「2021年04月」の記事一覧

ワクチンパスポートとデジタル健康証明パスポート

Posted on 2021-04-12

様々な「経済・社会活動を活性させる切り札」としてのワクチンパスポート、「旅行再開の切り札になる」としてデジタル健康証明パスポートが取り上げられています。

ワクチン接種が最も進んでいるイスラエルでは、ホテル、ジム、レストラン、バー、コンサートに行くのにワクチン証明を必要とし、EU諸外国では入国規制を緩和するために、ASEAN諸国でも導入に向けての議論が進んでいます。
一方、アメリカではつい先日、差別やプライバシー・権利保護の観点から「ワクチンパスポート」導入しないと政府が決定しました。

翻って日本はというと、当初パスポート導入に否定的な見方でしたが、諸外国に倣って導入を検討する姿勢になりました。

ところで、4月8日時点の日本国内のワクチン接種は、
・必要回数のワクチン接種完了者が42万人(人口比:0.3%)
・ワクチンを 1 回以上接種者が107万人(人口比:0.8%)
 (Google>新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)>統計情報より)
という状況です。

4月9日現在、人口100人あたりの累計接種回数は、首位がイスラエルの112.5回であるのに対し、日本は僅か1.2回。主要先進各国に大幅な遅れを取っている状況です。
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-vaccine-status/#cumulativeVaccinationsPer100000ByCountry

国内でのワクチンパスポート導入の是非ですが、COVID-19のワクチンを接種するか否かの議論でも、「ワクチンパスポートの有無によって旅行や消費活動が妨げられてしまうのであれば、接種する」という意見も耳にします。
従って、ワクチン接種を促進したいのであればワクチンパスポートを導入するのが効果的だと考えます。

仮に導入された場合に、旅行・観光・宿泊業界がいかに活用するのか、業界全体としてパスポートの提示を義務化するのか、それとも個々の施設に委ねるのかも気になるところです。


続いて、デジタル健康証明パスポートですが、日本ではTeCOT(海外渡航者新型コロナウイルス検査センター/厚生労働省と経済産業省が運営)が医療機関からの委託を受け発行することになります。
国内外の航空会社を中心に導入が進んでいるスイスの財団が運営するコモンパスなどの国際規格への対応も視野に入れているとのことです。

経済産業省の「海外渡航者新型コロナウイルス検査センター運営委員会」の資料を見ていると、当初は渡航者自身の体温や症状・感染者との接触の有無に関する記述があったものの、これらは削除し、「健康状態」ではなく「陰性検査結果」を証明する内容に変更して進められているようです。
https://www.meti.go.jp/shingikai/external_economy/overseas_travelers/pdf/007_03_00.pdf 他)

ちなみに、TeCOTモバイルアプリ・デジタル証明機能が先週リリースされ、試しにアプリをダウンロードしましたが、ログインごとに登録メールアドレスに届くワンタイムパスワードを入力する必要があったり、ログインパスワード以外に4桁のPINコードの入力、生体認証も求められたりと、セキュリティ面はしっかりしているという印象でした。

さて、この仕組みが構築されればPCRの陰性を条件にした海外渡航をスムーズにできるようになるはずですが、実際にボーダレスに運用が開始される迄には相当な時間がかかることが予想されます。

というのも、まずは国ごとに承認しているワクチンが異なること。
日本では米ファイザー社と英アストラゼネカ社のワクチンを承認し、接種が進んでいるわけですが、逆を言えばモデルナ社やJ&J社他のワクチンは未だ承認されていません。
ワクチン接種をしていても、訪問先の国で承認されているワクチンでなければワクチン接種証明にならないということになるのでしょう。

それだけでなく、国ごとに求める様式も異なります。
例えば、
・米国、英国、オーストラリア、インド、台湾、カンボジア、チリ等は、陰性証明があればOK。<様式A>
・ロシア、オランダ、インドネシア、マレーシア、エジプト は<様式A>+署名・押印(医師、医療機関)等
・ベトナムは <様式A>+署名・押印、渡航情報詳細(滞在先)
といった具合です。

従って、現時点でデジタル健康証明パスポートのプラットフォーム自体は機能していても、国ごとに求める条件が揃っていないため、運用はできない状況です。

ワクチンの接種が進めば、近い将来、国内旅行はもとより海外旅行も夢ではない!、と思っている人も少なくないかも知れませんが、当面先になるものと考えています。
諸外国との出入国をスムーズにするためのこれらの摺り合わせを、今から進めて行くことを考えると、日本国民のワクチン接種希望者全員に接種が完了するのと、このプラットフォームが活用される段階になるのどちらが先になるのか等と憂慮してしまいます。

恐らくは、相手先国の国内のワクチン接種完了者の割合も渡航条件となるのでしょうから、先述の通り日本が先進国に比べて大幅に遅れを取っていることを考えると、日本にインバウンドの波が押し寄せるのは、世界的に海外旅行が再開してからしばらく後になってからになるのだろうと懸念します。
日本人が海外旅行に出られるのも然りで、まだしばらくは、国内のお客様の集客に専念せざるを得ない続きそうです。


ところで、ワクチン接種は旅行再開の切り札になることは間違いないでしょう。
“BEFORE COVID-19”の国内旅行を牽引していたのはアクティブシニアの客層であった訳で、その客層が感染を懸念して出歩かなくなっているのは旅行業界にとって大きな痛手となっているのは皆さんご承知の通りです。

日本ではまだまだワクチン接種対象者が限られており、ワクチン接種を拒む人の割合がどの程度あるのかは見えてきませんが、ワクチン接種に懐疑的な方も少なくないはずです。

観光・旅行・宿泊業界の発展・再起のことを考えると、業界を挙げてワクチン接種を促進するような働きかけをしていく必要があるのかも知れません。

 

******************************************************************************

株式会社観光文化研究所 井川今日子

*観光文化研究所公式HPはこちら。

*ブログでは書けないDEEPな内容!?メルマガ登録はこちらから。

*おもてなし接客本、出版しました!「ちょっとした心づかいでこんなに変わる!おもてなし接客術」

2021年4月
« 3月   5月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

アーカイブ

サイト内検索