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GoToトラベル事業再開前に十分な検証を行い、現場の声を聞いてほしい

Posted on 2021-02-16

2月10日付けで観光庁のサイトにて「GoToトラベル事業における利用実績等について」が発表されました。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000499.html

概要を抜粋すると
―――
2020年7月22日~12月28日チェックアウト分の利用実績として、

利用人泊数…少なくとも約8,781万人泊

支援額…少なくとも約5,399億円
 宿泊・旅行代金の割引 …少なくとも約4,082億円
 地域共通クーポン利用額…少なくとも約1,317億円 ※10月1日~スタート

一人泊当たり割引支援額…約 4,649円
一人泊当たり旅行代金 …約13,282円
―――

コロナの影響が無かった令和元年8月~12月の日本人延べ宿泊数が2億1,258万人(観光庁・宿泊旅行統計調査より)であったのと比較すると、おおよそ前年同期比41.3%の利用実績であったことがわかります。

コロナ禍で、主に旅行消費の中心層である高齢者が出控えをしていたことを考えると、まずまずの数字なのかと思います。

『Go To トラベル事業における利用価格帯分布(7~10月/宿泊旅行)』
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001386457.pdf を見ると、
―――
宿泊単品は、“5,000円以上10,000円未満”の利用者が最も多い41.1%を占め、次いで“5,000円未満”が多く、比較的低価格帯の利用が中心となっている。
―――
という結果も公表されていました。

GoToトラベルが始まってから「単価が高い宿にばかりお客が集中している」といった話題が沸騰したため、このようなデータの発表に至ったかと思います。

ただし、料金のかからない幼児や数千円の施設使用料だけの幼児、大人の半額程度の子供も大人と同様に単価算出の際の頭数にカウントされていることを考慮すると、実際の一人泊当たり旅行代金はもう少し高額になると推定されますので、鵜呑みにはできない指標であります。

GoToトラベルの事業予算は当初予算からするとかなり増額されており、当面の予算不足を補うため12月に予備費から約3119億円が支出され、さらに2020年度第3次補正予算案には約1兆311億円が計上され、総予算額が約2.7兆円となっています。

従って、上記の2020年12月28日チェックアウト分の利用実績における消化率は全体の20%にも達していません。
年末年始のキャンセル補填額でどの程度上振れするかは未知数ですが、かなり多めに見て倍額と試算しても40%未満と言えます。

閣議決定された追加経済対策では『6月末までとすることを基本の想定』とされているため、残りの60%、1兆6,200万円をそれまでに消化しきることが前提となっています。

とはいえ、2月13日現在、GoToトラベル再開の見込みは立っておらず、世間では「五輪が終わってから再開させるのでは?」という噂話も出てきている位です。
私個人的には、昨年のGoToトラベル事業のスタートが、旅行需要が高まる夏休み前であったことから、4月下旬の連休前に焦点を併せて再開するのではないかと見込んでいます。

仮に今直ぐにこれまでと同じ制度内容で再開したとしても、これまでの消化率や時期的なものを考慮すると、6月末までに消化しきるのは絶対に不可能と言えます。

GoToトラベル予算、事業再開なら十分消化は可能=赤羽国交相
https://jp.reuters.com/article/%EF%BC%A7%EF%BD%8F%EF%BC%B4%EF%BD%8F%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%99%E3%83%AB%E4%BA%88%E7%AE%97-%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%86%8D%E9%96%8B%E3%81%AA%E3%82%89%E5%8D%81%E5%88%86%E6%B6%88%E5%8C%96%E3%81%AF%E5%8F%AF%E8%83%BD%EF%BC%9D%E8%B5%A4%E7%BE%BD%E5%9B%BD%E4%BA%A4%E7%9B%B8-idJPL4N2KI1CN
において、
―――
「国内旅行需要は年間22兆円。うち4割がビジネス、6割が個人。
個人の50%が利用すると仮定しても毎月3000億円以上GoTo事業が利用されてもおかしくない」と試算を披露した。
―――
との記事がありましたが、どのような期間・根拠に基づいての試算なのでしょうか。私にとっては全くもって不明でした。

これまでのGoToトラベル事業期間に於いて、1度の支援額が大きいことによる
・当該事業期間中と終了した後の需要の落ち込み幅への懸念
・客層の悪化
等を理由に、旅行金額の50%という支援額の見直しを要望する声が各地で聞こえていました。

旅館では連日満室近くの予約が入るので、そのために派遣スタッフを雇ったりと、受け入れ態勢にも負担が大きいものでした。

改善案としては、1度の支援額を減らして、その分予算の消化スピードを遅らせて、長期間GoToトラベル事業の恩恵を受けられた方が利用者にとっても受け入れ側とっても良いのではないかという考えです。
稼働100%が短期間続くよりも、稼働70%が長期間続く方がバランスが保てますし、密を避けることにも繋がります。

それが、GoToトラベル事業予算の消化(使い切り)を目的としてしまうと、これまでよりも支援額を増額したり、条件緩和の方向に向かってしまうことが容易に想像できます。
そんなことになっては以前よりも状態が悪化することは目に見えてわかります。

GoToトラベルの一旦停止中である今こそ、こらまでの実績を検証し、宿泊業・観光業・旅行業の現場の声を参考に、事業期間の延長を主とした柔軟な議論を重ねてもらいたいと考えています。
GoToトラベル事業が失策ではなく、必要な経済対策であったと評価されるためにも大切なことです。

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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