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コロナと共生しながら旅行を楽しむステージへ進もう

Posted on 2022-01-17

令和3年度版「観光白書」資料編の309ページに『1世帯当たり旅行関連支出の推移』というグラフがあります。

このグラフから確認できるのは、2012年から2020年にかけての以下の3項目の推移です。
1.1世帯あたりの旅行関連支出
2.旅行関連支出の自由時間関連支出に占める割合
3.旅行関連支出の全消費支出に占める割合

2012年から2019年にかけて、「1.1世帯あたりの旅行関連支出」は118,280円~129,455円の間で推移していたのが、新型コロナウイルスがまん延した2020年は前年比61%減の49,917円迄落ち込みました。

2019年と2020年の支出額を比較すると、
・2019年 129,194円/世帯 × 約5400万世帯=6兆9764億円
・2020年  49,917円/世帯 × 約5400万世帯=2兆6955億円
-4兆2,809億円という規模です。

日本のGDPは、2019年は559兆円、2020年は-4.8%の538兆円でしたから、旅行業界がGDPに与えた影響も少なく無いことが判ります。

「2.旅行関連支出の自由時間関連支出に占める割合」は18.9%~19.5%の間で推移していたのが、2020年は前年比9.6ポイント減の9.9%となり、「3.旅行関連支出の全消費支出に占める割合」は3.4%~3.7%の間で推移していたのが、2020年は前年比2.2ポイント減の1.5%までに激減しました。
(総務省統計局のデータによると、2020年の世帯当たりの年間消費支出は約333万円)

このパーセンテージの落ち込みを見ると、旅行が“不要・不急の”消費行動であることが示されるのと同時に、政府や自治体の要請による行動制限に大きく影響されることが判います。

2020年の数値がここまで悪いのは、言うまでも無く、新型コロナウイルスがどんな病気かが良く分からない上ワクチンも開発されておらず、海外渡航や国内の空の便も厳しく制限されていたこと、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの政府や行政からの要請があったためでしょう。

それでも断続的にGoToトラベルキャンペーンがあった上でのこの結果です。
万が一GoToトラベルキャンペーンが無かったことを考えるとこれ以上、どのくらい酷い数字に着地したのだろうとゾッとします。

同じく「観光白書」本文(第 II 部 新型コロナウイルス感染症を踏まえた観光の新たな展開)のP.60には「日本人延べ宿泊者数とGoToトラベル事業延べ宿泊者数の推移(2020年)」という図表が掲載されています。

図表からはGoToトラベル事業利用率が最も高かった2020年11月は日本人延べ宿泊者数のうち70%を超える2,500万人以上が同事業を利用したことが判ります。
GoToトラベル事業が始まる前と後では宿泊者数に大きな開きがあり、旅行需要の盛り上がりに大きく貢献したと断言できます。

また、JTBF旅行意識調査―新型コロナウイルス感染症流行下の日本人旅行者の動向(その14)では、「旅行を実施するかどうかを判断するときに、政府や自治体の要請(外出自粛、来訪自粛等)をどの程度意識しますか」という調査があり、2021年5月時点で55.7%が『政府や自治体の要請に従って判断する』と回答しています。

良い悪いはさておき、政府や自治体の要請を忠実に守ろうとする人が半数以上いることを知らしめる結果となりました。


観光白書や旅行意識調査の結果を取り上げて、改めて伝えたかったのは、“新型コロナウイルスにより旅行業界は大打撃を受け、そのリカバーを担う役割を果たしたのがGoToトラベル事業。但し、国民が旅行を実施するか否かは政府や対象地域の自治体の要請の有無が大きな鍵を握っている”ということです。

ここ数週間の感染拡大に伴い、噂されていたGoToトラベル事業の再開は一旦白紙に戻り、各都道府県の旅行補助事業も続々と一旦停止の措置となりました。

旅行者にとっては、緊急事態宣言やまん防だけではなく、旅行補助事業停止も政府や自治体から同様の要請が出ていることを意味します。
一旦停止となった途端に自粛の方向に舵を切り、旅行をキャンセルする人も少なくありません。
「旅行補助が出ないから行かない」という金銭的理由よりは、「人目が気になるし歓迎されないから行かない」という心理的理由の方がはるかに大きいように思います。

日本も英国と同じように経済活動を止めずにコロナと共生するという道を選ぶのであれば、旅行業界では感染が拡大しようが旅行補助を止めずに継続していくことが求められます。
先述の通り日本人は人目を気にする傾向にある為、政府や自治体が旅行を推進したりウェルカムの姿勢を出し続け、旅行者の背中を押したり、旅行に出る大義名分を与えることが最も有効です。

ここ最近のオミクロン株の流行で多くの新規感染者が目立ちますが、昨年とは違い、ワクチンが開発され国民の約8割に当たる9,900万人以上が2回接種を終え、3回目接種の準備も着々と進んでいます。

ワクチン・検査パッケージも効果的に取り入れつつ、そろそろコロナと共生しながら旅行活動を続けるというステージに移行することを真剣に考えて行くべきタイミングではないでしょうか。

 

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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