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一般社員とも経営状況や先行き見通しを共有しよう

Posted on 2020-09-02

GoToトラベルが始まり、先日初めて旅行者としてある宿泊施設に泊まってきました。

周りの旅行者を見ると、いわゆる「新しい旅のエチケット」を携帯しながら旅行を楽しんでいる方ばかりで、部屋から大浴場に行く間もきちんとマスクを着用している方がほとんどでした。

色々な制限がありながらも、場面ごとにメリハリを設けて上手に楽しんでいるという印象でした。

 

宿側のスタッフの動きを観察すると、『作業』が増えていることを目の当たりにします。

コロナやGoToトラベル事業が始まる前には無かったであろう作業が目に付きましたので、その作業項目と目安の所要時間をまとめてみました。 

 

<送迎バス~行き~>

1.乗り込む前のアルコール消毒(3秒) 

<宿のエントランス>

2.検温(5秒)

3.アルコール消毒(3秒) 

<チェックイン時>

4.同意書への説明と署名依頼(万が一コロナ陽性者が出た場合にお客様情報を保健所へ提出する旨等)(60秒~)

<大浴場>

5.脱衣カゴの毎回の消毒(15秒×2回(←滞在中の入浴回数)=30秒) 

<食事会場>

6.マスクケースの設置(3秒) 

<チェックアウト時>

7.GoToトラベル事業向けの書類説明(60秒~) 

<送迎バス~帰り~>

8.乗り込む前のアルコール消毒(3秒) 

 

これらの所要時間を合計すると、お客様(代表者)一人につき最低でも165秒、2分45秒掛かっていることが判ります。

代表者でないお客様(同伴者)には、上記4.と7.のステップが省けるため最低45秒掛かっていると計算します。

仮に、100室の宿が満室になったことを想定すると、

代表者は100名なので、100名×165秒=275分=4.5時間

代表者のお連れ様が平均2人(同伴係数3人)とすると、200名×45秒=150分=2.5時間

実に合計7時間分がコロナ対策とGoToトラベル事業に費やされているのだなと計算してしまいました。(ご承知の通りあくまでお客様の目の前で行われる作業時間だけです。)

スタッフの勤務時間中の『作業』が増えるということで、この7時間分が勤務時間にプラスされるという意味合いではありません。

但し、エントランスでの検温や、同意書の説明、GoToトラベル事業書類の説明等、人が集中したり時間を要する場面では、スタッフを増やさないと対応できず人件費がかさんでいるケースもあるでしょう。

『作業』時間が増えている反面、スタッフがお客様とコミュニケーションをする『接客』時間は削がれているという構図です。

この2分45秒という時間を『接客』時間に割ければどれだけ顧客の情報を引き出して、関係性づくりができるだろうかと考えてしまいます。 

 

宿泊施設、特に旅館で働くスタッフは往々にして接客好きが多いです。

顧客とのコミュニケーションを経て、その成功を喜んだり、失敗を反省したりして、最終的には顧客に感謝されることに仕事のやりがいを見出す方が大勢いらっしゃいます。

そのスタッフに極力『接客』時間を減らし『作業』時間を増やすように指示しなければならないのが今の状況です。

彼らの仕事に対するモチベーションが低下しやすい環境にあるのは言うまでもありません。

ましてや、緊急事態宣言下に長期休業を経験し、緊急事態宣言が明けても各地方自治体での旅行補助券やGoToトラベルキャンペーンが始まるまでの間、以前のような集客ができずに「この先どうなるのだろう」と自身の雇用状態も含め先行きに不安を抱きながら働いている方がほとんどだと思います。

 

私の話ですが、コロナ以降観光業界とは無縁の知人と会うと必ずと言って良い程「観光業界はいま一番厳しい業界だよね」と声を掛けられます。

恐らく宿泊施設で働くスタッフの皆様も、家族や知人から日々同じような言葉をかけられているものと思います。周囲の人はメディアで頻繁に「観光業界は大変だ」と取り沙汰されている様子をみて何気無く話題にしている程度だと思いますが、その業界で働くスタッフは言われるたびに非常に重い言葉として受け止めているでしょう。

「自分の働く会社はいつまでもつのか、自分の雇用はいつまで守られるのか、失業したらどうしよう。」等を言葉には出さずとも悶々と悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。

それに加え「(自分が)絶対に新型コロナウイルスに感染してはいけない」というプレッシャーを抱えながら、日々全国各地からいらっしゃる宿泊客と接するわけですから、仕事中の緊張感もこれまでとは比べものにならない程と察します。

 

それでも、この8月は夏休みに加えGoToトラベルの給付金もあったことで、6~7月までよりは多くの集客ができ、少しは気が晴れたスタッフも多いでしょう。

さらに来月以降は、日付が決まっていないものの、地域共通クーポンが発行されたり、遅かれ早かれ除外されてきた東京都民(1300万人)もGoToトラベルの対象となるでしょうから、当面観光業界に追い風が吹くことが予想されます。

 

このように目の前にそれなりにお客様がいらっしゃるうちは良いのですが、問題はそれが終焉を迎えた時です。

現時点でのGoToトラベルキャンペーンは2021年1月迄と言われていますので、来年2月以降のことを考えなければなりません。

 

経営者としては、この度厚生労働省から正式に発表された雇用調整助成金の特例措置の延長があったり、政府系金融機関からコロナ向けの特別貸付制度や固定資産税の減免、その他の助成金・補助金制度も最大限活用して、資金繰りの見通しを立てているでしょう。経営者と一部の幹部社員は状況を把握していて、「現状の売上規模でもあと〇ヶ月は大丈夫」等というシミュレーションができているかも知れません。

一般社員ともこのような見通しを共有出来ている場合は良いのですが、そうでない場合は、きちんと説明することをお勧めします。

労働中の心理状態は顧客対応にも反映されますから、日々先行きの不安に駆られていては良い接客は提供できないでしょう。

詳細の数字までを説明する必要は無いと思うので、

「GoToが終わって以前の状況が戻っても〇年〇月までは大丈夫」

「とはいえ、月に〇千万円売り上げないと赤字が出てしまうので、なんとか〇千万円は超えるようにお願いしたい」

「まだ借り入れ枠が残っているので、万が一の時は運転資金を借りてでも雇用を維持しようと思っている」等目安や経営方針は伝えておいて、社員に“余計な”不安を与えないような労働環境を整えることが必要です。

 

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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