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ジェンダーフリーな対応を考える

Posted on 2022-02-15

ご支援先で「浴衣・作務衣を新調するにあたって男性も女性も同じ色柄にしようと思うんです」というご相談がありました。

コロナ以前は外国人観光客の利用が非常に多かった旅館様で、明確に判別できるわけではありませんが、LGBTQのお客様も多く受け入れられていたと思います。

※LGBTQ…Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、 Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、 性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、QueerやQuestioning (クイアやクエスチョニング)の頭文字をとった言葉

国内のOTAや予約システムでは一般的に【男女の内訳】を入力させる欄がありますが、海外OTAには人数を入力する機能しかありませんので、基本的には、男女のアメニティを用意しておいてお客様を迎え、ご到着時の様子から男性同士であれば、予めセットしてあった女性用のアメニティ下げて、男性用に差し替えるというオペレーションをとっていらっしゃいます。

なお、浴衣・作務衣以外の男女のアメニティセットでは、男性には髭剃り(カミソリ)を入れるのに対し、女性にはクシ・ブラシ・コットンセットを入れる等の違いを設けています。

いまは外国人宿泊客はほとんどいませんが、国内の宿泊客でも同性同士の利用は少なくありません。
予約情報から流れてくる情報や、チェックインの際の様子から男女のアメニティのセットを行っていらっしゃるのですが、「実際のところそれでよいのかわからない」と仰っていました。
お客様の方からカミングアウトされたり、アメニティの変更を要望されたりすれば把握したうえでの対応が取れますが、そういったケースは稀だといいます。

具体的な比率は全く判りませんが、何組かに1組はLGBTQに該当するお客様もいらっしゃるのでしょう。

こちらの旅館様では、多様性(Diversity)の受容の一環として、「誰もが気持ちよく過ごせるように」と、浴衣・作務衣の色柄統一とアメニティセット内容の男女差撤廃に踏み切ることにしました。

アメニティにはタオル・歯ブラシという男女問わずに使うものだけを入れるようにし、必要な物はフロントで渡すなどの対応を取ろうと考えています。

こうしてみると、宿泊施設の中でも当たり前にしている性差別があります。
浴衣の色、半纏の色、アメニティグッズの中身や色、歯ブラシの色、脱衣場セット、浴場セット等々です。

男女のご夫婦やカップルでご利用だと、色や内容がわかれていた方が、認識しやすいし便利で良いという側面もありますが、不快に思う方々もいらっしゃるという理解も持たなくてはなりません。

さて、【ジェンダーフリー/ジェンダーニュートラル/オールジェンダー】といった表現が聞かれるようになってから久しいです。

日本航空が機内アナウンスで「Ladies and gentlemen」という表現を取りやめたり、東京ディズニーランドやディズニーシーでのアナウンス「Ladies and gentlemen, Boys and Girls」を「Hello Everyone」に変更したことが話題となりました。
ディズニーではその数年前には、子どもにドレスやヘアメークを施してディズニープリンセスに「変身」できるとうたうサロンで、2016年から性別に関係なく利用できるようにしたということもありました。

国内の一部企業や小売り店、大学でオールジェンダートイレ「誰でもトイレ」が設置されるようになったり、米国ニューヨーク州では公共の個室トイレをオールジェンダートイレへ転換するのが主流になってきているようです。
さらに昨年ジェンダーニュートラルな「X-Gender」パスポートが米国でも認められるようになりました。

ジェンダーフリーを求め、これまで生きづらかったり、肩身の狭い思いをしてきた方にとっては、これらの改革はまさに吉報であり、「X-Gender」のパスポートを導入する国、取得する人は年々増えていくのでしょう。

このように国内外でジェンダーフリーが当たり前になる中で、折角X-Genderのパスポートを取得して日本の旅館に泊まったのに、望んでいない男性或いは女性扱いされては当然不快に感じるでしょう。

これは宿泊客に限ったことではなく、年々増加していた旅館で働く外国人スタッフも例外ではありません。以前面接の際にトランスジェンダーをカミングアウトした求職者がいて、それを踏まえて採用したという旅館経営者の話も聞いたことがあります。

今後の旅館経営にあたっては、LGBTQの宿泊客および従業員も気持ちよく過ごし働けるという視点を持つことが求められます。LGBTQへの配慮が集客・求人にも関わってくるのでしょう。

ただし「誰もが気持ちよく過ごせるように」というのが大前提ですので、LGBTQへの配慮をし過ぎるあまり、それ以外のお客様を不快にさせることはあってはならないと個人的には思っています。
例えば、オールジェンダートイレにすると、犯罪が増えそうだとか、化粧直しがしづらい等といった声にも最大限配慮をする工夫が必要です。両者が快適に過ごせてこそ意味のあるものだと思っています。

旅館の場合は、客室にお手洗いがあることが多いため、宴会利用でもない限りはわざわざ「誰でもトイレ」を館内に設置する必要は無いと思いますが、問題は大浴場です。ゆくゆくはジェンダーフリータイムといった時間を設ける必要が出てくるのかも知れません。

長期的な視点に立てばLGBTQを考慮した改装や設備、アメニティの見直しは必至になるのでしょう。
いまのうちにできることから取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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