「2021年02月」の記事一覧

『おもてなし接客術』㊼―「今こそコロナ対応のブラッシュアップを」

Posted on 2021-02-24

旬刊旅行新聞2月11日号に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㊼です。

「今こそコロナ対応のブラッシュアップを」

 春に向けてスタッフ研修の再開依頼や、新規の依頼をいただくようになりました。

 昨年春以降に、コロナが猛威を振るい始めてから研修の一時中断が相次ぎ、緊急事態宣言下では、宿の営業がままならない状況続きました。

 その間、宿泊施設では、これまでの常識と照らし合わせて戸惑いながらもコロナ対策を導入し、接客方法を大幅に見直すことも余儀なくされています。

 6月以降に営業を再開し、7月からはGo Toトラベルキャンペーンが部分的(旅行代金の割引のみ)に始まり、緩やかに旅行需要が回復してきました。

 地域共通クーポンの配布も行われ、キャンペーンの恩恵が最大限に受けられるようになった10月以降は、連日大型連休のように宿泊客が押し寄せる時期が続きました。

 ただ、年末年始は新規感染者や重症者数の増加で、Go Toトラベルキャンペーンも一旦停止し、大都市圏を中心に緊急事態宣言が発令されるという事態となっています。

 このように、旅行需要が急速に減退する逆風の中で、未知なるコロナと共存しながら、それに伴う政府や業界の動向を必死に追いかけて、自館のことを振り返る時間もまったく持てなかった宿泊施設が「他館ではどのような対応をしているのか気になるが、視察にも行けなかった」という声も多く聞かれます。

 また「Go Toトラベル再開までの間の経営に不安はあるが、この閑散期を良い機会と考え、自館のやり方をこのまま継続しても良いのか、改善が必要かなど、1度フィードバックの機会を設けたい」と考える宿泊施設も多いようです。

 具体的には「送迎車やエレベーターでは、お客様を待たせてでも1組ずつにこだわった方が良いのか」など、顧客対応一つひとつの細かな点が気になっているようです。

 実は、このような宿泊施設でお客様への対応に悩む点は、宿泊客にとっても懸念事項であります。

 ユーチューブで「ホテル コロナ対策」というキーワードで検索すると、大手資本やグループ企業を中心に、国内外の宿のコロナ対策が動画で紹介されていて参考になります。

 宿泊客の視点で見ても大変安心できるものです。今からでも動画で自館のコロナ対策を紹介することもお勧めしたいです。

 Go Toトラベルの一旦停止期間中(2月7日現在)に、自館のWithコロナ時代の接客スタイルを全般的に見直す機会にしたり、コロナ対策の紹介動画を撮る時間に充てて、Go Toトラベル再開後にさらにレベルアップした宿になるための準備期間にするのも賢明な判断です。

 当社では、受入態勢や接客内容の改善アドバイスにスタッフ研修、コロナ対策の紹介動画作成の支援も行っております。

 ご相談やお見積りなど、気軽にお問い合わせください。

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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*おもてなし接客本、出版しました!「ちょっとした心づかいでこんなに変わる!おもてなし接客術」

GoToトラベル事業再開前に十分な検証を行い、現場の声を聞いてほしい

Posted on 2021-02-16

2月10日付けで観光庁のサイトにて「GoToトラベル事業における利用実績等について」が発表されました。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news06_000499.html

概要を抜粋すると
―――
2020年7月22日~12月28日チェックアウト分の利用実績として、

利用人泊数…少なくとも約8,781万人泊

支援額…少なくとも約5,399億円
 宿泊・旅行代金の割引 …少なくとも約4,082億円
 地域共通クーポン利用額…少なくとも約1,317億円 ※10月1日~スタート

一人泊当たり割引支援額…約 4,649円
一人泊当たり旅行代金 …約13,282円
―――

コロナの影響が無かった令和元年8月~12月の日本人延べ宿泊数が2億1,258万人(観光庁・宿泊旅行統計調査より)であったのと比較すると、おおよそ前年同期比41.3%の利用実績であったことがわかります。

コロナ禍で、主に旅行消費の中心層である高齢者が出控えをしていたことを考えると、まずまずの数字なのかと思います。

『Go To トラベル事業における利用価格帯分布(7~10月/宿泊旅行)』
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001386457.pdf を見ると、
―――
宿泊単品は、“5,000円以上10,000円未満”の利用者が最も多い41.1%を占め、次いで“5,000円未満”が多く、比較的低価格帯の利用が中心となっている。
―――
という結果も公表されていました。

GoToトラベルが始まってから「単価が高い宿にばかりお客が集中している」といった話題が沸騰したため、このようなデータの発表に至ったかと思います。

ただし、料金のかからない幼児や数千円の施設使用料だけの幼児、大人の半額程度の子供も大人と同様に単価算出の際の頭数にカウントされていることを考慮すると、実際の一人泊当たり旅行代金はもう少し高額になると推定されますので、鵜呑みにはできない指標であります。

GoToトラベルの事業予算は当初予算からするとかなり増額されており、当面の予算不足を補うため12月に予備費から約3119億円が支出され、さらに2020年度第3次補正予算案には約1兆311億円が計上され、総予算額が約2.7兆円となっています。

従って、上記の2020年12月28日チェックアウト分の利用実績における消化率は全体の20%にも達していません。
年末年始のキャンセル補填額でどの程度上振れするかは未知数ですが、かなり多めに見て倍額と試算しても40%未満と言えます。

閣議決定された追加経済対策では『6月末までとすることを基本の想定』とされているため、残りの60%、1兆6,200万円をそれまでに消化しきることが前提となっています。

とはいえ、2月13日現在、GoToトラベル再開の見込みは立っておらず、世間では「五輪が終わってから再開させるのでは?」という噂話も出てきている位です。
私個人的には、昨年のGoToトラベル事業のスタートが、旅行需要が高まる夏休み前であったことから、4月下旬の連休前に焦点を併せて再開するのではないかと見込んでいます。

仮に今直ぐにこれまでと同じ制度内容で再開したとしても、これまでの消化率や時期的なものを考慮すると、6月末までに消化しきるのは絶対に不可能と言えます。

GoToトラベル予算、事業再開なら十分消化は可能=赤羽国交相
https://jp.reuters.com/article/%EF%BC%A7%EF%BD%8F%EF%BC%B4%EF%BD%8F%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%99%E3%83%AB%E4%BA%88%E7%AE%97-%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%86%8D%E9%96%8B%E3%81%AA%E3%82%89%E5%8D%81%E5%88%86%E6%B6%88%E5%8C%96%E3%81%AF%E5%8F%AF%E8%83%BD%EF%BC%9D%E8%B5%A4%E7%BE%BD%E5%9B%BD%E4%BA%A4%E7%9B%B8-idJPL4N2KI1CN
において、
―――
「国内旅行需要は年間22兆円。うち4割がビジネス、6割が個人。
個人の50%が利用すると仮定しても毎月3000億円以上GoTo事業が利用されてもおかしくない」と試算を披露した。
―――
との記事がありましたが、どのような期間・根拠に基づいての試算なのでしょうか。私にとっては全くもって不明でした。

これまでのGoToトラベル事業期間に於いて、1度の支援額が大きいことによる
・当該事業期間中と終了した後の需要の落ち込み幅への懸念
・客層の悪化
等を理由に、旅行金額の50%という支援額の見直しを要望する声が各地で聞こえていました。

旅館では連日満室近くの予約が入るので、そのために派遣スタッフを雇ったりと、受け入れ態勢にも負担が大きいものでした。

改善案としては、1度の支援額を減らして、その分予算の消化スピードを遅らせて、長期間GoToトラベル事業の恩恵を受けられた方が利用者にとっても受け入れ側とっても良いのではないかという考えです。
稼働100%が短期間続くよりも、稼働70%が長期間続く方がバランスが保てますし、密を避けることにも繋がります。

それが、GoToトラベル事業予算の消化(使い切り)を目的としてしまうと、これまでよりも支援額を増額したり、条件緩和の方向に向かってしまうことが容易に想像できます。
そんなことになっては以前よりも状態が悪化することは目に見えてわかります。

GoToトラベルの一旦停止中である今こそ、こらまでの実績を検証し、宿泊業・観光業・旅行業の現場の声を参考に、事業期間の延長を主とした柔軟な議論を重ねてもらいたいと考えています。
GoToトラベル事業が失策ではなく、必要な経済対策であったと評価されるためにも大切なことです。

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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外国人スタッフを交えた研修をする場合の5つのポイント

Posted on 2021-02-02

厚生労働省および内閣府の資料によると、2019年10月末現在の外国人労働者数は1,659千人であり、2008年が486千人であったのに対し、この10年間で1,173千人(341.3%)の増加となっています。

外国人労働者数と就業者全体に占める割合は、2008年は0.8%であったのに対し、2018年は2.2%にも及んでいます。

国籍別では、中国で418千人(25.2%)で最も多く、次いでベトナムが401千人(24.2%)、フィリピンが180千人(10.8%)、ブラジルが135千人(8.2%)、ネパールが92千人(5.5%)の順となっています。

産業別では、「製造業」が483千人(29.1%)で最も多く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)」が267千人(16.1%)、「卸売業・小売業」が213千人(12.8%)、「宿泊業・飲食サービス業」206千人(12.5%)、建設業93千人(5.6%)の順となっています。

皆さんご存知の通り、宿泊業にも多くの外国人労働者が就労するようになっており、このコロナ禍でもその風潮は変わることはありません。

ここ最近では旅館の新入社員向けの研修にも外国人スタッフが複数名参加するようになり、研修内容や時間配分も外国人スタッフ向けの内容にカスタマイズしており、参加する外国人スタッフの出身国によって内容に違いを出したりもしています。

今回のメールマガジンでは、外国人スタッフを交えた研修をする際のポイントを5つ紹介しようと思います。

1.ホテルと旅館の違いを明確にする
2.日本人の国民性を理解する
3.おもてなしについて認識を深める
4.身なり・動作>言葉
5.周辺観光地の実地研修に連れていく


1.ホテルと旅館の違いを明確にする

旅館に就労する外国人スタッフでも旅館に泊まったことが無い方がほとんどです。
外国人が旅館に求めるものは、日本文化を体験するといった明確な役割がありますが、日本人が旅館求める役割はあまり理解していないかも知れません。

旅館に泊まったことがあるとしても、日本人が(リゾート)ホテルと旅館に求めるものの違いを認識していないことが多いでしょう。

一例をあげると、
・ホテル⇒長期滞在/大規模/不特定多数の人が出入りする/スタッフとの関係性は浅い
・旅 館⇒短期滞在/小規模/特定の人だけが滞在する/スタッフとの関係性は深い

このような対比をさせて、旅館よりもホテルの方がスタッフの接客・おもてなしに求める期待値が高い等と説明します。


2.日本人の国民性を理解する

・時間に対しする考え方⇒厳しい、基本的には5分前行動
・礼儀⇒正しい、しきたりや席次や順序等を大事にする
・仕事に対する姿勢⇒仕事第一主義、したがって(仕事中の)スタッフに対しても求めるレベルが高い
・協調性⇒高い、皆が評価しているものが好き
・自己主張⇒あまりしない、後からクレームを付けられることが多い
・企業とお客様の関係⇒常にお客様が上、常に下手(したて)に出ると良い

このような国民性であると理解を深めてもらい、日本人のお客様と接する時に把握しておいて欲しい点として紹介します。

一方で、研修に参加している出身国の国民性についても言及すると良いでしょう。
先日の研修では、ベトナムとネパールから来日した方がいらしたので、各国の国民性について調べてみると以下のようなことが挙げられていました。

・ベトナムは、器用、向学心旺盛、近視眼的、カカア天下
・ネパールは、素直・従順、人懐っこい・人が好き、遠慮深い、アバウト

※ちなみに研修では、気分良く受講していただけるように、【短所】については触れずに【長所】だけを挙げることをお勧めします。

日本人の国民性も各国の国民性もあくまで一般論ではありますが、両国を比較するのも興味深く、勉強になります。
例えば、ネパールは日本と同様、席次等を大事にする習慣があるけれど、ベトナムにはそのような文化はないとのことでした。そのため、ベトナムの方には特に場所の意味や順序を気を付けることを強調すると良いと思います。


3.おもてなしについて認識を深める

日本人なら何となくでも理解している「おもてなし」ですが、外国人は今一つ「おもてなし」が何を指すかを把握できていないようです。

例えば、日本人スタッフに「『おもてなし』ってどんなことを指すか?」を質問すると、「お客様に喜んでいただく」とか「お客様を感動させる」という回答があるのに対し、外国人スタッフに同じ質問をすると、「接客よりももっとカッチリ、しっかりしたもの」という返事が返ってきます。

私の定義ですが、「おもてなし」は「お客様を思って為すこと」と捉えている為、その点を説明しながら「どうしたらおもてなしが提供できるようになるか?」
を、実践練習を交えながら認識を深めていただきました。


4.身なり・動作>言葉(言葉よりも所作・立ち居振る舞いを重視する)

特に外国人スタッフの印象を決定付ける要因としては、ことばを流暢に話せるかよりも、身なりが整っているか、お客様に失礼の無い動きができているかの方が重要でありますし、彼らも話し方よりも動作を直す方がはるかに簡単であるのは皆さんご承知の通りです。

襖を叩いたり、テーブルや畳の上で物を引きずったり、お盆を跨いで歩いたり、中腰のまま接客をしたり、敷居や畳の縁を踏んだり、床の間の前を通ったりというのは、外国人スタッフに良く見かけるNG動作です。

外国人スタッフの皆さんはただ知らないだけで、ダメな理由を1つ1つ説明しながら指摘をすれば直ぐに動作を改めることができます。

接客のトレーニングをする際は、ことばの部分は二の次にして、まずは見栄えの良い姿勢が取れるか、分離礼でのお辞儀ができるか、日本のしきたりに沿った行動がとれるかを徹底することをお勧めします。


5.周辺観光地の実地研修に連れていく

ゆくゆくは宿泊客に観光案内ができるように、周辺の観光地に“連れていく”ことをお勧めします。

地理や歴史といったその土地の文化的な背景を理解してもらう為にも、日本人スタッフも付き添って案内をしながら行くと良いでしょう。

実地研修に連れていくことは、観光案内をできるようにするためでなく、その土地のことを知ってもらい愛着を持ってもらうことで、離職を防ぐという狙いもあります。


いかがでしたでしょうか。

外国人スタッフは真面目で勉強熱心な方が多いため、研修のし甲斐があるというのがこれまで私が研修を担当した感想です。

これから外国人スタッフを交えた研修を予定されている皆様のご参考になれば幸いです。

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