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SDGs推進と注意したいグリーンウォッシュ

Posted on 2022-04-11

先日行った奄美大島の視察先で、特に環境面でSDGsを意識した取り組みをされていたので紹介します。

SDGsとは、既にご存じの方も多いと思いますが、簡単に言うと持続可能な開発目標で、差し当たっては2030年時点の目標設定およびその達成が求められています。

今回(今年4月)のプラスチック新法もその取り組みの1つです。

1945~2015年に生産されたプラスチックの総量は83億トンを超え、そのうち20億トンが使用中、残りの63億トンはゴミとなりました。
リサイクルや焼却に回されたのはわずか21%で、残りの79%は埋立もしくは自然環境へ流れています。
そのプラスチックは今でも大量に生産されており、2020年の年間の生産量は3.8億トンで全人類の体重に匹敵する重量とも言われています。
プラごみの海洋汚染を放置すると、2050年にはプラごみの重量が魚の重量を超えるなんて話も聞かれるようになりました。

脱プラの動きは、レジ袋有料化、プラストローの廃止等目に見える形で推進されるようになり、この4月からは宿泊施設で提供されるプラスチックアメニティの扱いや見直しも求められる段階に来ています。

このようにSDGsは良く環境問題と関連付けられることが多いですが、環境問題だけでなく「貧困をなくそう」とか、「全ての人に健康と福祉を」、「人や国の不平等をなくそう」といった目標もあり実に多岐にわたっています。


視察先1泊目の宿は、特にSDGsを謳っていた訳ではないのですが、エントランスを入るとすぐに頭上のTVモニターが目に入りました。
そこにはその宿泊施設の太陽光発電所の稼働状況が示されており、日射強度や気温、太陽光からの現在の発電電力、電力会社からの本日の発電電力量が確認できるようになっていました。
(宿の方にヒアリングすると、そもそも奄美大島は日照時間の少ないところでもあり、太陽光で宿泊施設の電力が賄えることは無いと仰っていました。)

客室に入ると、アメニティが環境配慮型のものになっており、それを知らせるPOP(恐らくアメニティメーカーが提供しているもの)が下記の通り設置されていました。
―――
「当館でご提供しているECOアメニティは、ポリプロピレン樹脂(PP)に天然の藁(わら)を配合する事で、プラスチック使用量を約40%削減しています。
『プラスチック使用量を低減する(REDUCE)』という方法で環境へ配慮した環境負荷低減アメニティです。
今後も環境保護活動に積極的に取り組んで参ります。」
―――


2泊目の宿泊施設も、特にSDGsを謳っていた訳ではないのですが、チェックイン対応が完全ペーパーレスで、タブレットに登録や署名をするというスタイルを取っていました。

客室には「客室清掃カード」という、連泊の場合の清掃の必要有無と希望時間を知らせるものが設置されていました。以下の必要な項目にチェックを入れる仕組みです。
―――
□ ゴミ回収
□ タオル回収
□ アメニティ補充
□ ベッドシーツ交換
□ ウェア交換
□ 洗面台清掃
□ トイレ清掃
□ 浴室清掃
□ その他リクエスト
―――


どちらの宿泊施設も環境への配慮が見られて好印象でした。

特に2泊目の宿泊施設は宿側のオペレーション面を考えても理想的で、ペーパーレスのチェックイン対応では、宿泊客が入力した内容がダイレクトに宿の顧客システムに入力されるでしょうから、宿スタッフが顧客システムに入力する手間も転記ミスも省けるでしょう。
また宿帳を保管するスペースや手間を省くことができるのも魅力的です。

また、客室清掃カードは「全てクリーンアップするというのが当たり前(基本型)」という既定概念を取り除くことにも役立ちますし、環境に優しいだけでなく、人材不足が常態化している宿泊業界にとっても望ましい取り組みと言えます。


しかしながら、その一方で、客室にはペットボトルの水や使い捨てのミニアメニティボトルやパウチ型のスキンケア用品が大量に置かれているのには違和感を感じました。
やっていることに一貫性が無く、消費者として「グリーンウォッシュ」という言葉が頭を過ぎりました。

別の話ですが、ご支援先のある地域で「町でのSDGs推進をPRするのに紙のパンフレットを印刷する」という話を聞いたときには開いた口が塞がらなかったのを覚えています。

グリーンウォッシュとは、環境に配慮したイメージを連想させる「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた言葉で、環境に配慮しているように見せかけて、実態はそうではない状態であり、消費者に誤解を与えるようなことを指します。

いまはプラスチック新法がはじまって間も無く、丁度いまは過渡期ですので、在庫が終わるまでは提供するという宿側の事情は良く分かります。
その後にきちんと一貫性のある対応をするつもりがあるのかが重要になってきます。


1~2年前より全国の都道府県ではSDGs推進企業の募集を募っており、続々と企業が参画しています。また、最近出張に出ると、SDGsのバッジをスーツに付けて歩く方を多く見かけるようになりました。
今回のプラスチック新法を機に、脱プラ・減プラに取り組み、SDGsを推進する企業が急増していることを実感します。


SDGsをブームと捉え1つの側面ばかりに気を取られていると、それと矛盾した取り組みが目立つようになり、「あの企業はグリーンウォッシュだ」というレッテルが貼られてしまいます。
そうならないように、経営者だけでなくそこで働く従業員も正しく幅広い知識を付ける必要があると考えています。

 

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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