その際に、例えお客様がカーナビの設定を始めても、まさか「早く行け」とは思っていないはずです。

一方で、見送られる側(お客様サイド)は、車の外で出発を待っているスタッフの姿を見ると、「仲居さんを待たせて出発にもたつくのは不格好だし、取り敢えず早く出発しないと」と、急かされるような気持ちになるわけです。

このように、見送られる側の配慮や心情を考慮すると、お客様のことを「思って、為す」ことを「おもてなし」と考えた時に、最後までお見送りをすることが必ずしも最善であるとは限りません。

実はこういった事情に対して、具体的な策を講じているお宿があります。そこではWebサイトやチェックインの際、お客様にお渡しするツールの中に、「私たちがお見送りをしようといつまでも側に立ってしまうと、お客様が気忙しく感じられるでしょうから、ご出発になるまでのお見送りを社員に推奨しておりません」と明記されています。それが、季粋の宿 紋屋の「お見送り」項目http://www.monya.co.jp/story5.htmlです。

他の旅館と比較すると、ややあっさりしているなという印象はありますが、宿側のコメントにある通り、落ち着いてカーナビやシートを設定することができて、むしろ「快適で気が利くな」と感じました。

今回、見送り時の悩みをご相談いただいたお宿には、お会計の際にフロントカウンターにこのような記載をすることを提案させていただきました。

「マニュアルにあることはリアルの接客の1割でしかない。あとの9割はスタッフ自身で考えて作っていかなければならない」。これはある旅館の女将さんの言葉ですが、『おもてなし接客』とはこのことなのです。

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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