「2021年12月」の記事一覧

“隣県割”と“ワクチン・検査パッケージ適用”がスタート!

Posted on 2021-12-20

12月後半に差し掛かり、各地で“隣県割”の話が聞かれるようになりました。

各都道府県により異なりますが、宿泊対象期間が2022年1月4日(水)~最長で3月10日(木)までに延長され、隣接する都道府県民にも“県民割”(地域観光事業支援/多くは宿泊割引5,000円+地域クーポン2,000円)を適用させるというものです。

これまでの県民割とは異なり、割引を受けるには宿泊施設の所在する県の県民割の対象都道府県民であることを証明するだけでは不十分で、特に県外からの宿泊客には「ワクチン・検査パッケージ」の適用が必須となります。

例えば、新潟県の『使っ得!にいがた県民割キャンペーン』では、
“ご利用される皆さまへのお願い”として以下のことが求められています。
https://tukatoku-niigata.com
―――
新型コロナウイルスワクチン接種済であること又は検査結果が陰性であることが利用条件となります。
利用時に本人確認書類(身分証明)及び以下1.2.いずれかの提示が必要です。

1.ワクチン接種歴(2回目接種から14日以上経過)がわかる書類
2.検査結果通知書
 ・「PCR検査等」は検体採取日を含めて4日以内のもの
 ・「抗原定性検査」は検体採取日を含めて2日以内のもの
※ご提示がない場合は、本キャンペーンの割引等がご利用いただけません。
※親等の監護者が同伴する12歳未満は提示不要です。
―――

提示される宿泊施設では、控え迄は取る必要は無いものの、宿泊者全員分の証明書を目視で確認をするようにと言われています。

住所を証明するものは、普段から財布の中に健康保険証や運転免許証、マイナンバーカード等を持ち歩いている方が多いと思いますが、各種証明書は携帯している方が恐らく圧倒的に少ない為、宿泊日当日に「忘れた!」という事態が多発しそうに思えてなりません。

新潟県の『使っ得!にいがた県民割キャンペーン』の“よくある質問”ページ
https://tukatoku-niigata.com/question.php
を確認すると、

―――
Q27 ワクチン・検査パッケージの条件を満たさない場合とは具体的にどのようなものか

検査結果が陽性、確認書類の持参忘れ(提示できない)、ワクチン2回目接種後14日を経過していない場合、検査結果通知書の有効期限が切れている(PCR検査等は検体採取日+3日、抗原定性検査は検体採取日+1日が有効期限)等があります。いずれの場合も割引適用外となり、キャンセル料の負担もできません。

Q28 (Q27のうち持参忘れの場合)後日の提示で認められるか

後日の提示では認められません。
―――

との記載があり、万が一宿泊客が家に忘れて旅行に出てしまった場合には取返しの付かないことになってしまいます。

証明書を忘れたことに気づいたお客様が取る行動としては、「他にも同じようなお客がいるだろうから、まぁ何とかなるのではないか」と考え、とにかく宿に相談してみる。

宿側としては、お客様の申告を信じて割引を適用させたいのは山々ではあるが、お客様1人のイレギュラーを許してしまうと、他の全お客様に対しても同じ対応をしなくてはならなくなる。
それに加え、万が一お客様を特別扱いしてしまった場合に、「ワクチン証明書を忘れて泊まりに行ってしまったけど、〇〇旅館では見逃してくれた!」等とSNSで拡散されるリスクを考え、丁重に何ともならないことを伝える。

すると、一部のお客様は「融通の利かない宿」と怒鳴り出す・・・

という顛末が想像できます。

先日、全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)のアンケート報告、「観光・交通機関の現場で起きる「カスハラ被害」、客からのハラスメント経験者は約半数、航空は7割、SNS誹謗中傷が深刻化」
https://www.travelvoice.jp/20211215-150256
という記事がありましたが、まさに「カスハラ被害」を受けるフロントスタッフが増加することになるのでしょう。

先述の“よくある質問”ページでは

―――
Q25 ワクチン接種歴、検査結果通知書は原本の提示が必要か

画像や写し(コピー)等の提示でも可能です。ただしそれが本人のものでなければいけません。そのために本人確認も必要となります。
―――

という記載もありましたので、原本を持参せずにスマホで撮影した画像でも証明可能ということが判ります。

従って、宿泊日当日のトラブルを最小限に留めるためにも、ワクチン・検査パッケージの適用が必須となる宿泊客には、予め原本をスマホのカメラ機能を使って撮影しておくように事前に根気よく促しておくことをお勧めします。
電話予約では口頭で念を押し、インターネット予約では、予約時の注意事項欄などに目立つように記載すると良いでしょう。

持参忘れだけではなく、「旅行中に原本をどこかに忘れてきた&紛失した!」というリスクが伴うものですから、できれば原本は自宅に保管しておいていただき、旅行中には携帯しないでもらいたい、というのも画像提示を推奨する理由です。


さて、デジタル庁によると、12月20日から『デジタル版ワクチン証明書アプリ』が提供開始されるとのことです。
恐らくは、この『デジタル版ワクチン証明書アプリ』の表示も今回の隣県割で求められる証明書類に置き換えられるでしょうから普及が進めば今回のような「忘れた!」というリスクがかなり軽減されると思います。

但し、デジタル弱者の高齢者や「デジタルは情報漏洩のリスクがあるから信用出来ない、利用しない」という国民が一定数いるのは明らかですし、また、新たなシステムというのは不具合が出るのが付き物ですから、チェックインのタイミングで表示されない等のシステムトラブルも想定されます。

こういった点を踏まえてもやはり、ワクチン証明書は画像提示を推奨してセーフティネットを敷いておくのをスタンダードルールとしておくのが良いかもしれません。


県民割⇒隣県割⇒新たなGoToトラベル、それと並行して各自治体の宿泊補助が敷かれているところも少なく無く、ルールの異なる宿泊補助が複数走っており、現場オペレーションは複雑化していることと思います。

上記のように想定されるトラブルは未然に防げるよう制度の周知徹底、自社での接客ルールを導入して、お客様もスタッフも心地良く過ごせ、働ける環境を整えて多くのお客様を迎えたいものです。

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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『観光ガイド』が今後も価値を提供し続けていくためには

Posted on 2021-12-06

先日、秋田県由利本荘市の観光ガイド向けの研修を担当させていただきました。

対象者は、鳥海山、桑ノ木台湿原等の有償ガイドとして活躍されている方です。元教師や元専業主婦等、様々な経歴をお持ちの中高年の方がメインでした。

さて、通訳ガイドという職業は、皆さんご存じの通り、観光地にまつわる歴史・地理他、幅広い知識を以って案内しなければなりません。

“訪日外国人向け”ガイドという観点では、2018年に『改正通訳案内士法』が施行されるまでは、元々「通訳案内士」の国家資格を持った人しか有償の通訳ガイド業ができませんでした。

このことからもわかるように、ガイド業はその地域の情報を正確に伝える必要があり、ガイドの質が担保されないと務まりません。
またガイドの予約が入れば、ガイドする場所の最新の状況を把握するために、現地調査に出向くことも少なく無いようです。

そもそも観光ガイドを頼むような旅行者は、事前にご自身である程度のことを調べた上で、観光ガイドにはより踏み込んだ質問をしたい、ネットやガイドブックには載っていない情報を知りたいとお考えの方も少なくないようです。

屋外ガイドの場合は当日の天候によっては急遽キャンセルになることもあり、折角の準備が水泡に帰す可能性も多々あります。
このように非常に高い能力や不断の努力が求められるのが観光ガイドの仕事です。

ところで、総務省の令和2年版情報通信白書の「情報通信機器の保有状況」によると、
―――
2019年における世帯の情報通信機器の保有状況をみると、「モバイル端末全体」(96.1%)の内数である「スマートフォン」は83.4%となり初めて8割を超えた。
―――
との記載があります。

これだけスマートフォンが普及すると、観光地を訪れてわざわざ有償の観光ガイドを手配する必要性が薄れてくるのであろうことは容易に想像がつきます。

例えば由利本荘市の観光協会のサイトを訪れれば、観光スポットの情報が充実していますし、空港や駅の観光案内所のパンフレットラックに置かれている紙媒体の観光ガイドの表示やダウンロードもできてしまいます。

各種ウェブサイトからアクセスできる情報は無料かつ24時間365日アクセスできるのに対し、ガイドを手配すると有料かつガイドを依頼したい日の遅くとも2週間ほど前迄には予約を完了させる必要があります。

様々な情報が無償で手に入る現代。そして、交通や宿泊の予約手配が間際化・直近化している今の旅行形態からすると、通訳ガイドを手配する旅行の優位性がなかなか見出しづらくなっています。

また自分から情報にアクセスする場合は、自分の関心がある項目だけを集中的に調べることができますが、ガイドを依頼する場合は「どのような観光案内が聞けるか当日行って(会って)みないとわからない」という一種の賭けのような状況になってしまいます。

先述の通り、観光ガイドの皆様は様々な職歴をお持ちで、それぞれ得意分野も異なります。歴史ガイドが得意な方もいれば、植物ガイドや子連れ旅行客の対応が得意な方もいらっしゃいます。

本来「(旅行者が興味・関心がある)〇〇の分野に精通している」とか、「この客層の対応が得意」等の条件を指定してガイドを選べれば良いのですが、現状ではこのような指名制度は取り入れていない観光地がほとんどの様です。

当日割り当てられたガイドが相性の合うガイドであれば良いですが、相性が合わない場合は、その日の半日~1日が台無しになってしまう危険性もあります。

いまや各地の観光地で旅行者のGPS情報を使って音声ガイドを用いた観光情報提供システムの実証実験が推進されているというニュースも耳にします。
例えば、ある観光スポットに足を運ぶと、自動で観光案内が表示されたり音声ガイダンスが流れるような類のものです。
観光ガイドとの相性を懸念する旅行者はこのようなシステムの方が選びやすいのかも知れません。

現代のような時代の変遷の渦中において、有償観光ガイドが今後も価値を提供し続けていくためには、ガイドの接客レベルを上げてやコミュニケーションスキルを磨く他ありません。

ウェブサイトにアップされている情報や音声ガイドで、知識を深めることは出来ても地域の印象を良くすることは出来ませんし、旅行客それぞれの状況を踏まえた最適解を提示してくれることもありません。

文字や音声で一方的に発信される情報に勝るためには、双方向のコミュニケーションから痒い所に手が届く情報をテンポ良く提供できることが求められます。

例えば、
・ガイドをしているその時期、その時刻に見える景色に価値を見出したガイドをする
・天気に恵まれず絶景が臨めなかった時の為に「晴天だとこんな景色が見られるんですよ!」と動画や写真を準備しておく
・「いま見えている景色は別の季節だとこのような景色になるんです」と動画や写真を準備しておく
・子連れの場合は、子供にわかりやすく喜びそうな案内の仕方にやツール(虫 眼鏡等)を用意しておく
・ガイドの後の行き先や滞在地、明日の予定を聞き出し、そのルート上にあるいま話題のスポットを紹介する
・自分の得意分野を磨き、興味がある旅行客には惜しみなく情報提供し、他者との差別化を図る
といった具合です。

由利本荘の観光ガイドの皆様には研修中に実践練習に取り組んでいただきましたが、相手の状況を考えた案内や対応が非常に良くできており、さすがプロのガイドの皆様だと感心したことを覚えています。


【DX】というキーワードがまん延する今日です。
今回の話は観光ガイドに限った話ではなく、様々な接客現場で同じような局面を迎えています。
接客業で働く皆様は「デジタルでは提供できない、人間(自分)にしか提供できない価値とは何か?」を常に問い続けて、益々市場価値・存在価値を高めていっていただきたいと思います。

 

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新たな『GoToトラベル事業』と、伴走する『県民割』の対処に備えよう

Posted on 2021-11-22

ここ最近、GoToトラベルキャンペーンの報道が相次ぎ、宿泊施設にはお客様から「いつ始まるんだ?」等、むしろこちらが教えてほしい!、と言いたくなるような問い合わせが相次いでいるようです。

11月19日付けでGoToトラベルサイトでは、事業の再開時期は未定としながらも、新たな割引率などの概要が明記されました。

新たな「GoToトラベル事業」の概要について
https://goto.jata-net.or.jp/index.html#main

●割引率 30%
●割引上限額(宿泊付) 交通付き:10,000円、宿泊のみ:7,000円
●割引上限額(日帰り) 3,000円
●地域共通クーポン<一泊あたり> 平日:3,000円/休日:1,000円 
 ※平日/休日 の定義は別途発表予定。
●感染症対策 ワクチン・検査パッケージの活用、旅行後2週間以内に陽性となった際の報告や旅行中の行動履歴の記録。

前回は、1泊すると宿泊割引と地域共通クーポン合わせて2万円の割引でしたが、今回は平日1万円、休日8,000円の割引のため、5~6割減の旅行補助となります。

前回は1泊4万円の宿泊をすると最大限の補助を受けられる制度でしたが、今回は、宿泊のみの場合、1泊23,000円の宿泊で最大の割引が受けられることになります。
「高単価の宿ばかりにお客が流れた」という一部の批判的なコメントに対応する格好になったのだと思います。

一方、地域共通クーポンですが、前回は曜日による差は無かったものの、今回は平日に旅行をした方が得になるように設定されています。

仮に宿泊割引が最大限受けられる1泊23,000円の宿泊の場合、平日なら前回同額の3,000円のクーポンが受け取れますが、休日なら前回より-2,000円の1,000円となります。
家族4人で試算すると、平日なら12,000円になる反面、休日なら4,000円にしかならず、クーポン金額8,000円の開きがあり、これが連泊にでもなると馬鹿にできない金額になってきます。

GoToトラベルキャンペーン事業が始まるまでは、国が旅行に補助金を出すことが無かったことを考えると1万円でも十分なはずですが、前回の2万円と比較したり、首都圏を中心に地域観光事業支援(県民割)がなかなか始まらないエリアの人にとっては物足りなさを感じてしまうのは否めません。

しかしながら、このような割引率の引き下げはGoToトラベル終了後の需要減退に大きなギャップが生じないように配慮されてのことでもあるのでしょう。

さて、ようやくここまでの情報が明示されましたので、あとは
1.予約受付開始時期
2.対象宿泊期間
3.行動履歴の記録・証明の仕方
4.地域共通クーポンの発行の仕方
5.ワクチン証明や陰性証明は目視で良いのか、控えが必要か
6.既存予約の取り直しが必要か否か
等の情報が出そろえば、“GoToトラベルに関しては”まずは一安心です。

旅行者にとっては特に1.~4.が気になるところですが、宿泊事業者にとってはそれに加えて特に4.~6.も気がかりです。

特に6.については、宿泊施設は予約の取り直しが必要となればいつ始まるかわからないGoToトラベルのことを気にせず、現状の稼働状況を見ながら割引プランの販売ができる一方で、旅行者は「GoToトラベルが始まるまでは予約をしない!」という予約控えが生じてしまいます。

一方で、予約の取り直しが必要ない(既存の予約に対しても後から割引が適用される)場合は、旅行者の予約には活気が出る一方で、宿泊施設側は「GoToトラベルが始まったらいたずらに割引プランは販売せずに正規料金で販売したい!」という点で、攻めから守りの販売姿勢に入ってしまいます。

このようなもどかしい状況を打開する意味でも4.の点も早急に明示してほしいと思う最中、先般あるOTA(Y社)から
「GoToトラベルの再開に先立ち、弊社のサイトでは既存・新規の予約にも後から割引を適用できるよう準備を進めているので、早めに予約しちゃってください」
という趣旨のメールマガジンが届きました。

GoToトラベルが始まると人気施設程予約が取りにくくなる上、宿泊施設も料金設定を上方修正することを見込んでのセールストークだと思いますが、上手いやり方だと感心してしまいました。


ところで、今回の新たなGoToトラベル事業の開始前~終了後には、『県民割』が伴走することになりそうです。

「ワクチン・検査パッケージ」の活用を条件とし、各都道府県ごとに都道府県内だけの旅行にしか適用されなかった県民割の対象を「隣県」まで拡大し、2022年3月10日宿泊分まで延長されるとのことです。

また、GoToトラベルの対象期間が現時点でゴールデンウイーク迄との見方ですが、GW後は都道府県ごとの事業に転換し、その際には再度割引率の見直しを行う予定だそうです。

上記で新たなGoToトラベルの箇所で6つの項目を挙げて「これらの情報が出そろえば、“GoToトラベルに関しては”まずは一安心です」と記載しましたが、“GoToトラベルに関しては”と強調したのはこのためです。

GoToトラベルのルールを理解するのに加え、新たな県民割のルールも把握しなくてはなりません。
しかも両制度が“伴走する”(※併用は不可)とのことですので、宿泊施設のフロントで今対応しているお客様は「県民割」、次に対応するお客様は「GoToトラベル」といった場面を迎えることが想定されます。
大型の宿はカウンターを分けて対応することを考えた方が良いのかも知れません。

県民割は11月20日現在、約40府県でが始まっています。当該エリアでは、秋の紅葉シーズンと相まって週末は満室になるほどの賑わいが戻りつつあります。

ここで問題となっているのが人手不足です。
急な需要回復があって嬉しい反面、満室時に対応できる人材を常に確保しているわけもなく、1人の仲居さんが平常時の2倍のお客様数を対応していたり、日雇いのバイトスタッフに働いてもらって何とか対応している状況です。

このような最中で、県民割のルールが変わって、新たなGoToトラベルのルールがスタートすることを考えると、気が遠くなりそうですが、常に事務局等から流れてくる情報を逐一整理し、自社ではどう対応するかのマニュアルを作成していくことが役立ちそうです。

 

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“旅の行き先を選べないガチャ”「旅くじ」の可能性

Posted on 2021-11-08

Peach Aviation株式会社の“旅の行き先を選べないガチャ”「旅くじ」が話題になっています。

Peach SHAKE LABOという、ピーチ社内の『地域の「あたらしい魅力」を発見する実験室』の第一弾キャンペーン。

第1弾は今年8月に大阪・心斎橋PARCOに設置したガチャで、約2ヶ月で3,000個以上が販売、第2弾では東京・渋谷PARCOに、11月には大阪・東京での追加販売に加え、名古屋・名古屋PARCOにも設置されるようになりました。

ガチャの内容をプレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000081560.html
の文面から引用すると、
―――
第2弾の各カプセルの中には、東京(成田)を出発する、女満別*、釧路*、札幌(新千歳)、大阪(関西)福岡、大分*、長崎*、宮崎*、奄美、沖縄(那覇)、石垣の国内11路線のうち、指定された行き先のPeachの航空券が購入できるピーチポイント6,000円分以上とオリジナル缶バッジが入っています。
また、旅先で遂行するミッションが同封されており、ミッションをクリアしてPeachの旅の口コミサイトtabinoco(タビノコ)に「#旅くじ」をつけて投稿すると、毎月1名様に3,000円相当のピーチポイントが当たります。
―――

支払いは、1回5,000円(※Paypay限定)。
当然行き先を自分で選ぶことは出来ません。
ミッションは、例えば、「「札幌に行って、カニを苦労してむいて、隣の人にあげてきて!(手袋で)」など、各就航地でミッションを遂行するという旅の新しい楽しみ方を提案するものになっているとのこと。

ピーチの運営する旅の口コミサイト『tabinoco(タビノコ)』
https://tabinoco.flypeach.com/search?q=%E6%97%85%E3%81%8F%E3%81%98
を見てみると、各地のミッションが確認できます。

例えば、
・奄美⇒「ミキ」を一気飲みして健康になってきて!
・新千歳⇒きゅうり持参で「河童」とツーショット写真撮ってきて!
・鹿児島⇒揚げたてのさつま揚げで、アッチっと、テンション上げってきて!
等というのがありました。

このガチャ企画。旅行会社・バス会社の企画する商品「ミステリーツアー」の変形版ということができると思います。ミステリーツアーもガチャも、リーズナブルな反面、行き先が選べないという点が共通しています。

ピーチのガチャ企画が目新しいのは、ポイント引き換えの有効期間中に航空券の購入さえしてしまえばいつ出発しても良いという点と、旅程を任意のミッションが課されている点です。

本来、旅は主体的に「ここに行ってこんなことがしたい!」という意思を持った人がするものですが、このようなガチャ企画では受動的で「どこかに旅に行くのも悪くないか」という人を取り込むことができるのが興味深い点です。

無計画で行き当たりばったりの旅行は別として、多くの場合、旅行をするにも知識や興味、旅程を組むスキルが必要です。
そもそも明確な旅行目的が無い人に、旅行商品を選び、購入させるのは至難の業ですが、このようにガチャ(自販機)という最も気軽な買い物で旅先と旅先での行動(ミッション)も指定されるというのは、旅行目的が無い人への旅行参加へのハードルを下げることに繋がります。

それだけでなく、旅好きで既に色んなところに行っているから「たまには運任せの旅でも楽しんでみようか」という人の興味も惹きつけられるでしょう。このような人に、自分で企画する旅であれば恐らく絶対しないようなことがミッションとして提示されれば旅のテーマや関心の幅を広げる良い仕組みにもなりえます。

このミッションは、Peach SHAKE LABOがテーマとして掲げている、「さまざまな人と繋がりながら、今まで感じなかったちょっとした「違和感」を「好きかも」に変えていくことを目指します。」というミッションに沿った好企画でしょう。

また、ミッションがあることによって、旅行者だけでなく旅先の地域の貢献につなげられるのも期待したいポイントです。
現在のガチャでのミッションの詳細はよくわかりませんが、是非、マイナーだけど当該観光地が今後育てていきたいアクティビティや、売り出して行きたい旅行行動が多く組み込まれていくと観光地の発展に繋げることができるでしょう。

現在、英国・グラスゴーでCOP26が開催され、観光における気候変動対策「グラスゴー宣言」が正式に立ち上げられ、観光に携わる民間企業や組織、政府など310の関係団体が署名を行った、とありましたが、旅先での植樹を行いカーボンニュートラルに貢献するというものがあれば、航空会社らしいミッションになるものと思います。

航空会社だけでなく、デスティネーションの宿泊施設や観光施設においても周辺の観光地や店舗とコラボしてこのようなガチャ企画ができると地域としての誘客力を上げることが期待できそうです。

ピーチのガチャ企画、今後も動向を注視していきたいと思います。

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【価値のある非効率】と【価値のない非効率】

Posted on 2021-10-25

食事処を個室食事処にリニューアルしたご支援先で、「個室処にリニューアルしてワイヤレスチャイム(ファミリーレストランのテーブルで良く見かけるもの)を入れたためか、居酒屋のように注文が入りました!」とのお話がありました。

個別食事処にリニューアルすると、食事の進み具合が見えづらいという宿側のデメリットはあるものの、他のお客様やスタッフから視界が遮られるため落ち着いて食べられるというお客様側のメリットや、ドリンク注文が飛躍的に増えたというプラスの面を考えるとリニューアルして正解!という結論です。

食事処を個室にしてワイヤレスチャイムを導入したことで飲料注文が増えたというのは様々な理由が絡んでいると考えられます。

・お客様がスタッフのタイミングを見計らうことなく、いつでも用事があることを知らせられるようになった
・スタッフを呼ぶのに声を出す必要が無くなった
・内線電話とは違い、呼び出しても応答が無いという煩わしさが無くなった

等が挙げられます。
目に見える範囲にスタッフがいるタイミングで、席から声を上げて終始動いているスタッフを呼び止めることを考えると、大分利便性が上がると言えます。

宿側からしても、
・常にお客様の目に届く場所にスタッフを待機させなくても良くなった
・複数のお客様に同時に呼ばれてもどちらを先に対応するかを迷わずに、ボタンが押された順にテーブルを回れば良くなった
・直接声を掛けられた場合は直行しなければならないが、チャイムを押された場合は少しの間は待たせられるようになった
・注文数が増えた

等というメリットがあり、お客様・宿側双方にとって良い環境が築けているようです。
上記に加えて「あるテーブルでクレームやトラブルが起きても他のテーブルに知られにくくなった」というのも、お客様・宿側双方にとってのプラスになると思います。


さて、今回の新型コロナウイルスがまん延してからというもの、このような非接触の接客スタイルが急速にがもてはやされるようになったのは皆さん承知の事実です。

日本では感染予防のためのワクチンの接種が進み、発症した場合に有効な薬が開発&承認される等、ある程度コントロールできるようになる未来も描けるようになってきたのは、ここ最近の新規感染者数の激減に他なりませんが、いわゆるアフターコロナの段階を迎えた場合に、このような非接触のシステムが無くなるかと言えばそうではありません。導入スピードも加速することはあっても衰えることは無いでしょう。

コロナがまん延する以前も人材不足、業務効率・生産性向上の視点から、“なるべく接客現場から人材の関与を少なくしよう”というきらいがありましたので、感染予防という意味合いだけでなくDX推進という観点からも、今後も導入推進され補助金も付くのでしょう。
最近では、「旅館に自動配膳ロボを紹介しませんか?」という営業の話もあるほどです。

こうなる未来を予想したときに、旅館と他のスタイルの宿泊施設(ホテル、ビジネスホテル)との垣根が果たしてどこにあるのかを意識しなければなりません。
立地やハードに特長があってその魅力で集客できる場合は良いですが、旅館としての価値を出していくには何が必要で、何が求められているのかを考えないと、宿泊料金に食事が付いているか否かの差でしかなくなってしまいます。

そこで必要となるのが、自社にとって【価値のある非効率】と【価値のない非効率】をしっかり分類することです。

例えば、お客様との会話をして様々なオプションを提案できるフロントスタッフがいる旅館に無人チェックインシステムを導入することはデメリットとなるでしょうし、食事中の会話からお客様に最適なお酒を提案できる仲居さんがいる旅館にタブレット型のオーダーシステムを導入することによる機会損失は計り知れません。

このように、お客様と積極的にかかわり、そこで顧客満足を獲得できるという、接客で高評価を得られている旅館でいたずらに非接触のシステムを導入するべきではありません。この場合は、【価値のある非効率】と捉え、システム導入に踏み切る前に熟考する必要があります。

冒頭で触れたように、お客様側のスタッフを呼ぶ利便性を優先して導入するのなら顧客満足につながる為良いのですが、安易に宿側が説明の手間を省きたい等という理由で闇雲に導入するのはリスクが伴います。
単純なシステム導入は、効率は上がっても顧客評価を落とすということにもつながりかねないため、自社の接客・おもてなしとの相乗効果が期待できる場合に導入することをお勧めします。

反対に、お客様と積極的にかかわることでの顧客満足獲得が難しい宿(常に派遣スタッフが一定数いて、ベテランスタッフが育っていないケース等)では、【価値のない非効率】と捉え、前向きにシステム導入を検討すべきでしょう。

この考え方は、接客場面だけではなく、社内のシステム導入を検討する場合にも当てはまります。

例えば、いつ何を聞いても即答できる優秀な経理スタッフが居る場合は、スタッフを排除してまでAIを活用した経理システムを導入する理由はありませんし、対面で会議をすることで、様々な意見が飛び交い活発な議論ができる場合にはオンライン会議システム導入は不要です。
当然その逆の場合は、【価値のない非効率】と分類され導入を推進すべきです。


次から次へと開発され一見便利に見えるシステムですが、導入前に自社にとっての【価値のある非効率】を失ってしまうものか、【価値のない非効率】を排除できるものなのかをしっかり吟味したいものです。

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