「2021年05月」の記事一覧

~お客様評価を上げる近道~ 滞在中の顧客評価の収集

Posted on 2021-05-24


先般、宿泊先を選ぶ際に、絞り込んだ候補が2~3軒ありましたが、最終的にはクチコミの評価点や内容で泊まる宿を決めました。
その結果がどうであったかさておき、宿泊予約の際、宿のクチコミ評価が最後の一押しになるのは今も昔も変わりません。

恐らくは全ての宿が顧客評価を上げることに関心を持っていて、関心が高いからこそ、私の接客研修講師の依頼も絶えないのだろうと思います。

この顧客評価ですが、“滞在後”だけではなく、“滞在中”にも評価してもらうことができれば、最終的な評価を上げることができると考えています。

というのも、以前私の知人がとある宿に滞在している時に、リアルタイムで宿の感想を知らせてくれるということがありました。良い点も悪い点もあるのですが、良い点はともかく、悪い点はその場で宿に言えば「すぐに解消されるのに」という類のものばかりでした。
そのことを宿に伝えたかを聞いても、「特に聞かれもしなかったし、わざわざ言うのも面倒臭いし、言ったところで得することが無いから別に言わない」という回答があるのみでした。

部外者(私)の方がざっくばらんに意見を言えるし、クレーマーと思われるのが嫌という心理状況も働いているのだと思います。

滞在中の不満点がその場で解消されれば、お客様の満足度の下げ幅は最低限に留められるのですが、それができないが為に不満指数はどんどん大きくなり、顧客評価が最低にまで下がってしまいます。
そのタイミングで滞在後のアンケート評価を依頼されるので、自ずと評価点は下がるのは言うまでもありません。

滞在後だけではなく、滞在中にもアンケートが収集できると、宿側が即座に対処でき、お客様も今以上の満足度が得られるはずです。
接客が全て終わった滞在後のアンケートだけではなく、接客中にもアンケートをとれる様な仕組みを取り入れられれば、お客様は今以上の満足度が得られるものと考えられます。

とはいえ、滞在中にせっかくゆっくりなさっているお客様の目の前にアンケート用紙とペンを持っていき、「今までのご滞在に関するアンケートにご協力お願いいたします」というのは非現実的で全くお勧めしません。

それではどのように滞在中にお客様評価(特に不満点)を集めることができるでしょうか。
それはやはり接客を通して確認していく他ありません。

そもそもは不満を抱かせないようにすることが大事ですが、それがなかなか徹底できないのが現実だと思います。これは宿側の問題だけではなく、お客様の考え方や嗜好も大きく影響するためです。
しかしながら、接客トレーニングをしたり、オペレーションの見直しをするなどして不満を抱かせないようにする体制づくりが先決です。

それ以上に着目したいのが、「お客様が意見を言いやすい環境を整えられているか?」という点です。

お客様が不満を感じた時、例えば、特典にワンドリンクの記載があったのにワンドリンクが出てこない時のお客様の対応として、以下3つに分類できると考えます。

①すぐに言う(10%)
②どうなっているのだろう?と少し様子を見てから言う(30%)
③何も言わずに、提供されなかったという結果を迎えてから、滞在後にアンケートやクチコミに書く人(60%)

各属性の割合は私の感覚によるものですが、サイレントクレーマーの話に言及すれば、苦情を言う顧客の割合は僅か4%で、残りの96%の人は苦情を言わないという法則もあるので、②と③の比率はもっと高いかも知れません。

言わずもがなですが、①から③の順に満足度は低くなっていく傾向にあります。不満が解消されない時間が長ければ長い程、不満指数は上がっていきます。
この②+③の90%の人たちの不満をその場で吸い上げれば、不満指数を下げ満足度を下げないようにできるはずです。

ここで、皆さんの(宿のスタッフの)接客を振り返っていただきたいのですが、
1.宿や料理の説明を一通りして終わる ⇒ ×
2.宿や料理の説明を一通りして、不明点が無いか確認する ⇒ △
3.宿や料理の説明を一通りして、不明点が無いか確認する、都度感想を聞く⇒〇

3.の対応ができて初めて、お客様が意見を言いやすい環境が整えられていると言えます。
私の知人が言ったように、お客様は「聞かれなければ言わない」のが普通です。

例えば、旅館の夕食のタイミングでお客様に
「お部屋ではお寛ぎいただけましたか?至らない点はございませんでしたで しょうか?」
「お風呂は入られましたか?お湯加減いかがでしたか?」
等とスタッフ側から聞けば、お客様が意見・不満を言い易い環境を作ることができます。
対して、ただ料理のことだけを説明しているスタッフに、お客様が自ら部屋や風呂の意見・不満を述べるのは相当ハードルが高いでしょう。

多少の会話のテクニックが求められるものの、このように接客中にお客様の意見・不満を吸い上げやすい仕組み作りをすれば顧客評価を収集することができます。

しかしながら、収集だけでは不十分です。
大切なのはお客様から頂いた意見・不満を即座に対応する体制まで整えてこそ、価値が生まれ、顧客評価向上という成果に結び付けることができます。

意見・不満に即座に対応する体制が整わないのであれば、今まで通り事後アンケートだけにしていた方がまだマシです。
なぜなら、不満を言ったお客様はもちろん即座に対応いただけることを期待しています。
それがチェックアウトの時間になっても善処されなければ、当初の不満に加えて「わざわざ不満を伝えたのに無視された」という不満も加わり、不満指数は倍増してしまい、かえって顧客評価が悪くなります。

また、お客様の不満を吸い上げるのと併せて、既に頂いた(過去の)クレームを活用しながら不満を未然に防ぐ取り組みも効果的です。

例えば「貸切風呂の温度が熱すぎて入れなかった」とクレームがあった場合、その後貸切風呂をご利用になるお客様には、「ご利用の際には是非一度浴衣のまま浴槽の温度をご確認頂けますでしょうか。熱い・ぬるい等がありましたらお知らせください。直ぐに調整に伺います」と声を掛けるといった具合です。

このように既存のクレームを活用した声掛けひとつでも、お客様が意見を言い易い環境を整えることができ、不満を未然に防ぐことに繋がります。

滞在中の顧客評価の収集こそが、最終的なお客様評価を上げる近道となります。

******************************************************************************

株式会社観光文化研究所 井川今日子

*観光文化研究所公式HPはこちら。

*ブログでは書けないDEEPな内容!?メルマガ登録はこちらから。

*おもてなし接客本、出版しました!「ちょっとした心づかいでこんなに変わる!おもてなし接客術」

緊急事態宣言等、お客様都合だけではないキャンセル料の徴収について

Posted on 2021-05-11

連休前に3回目の緊急事態宣言が発令され、それに伴う予約の鈍化やキャンセル被害も少なくなかったと思います。

その際に、「緊急事態宣言が出たから…」「まん延防止措置が出たから…」という理由でキャンセルをするお客様も多かったのではないでしょうか。

年末年始と違い、今回は国がキャンセル料を補填するという動きは無かったのですから、規定のキャンセル料をお支払い頂くのが然るべき対応ですが「このような時期だから仕方無い」と鼻からキャンセル料の徴収を諦めている宿泊施設が多いのが実情です。

このように宿泊施設によってキャンセル料を取る・取らないのバラつきがあるのは、以前より懸念している問題です。
お客様側に「A旅館では取られなかったのに、おたくのB旅館では取るのか?信じられない!」という、キャンセル料を支払わない言い訳の材料になってしまう為です。
しかしながら、例えばA旅館の企業方針や企業努力と言われてしまえばそれまでですので、第三者がとやかく言える問題ではない面でもあります。

少し話は反れますが、コロナ以前にもキャンセル料徴収の問題で、身内の不幸や怪我・病気を理由に「当然キャンセル料は支払わなくて良いですよね?」という姿勢を示された時は、多くの航空会社や旅行会社がそうしているように、死亡診断書や医師による診断書のコピーを提出頂くことを条件とする必要があると考えています。

死亡診断書や医師による診断書のコピーを提出頂いて、初めてキャンセル料の免除や一定期間内の日付の変更を提示するべきです。
本当に身内の不幸や怪我・病気を理由としたキャンセルである場合は、当該書類を提出するのは容易いでしょうし、それを面倒と思うようであれば、そもそもキャンセル料を支払う姿勢を見せるでしょう。

そうでないと、本当かどうかも判断できない中でキャンセル料を免除してしまうこととなり「身内の不幸とでも言っておけばキャンセル料を払わなくて済むだろう」という悪質な客の思う壺になってしまいます。

航空会社や旅行会社と比較すると、宿泊施設の対応は“緩い”ため、利用者に甘く見られてしまっても仕方が無い状況を作り出してしまっています。

話を戻すと、同じ条件下でも宿泊施設ごとにキャンセル料の支払いが必要か不要かというのは各企業の方針ですのでこれ以上とやかく言うつもりはありません。
それ以上に問題視し無ければならないのは、同じ宿泊施設であるにも関わらず、対応するスタッフによって結果が異なるという状況を生んでしまっていないかという点です。
とにかくお客様と揉めるのが嫌、というスタッフが勝手にキャンセル料を免除してしまってキャンセル料取り損ねるという事態も生んでしまいます。

お客様都合のキャンセルであれば、どのスタッフが対応しても基本的には宿が定めたキャンセル料を請求するだけなので問題ないですが、お客様都合だけではないキャンセルの場合は正規のキャンセル料を請求するべきかどうか毎回悩むのではないでしょうか。

例えば、緊急事態宣言を理由に宿泊前日にキャンセルを希望するお客様に対し、スタッフAさんが対応すると、キャンセル料を全額免除になる一方で、スタッフBさんが対応すると、キャンセル料が一部免除となる。スタッフCさんが対応すると、キャンセル料を全額徴収される。

こういった状況が一番まずいのは言うまでもありません。
電話口にどのスタッフがでるかでお客様の負担が決まる一種のロシアンルーレット状態になってしまいます。

また、キャンセル料を徴収するかどうかは、“お客様に払う姿勢があるかどうか”によって決めるという心理戦や感情論を伴うことが多いというのも実情です。

キャンセル料が発生している期間のキャンセルの連絡があった場合、お客様側から「キャンセル料の支払いはどのようにしたらよいですか?」と言われると、
・宿側で良い(旅館に対して好意的な)お客様
 ⇒是非来てもらって、リピーターになってもらいたい!
と判断して、「今回は結構ですのでまた是非日を改めていらしてください」という会話になるといいます。

反対に、「キャンセルの理由を延々と説明して、こんな理由なんだからキャンセル料は取るはずないですよね?」というスタンスの方には、
・宿側で好ましくない(旅館に対して敵対的な)お客様
 ⇒来てもらってもトラブルになる可能性が高く、来てもらわなくても結構!
と判断して、なんとしてもキャンセル料を徴収しようという姿勢で臨みます。

個人的には、このようなお客様の姿勢次第で対応を変えるというのは1つの策戦であって、大いに結構だと考えております。

とはいえまずは、緊急事態宣言のようなお客様都合だけでない場合のキャンセルに対して、まずはどのような初期対応を取るのかを社内でルール決めすることが大切です。
キャンセル理由はお客様によって微妙に異なりますので、最終的には支配人や経営陣の判断を仰ぐことになるかと思いますが、キャンセルの連絡があったときの第一声を揃えておくことに意味があります。

「かしこまりました。それでは事情が事情ですので今回のキャンセル料につき ましては特別に免除とさせていただきます」
にするのか
「かしこまりました。大変申し訳ないのですが、キャンセル料は規定通りご請 求申し上げます。ただし、そのキャンセル料は預かり金の格好とし、宿泊日 から半年間の有効期限で、次回ご利用の際のご宿泊料金に充当させていただ きます」
にするのかという点です。

新規かリピーターのお客様かで対応を変えるのも大いにありだと思います。

余談ですが、カップル利用が多いケースでは、「一緒に行こうと思っていた相手と破局してしまったため行けなくなりました。その場合でもキャンセル料を取られますか?」と食い下がるお客様もいると聞きます。
当然キャンセル料は取るにしろ、どのような声掛けをするべきかという文言は決めておいて損はないと思います。

このように想定されるルールを決めておくと対応するスタッフも判断が楽になりますし、スタッフの勝手な判断や失礼な対応を未然に防ぐことに繋がります。

コロナ以前のように安心して旅行ができる体制が整うにはまだしばらく時間が掛かりそうですので、キャンセル対応の見直し・ルール化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 ******************************************************************************

株式会社観光文化研究所 井川今日子

*観光文化研究所公式HPはこちら。

*ブログでは書けないDEEPな内容!?メルマガ登録はこちらから。

*おもてなし接客本、出版しました!「ちょっとした心づかいでこんなに変わる!おもてなし接客術」

2021年5月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

アーカイブ

サイト内検索