「2021年11月」の記事一覧

新たな『GoToトラベル事業』と、伴走する『県民割』の対処に備えよう

Posted on 2021-11-22

ここ最近、GoToトラベルキャンペーンの報道が相次ぎ、宿泊施設にはお客様から「いつ始まるんだ?」等、むしろこちらが教えてほしい!、と言いたくなるような問い合わせが相次いでいるようです。

11月19日付けでGoToトラベルサイトでは、事業の再開時期は未定としながらも、新たな割引率などの概要が明記されました。

新たな「GoToトラベル事業」の概要について
https://goto.jata-net.or.jp/index.html#main

●割引率 30%
●割引上限額(宿泊付) 交通付き:10,000円、宿泊のみ:7,000円
●割引上限額(日帰り) 3,000円
●地域共通クーポン<一泊あたり> 平日:3,000円/休日:1,000円 
 ※平日/休日 の定義は別途発表予定。
●感染症対策 ワクチン・検査パッケージの活用、旅行後2週間以内に陽性となった際の報告や旅行中の行動履歴の記録。

前回は、1泊すると宿泊割引と地域共通クーポン合わせて2万円の割引でしたが、今回は平日1万円、休日8,000円の割引のため、5~6割減の旅行補助となります。

前回は1泊4万円の宿泊をすると最大限の補助を受けられる制度でしたが、今回は、宿泊のみの場合、1泊23,000円の宿泊で最大の割引が受けられることになります。
「高単価の宿ばかりにお客が流れた」という一部の批判的なコメントに対応する格好になったのだと思います。

一方、地域共通クーポンですが、前回は曜日による差は無かったものの、今回は平日に旅行をした方が得になるように設定されています。

仮に宿泊割引が最大限受けられる1泊23,000円の宿泊の場合、平日なら前回同額の3,000円のクーポンが受け取れますが、休日なら前回より-2,000円の1,000円となります。
家族4人で試算すると、平日なら12,000円になる反面、休日なら4,000円にしかならず、クーポン金額8,000円の開きがあり、これが連泊にでもなると馬鹿にできない金額になってきます。

GoToトラベルキャンペーン事業が始まるまでは、国が旅行に補助金を出すことが無かったことを考えると1万円でも十分なはずですが、前回の2万円と比較したり、首都圏を中心に地域観光事業支援(県民割)がなかなか始まらないエリアの人にとっては物足りなさを感じてしまうのは否めません。

しかしながら、このような割引率の引き下げはGoToトラベル終了後の需要減退に大きなギャップが生じないように配慮されてのことでもあるのでしょう。

さて、ようやくここまでの情報が明示されましたので、あとは
1.予約受付開始時期
2.対象宿泊期間
3.行動履歴の記録・証明の仕方
4.地域共通クーポンの発行の仕方
5.ワクチン証明や陰性証明は目視で良いのか、控えが必要か
6.既存予約の取り直しが必要か否か
等の情報が出そろえば、“GoToトラベルに関しては”まずは一安心です。

旅行者にとっては特に1.~4.が気になるところですが、宿泊事業者にとってはそれに加えて特に4.~6.も気がかりです。

特に6.については、宿泊施設は予約の取り直しが必要となればいつ始まるかわからないGoToトラベルのことを気にせず、現状の稼働状況を見ながら割引プランの販売ができる一方で、旅行者は「GoToトラベルが始まるまでは予約をしない!」という予約控えが生じてしまいます。

一方で、予約の取り直しが必要ない(既存の予約に対しても後から割引が適用される)場合は、旅行者の予約には活気が出る一方で、宿泊施設側は「GoToトラベルが始まったらいたずらに割引プランは販売せずに正規料金で販売したい!」という点で、攻めから守りの販売姿勢に入ってしまいます。

このようなもどかしい状況を打開する意味でも4.の点も早急に明示してほしいと思う最中、先般あるOTA(Y社)から
「GoToトラベルの再開に先立ち、弊社のサイトでは既存・新規の予約にも後から割引を適用できるよう準備を進めているので、早めに予約しちゃってください」
という趣旨のメールマガジンが届きました。

GoToトラベルが始まると人気施設程予約が取りにくくなる上、宿泊施設も料金設定を上方修正することを見込んでのセールストークだと思いますが、上手いやり方だと感心してしまいました。


ところで、今回の新たなGoToトラベル事業の開始前~終了後には、『県民割』が伴走することになりそうです。

「ワクチン・検査パッケージ」の活用を条件とし、各都道府県ごとに都道府県内だけの旅行にしか適用されなかった県民割の対象を「隣県」まで拡大し、2022年3月10日宿泊分まで延長されるとのことです。

また、GoToトラベルの対象期間が現時点でゴールデンウイーク迄との見方ですが、GW後は都道府県ごとの事業に転換し、その際には再度割引率の見直しを行う予定だそうです。

上記で新たなGoToトラベルの箇所で6つの項目を挙げて「これらの情報が出そろえば、“GoToトラベルに関しては”まずは一安心です」と記載しましたが、“GoToトラベルに関しては”と強調したのはこのためです。

GoToトラベルのルールを理解するのに加え、新たな県民割のルールも把握しなくてはなりません。
しかも両制度が“伴走する”(※併用は不可)とのことですので、宿泊施設のフロントで今対応しているお客様は「県民割」、次に対応するお客様は「GoToトラベル」といった場面を迎えることが想定されます。
大型の宿はカウンターを分けて対応することを考えた方が良いのかも知れません。

県民割は11月20日現在、約40府県でが始まっています。当該エリアでは、秋の紅葉シーズンと相まって週末は満室になるほどの賑わいが戻りつつあります。

ここで問題となっているのが人手不足です。
急な需要回復があって嬉しい反面、満室時に対応できる人材を常に確保しているわけもなく、1人の仲居さんが平常時の2倍のお客様数を対応していたり、日雇いのバイトスタッフに働いてもらって何とか対応している状況です。

このような最中で、県民割のルールが変わって、新たなGoToトラベルのルールがスタートすることを考えると、気が遠くなりそうですが、常に事務局等から流れてくる情報を逐一整理し、自社ではどう対応するかのマニュアルを作成していくことが役立ちそうです。

 

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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