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GoToトラベルキャンペーン 上限設定の動きに情報開示を求めたい

Posted on 2020-10-12

GoToトラベルキャンペーン、10月1日を迎え、東京解除となるのに加え、地域共通クーポンの給付も始まり、漸く事業の『趣旨』を満たすようになった矢先に、国内主要予約サイトの楽天トラベル、じゃらん、一休、ヤフートラベル各社が事業の規定とは違う格好で上限を設定する動きが出てきました。

 

各OTAの告知内容を要約すると下記の通りです。(10月11日現在)

■楽天トラベル(10月9日)

1会員様あたりの利用上限枚数は、1枚(国内宿泊:1予約1部屋、国内ツアー:1予約)までとなります。 

■じゃらん(10月9日)

割引上限金額は1人1泊あたり最大3,500円(税込)に変更させていただきます。 

■一休(10月9日)

Go To Travelクーポンの割引上限金額を1人1泊あたり3,500円に変更いたします。 

■ヤフートラベル(10月9日)

国内宿泊予約のヤフープランについて、Go To トラベルクーポンの割引上限金額を1人1泊あたり3,500円までに変更いたします。 

 

※各社、地域共通クーポンの上限金額(1人1泊あたり6,000円)は変更が無く、鉄道切符・航空券等の交通機関とセットとなるパッケージプランは従来通りの給付が受けられるようです。

 

 GoToトラベルキャンペーン、本来の事業の趣旨としては、公式ページ(https://goto.jata-net.or.jp/)にもあるように、

―――

1.国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行代金の1/2相当額を支援します。

2.給付額の内7割は旅行代金の割引に3割は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与します。

3.一人一泊あたり2万円が給付上限となります。日帰り旅行については1万円が上限。

4.連泊や利用回数の制限はありません。

―――

というものです。

今回の各OTAの動きは、本来の規定を無視した形での上限設定と言えます。

そもそも国として、事務局としてこういった規定違反(!?)を認めて良いのでしょうか?

各社、「多くの人にご利用いただけるように…」と給付金が特定ユーザーに集中することを防ぐためのような書き方をしていますが、本当にそうでしょうか。

 

東京都在住の旅行者、東京都内の宿泊施設にとってはブーイングものです。事業の趣旨に沿った満額の給付が受けられた期間は、9月18日の予約受付開始からわずか3週間ちょっとでしかありませんでした。

 

しかも、宿泊施設に“事前に”告知があったわけでもなく、施行の数時間前に送られてきたFAXで事の次第を知らされるという流れでした。

私の知る限りでは、一休とヤフートラベルに関しては“事後報告”でした。また、『金曜日』に一方的に通報して終わりというのが今回のGoToトラベルキャンペーン事業の常套手段と化しているというのを痛感します。

(金曜のコールセンターが終わる夕方頃にFAXを流し、電話の繋がらない土日に突入するというスケジュールには悪意を感じます)

 

特に、九州・四国地方から関東地方にかけての太平洋側のエリアに関しては、今回の台風14号の懸念もあった週末でもありました。ただでさえ慣れない地域共通クーポンの発行作業に追われる中で、台風と台風並みの衝撃を与える上限設定の急遽かつ一方的に通知に、多くの宿泊施設では波乱の週末となったことでしょう。

 

とにかく、GoToトラベルキャンペーン事業の話題が出てからというもの、宿泊施設では、噂だけが先行する情報処理に追われる日々が続いています。10月1日に体制が整い、地域共通クーポンの発行・利用処理に慣れれば漸く一段落となるかと思っていましたが、そうはうまくは行きませんでした。

 

10月6日に観光庁がGoToトラベルキャンペーンにおける7月22日(水)から9月15日(火)までの利用実績において、利用人泊数は少なくとも約1,689万人泊、割引支援額は少なくとも約735億円という速報値を発表しました。予算が9,000億円と言われる中で、まだ1割にも達していないと報道された直後のこのOTAの上限設定の動きです。

 

それだけでなく、JR東海ツアーズの

「京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県・兵庫県および四国4県への旅行商品および宿泊については、GoToトラベル事務局から当社に割り当てられた給付金枠に達したため、大変申し訳ございませんが、現在、GoTo割引対象としての販売を見合わせています」

という告知も重なりました。

 

当初よりこの給付金には予算配分があるという話は耳にしていました。

予算配分は大きく分けて2つあり、

ひとつは、旅行会社/OTA/直販という予約経路ごとの予算配分

もう一つは、北海道/東北/関東/東京/千葉/中部/北陸・信越/近畿/大阪/中国/四国/九州/沖縄 という13のエリアごとの予算配分というものです。

確かマニュアルや説明会でも「各予算額や残額がなんらかの形でわかるようにする」という記述や説明があったかと記憶していますが、いまだ何も提示されていません。

 

宿泊施設としては、GoToトラベルキャンペーンがスタートする前より「どのように残予算を把握できるのか?」を終始気にしていました。

具体的には、旅行会社やOTA経由の予約では、お客様が予約をするときにGoToクーポンが利用できなくなるのが判るはずだから良いが、直販予約の場合は予約を受けたものの、GoTo割引を受けようとしたときに予算が無くなっていた場合はどうなるのか?、というのはかねてより危惧していた問題です。

 

先述の観光庁の発表から、予算額に対する消費額が少ないと認識していたつい先週10月8日迄は、先延ばしして考えないようにしていた問題も、10月9日に主要OTAが上限を設定したことにより、「思ったほど予算が残っていないのではないか?直販経由の予約分の給付金の予算額も意外と残りが少ないのではないか?」と疑い始め、各宿泊施設は戦々恐々とし対策に追われています。

 

各予算枠の予算額とその消化進捗を旅行者側にも宿泊施設側にも明示しないことに問題があるという他ありません。

 

旅行者が安心して旅行ができるように、宿泊施設も自信をもってGoToトラベルキャンペーンの案内をできるように、まずは大まかにでもいつまでに予約を入れれば大丈夫等と言った指標を示すべきだと考えます。

 

ちなみに、今回のOTAの上限設定の背景として、GoTo給付金を活用した宿泊予約が高単価の宿に集中しており、低単価の宿に旅行者を送客できていないことが噂されています。

弊社の御支援先を見ていても同様の傾向が出ており、小規模・高単価の宿程GoTo給付金を活用した宿泊が絶好調で、これまで団体やインバウンドを受け入れていた大規模・低~中単価の宿程、昨年の実績ベースと対比した場合に落ち込みが見られるのは確かです。

 

しかしながら、低単価の宿は団体やインバウンド客を受け入れていた傾向が比較的高いため、今回のGoTo給付金の制度のせいにするのは違うのでは、というのが私の意見です。

事実、大型・低~中単価の宿にも給付金を活用した個人客の予約は多く入ってきています。客種別の入込を見ると、個人客は昨対超えしているものの、団体・インバウンド客の落ち込みが激しく、マイナス幅をカバーできずに合計で見ると前年実績を割り込んでしまうという状況です。

 

従って、金額の条件を設けたところで、低~中単価の宿に旅行者が流れるかというとそう上手くはいかないと見込んでいます。

上限が設定されたことで「それなら、コロナのリスクがある今、わざわざ旅行に出なくてもいいか」と旅行を控える人が増えることが予想されます。

 

いずれにせよ、観光庁・GoToトラベルキャンペーン事務局等、制度運営に係わる方々にお願いしたいのは、まずは旅行者には安心して旅行に行けるための、宿泊施設には安心して予約を受けられる情報開示をして頂き、これまでどおりの給付金のルールに戻す検討をしていただくことを願います。

 

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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