「2021年12月」の記事一覧

“隣県割”と“ワクチン・検査パッケージ適用”がスタート!

Posted on 2021-12-20

12月後半に差し掛かり、各地で“隣県割”の話が聞かれるようになりました。

各都道府県により異なりますが、宿泊対象期間が2022年1月4日(水)~最長で3月10日(木)までに延長され、隣接する都道府県民にも“県民割”(地域観光事業支援/多くは宿泊割引5,000円+地域クーポン2,000円)を適用させるというものです。

これまでの県民割とは異なり、割引を受けるには宿泊施設の所在する県の県民割の対象都道府県民であることを証明するだけでは不十分で、特に県外からの宿泊客には「ワクチン・検査パッケージ」の適用が必須となります。

例えば、新潟県の『使っ得!にいがた県民割キャンペーン』では、
“ご利用される皆さまへのお願い”として以下のことが求められています。
https://tukatoku-niigata.com
―――
新型コロナウイルスワクチン接種済であること又は検査結果が陰性であることが利用条件となります。
利用時に本人確認書類(身分証明)及び以下1.2.いずれかの提示が必要です。

1.ワクチン接種歴(2回目接種から14日以上経過)がわかる書類
2.検査結果通知書
 ・「PCR検査等」は検体採取日を含めて4日以内のもの
 ・「抗原定性検査」は検体採取日を含めて2日以内のもの
※ご提示がない場合は、本キャンペーンの割引等がご利用いただけません。
※親等の監護者が同伴する12歳未満は提示不要です。
―――

提示される宿泊施設では、控え迄は取る必要は無いものの、宿泊者全員分の証明書を目視で確認をするようにと言われています。

住所を証明するものは、普段から財布の中に健康保険証や運転免許証、マイナンバーカード等を持ち歩いている方が多いと思いますが、各種証明書は携帯している方が恐らく圧倒的に少ない為、宿泊日当日に「忘れた!」という事態が多発しそうに思えてなりません。

新潟県の『使っ得!にいがた県民割キャンペーン』の“よくある質問”ページ
https://tukatoku-niigata.com/question.php
を確認すると、

―――
Q27 ワクチン・検査パッケージの条件を満たさない場合とは具体的にどのようなものか

検査結果が陽性、確認書類の持参忘れ(提示できない)、ワクチン2回目接種後14日を経過していない場合、検査結果通知書の有効期限が切れている(PCR検査等は検体採取日+3日、抗原定性検査は検体採取日+1日が有効期限)等があります。いずれの場合も割引適用外となり、キャンセル料の負担もできません。

Q28 (Q27のうち持参忘れの場合)後日の提示で認められるか

後日の提示では認められません。
―――

との記載があり、万が一宿泊客が家に忘れて旅行に出てしまった場合には取返しの付かないことになってしまいます。

証明書を忘れたことに気づいたお客様が取る行動としては、「他にも同じようなお客がいるだろうから、まぁ何とかなるのではないか」と考え、とにかく宿に相談してみる。

宿側としては、お客様の申告を信じて割引を適用させたいのは山々ではあるが、お客様1人のイレギュラーを許してしまうと、他の全お客様に対しても同じ対応をしなくてはならなくなる。
それに加え、万が一お客様を特別扱いしてしまった場合に、「ワクチン証明書を忘れて泊まりに行ってしまったけど、〇〇旅館では見逃してくれた!」等とSNSで拡散されるリスクを考え、丁重に何ともならないことを伝える。

すると、一部のお客様は「融通の利かない宿」と怒鳴り出す・・・

という顛末が想像できます。

先日、全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)のアンケート報告、「観光・交通機関の現場で起きる「カスハラ被害」、客からのハラスメント経験者は約半数、航空は7割、SNS誹謗中傷が深刻化」
https://www.travelvoice.jp/20211215-150256
という記事がありましたが、まさに「カスハラ被害」を受けるフロントスタッフが増加することになるのでしょう。

先述の“よくある質問”ページでは

―――
Q25 ワクチン接種歴、検査結果通知書は原本の提示が必要か

画像や写し(コピー)等の提示でも可能です。ただしそれが本人のものでなければいけません。そのために本人確認も必要となります。
―――

という記載もありましたので、原本を持参せずにスマホで撮影した画像でも証明可能ということが判ります。

従って、宿泊日当日のトラブルを最小限に留めるためにも、ワクチン・検査パッケージの適用が必須となる宿泊客には、予め原本をスマホのカメラ機能を使って撮影しておくように事前に根気よく促しておくことをお勧めします。
電話予約では口頭で念を押し、インターネット予約では、予約時の注意事項欄などに目立つように記載すると良いでしょう。

持参忘れだけではなく、「旅行中に原本をどこかに忘れてきた&紛失した!」というリスクが伴うものですから、できれば原本は自宅に保管しておいていただき、旅行中には携帯しないでもらいたい、というのも画像提示を推奨する理由です。


さて、デジタル庁によると、12月20日から『デジタル版ワクチン証明書アプリ』が提供開始されるとのことです。
恐らくは、この『デジタル版ワクチン証明書アプリ』の表示も今回の隣県割で求められる証明書類に置き換えられるでしょうから普及が進めば今回のような「忘れた!」というリスクがかなり軽減されると思います。

但し、デジタル弱者の高齢者や「デジタルは情報漏洩のリスクがあるから信用出来ない、利用しない」という国民が一定数いるのは明らかですし、また、新たなシステムというのは不具合が出るのが付き物ですから、チェックインのタイミングで表示されない等のシステムトラブルも想定されます。

こういった点を踏まえてもやはり、ワクチン証明書は画像提示を推奨してセーフティネットを敷いておくのをスタンダードルールとしておくのが良いかもしれません。


県民割⇒隣県割⇒新たなGoToトラベル、それと並行して各自治体の宿泊補助が敷かれているところも少なく無く、ルールの異なる宿泊補助が複数走っており、現場オペレーションは複雑化していることと思います。

上記のように想定されるトラブルは未然に防げるよう制度の周知徹底、自社での接客ルールを導入して、お客様もスタッフも心地良く過ごせ、働ける環境を整えて多くのお客様を迎えたいものです。

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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『観光ガイド』が今後も価値を提供し続けていくためには

Posted on 2021-12-06

先日、秋田県由利本荘市の観光ガイド向けの研修を担当させていただきました。

対象者は、鳥海山、桑ノ木台湿原等の有償ガイドとして活躍されている方です。元教師や元専業主婦等、様々な経歴をお持ちの中高年の方がメインでした。

さて、通訳ガイドという職業は、皆さんご存じの通り、観光地にまつわる歴史・地理他、幅広い知識を以って案内しなければなりません。

“訪日外国人向け”ガイドという観点では、2018年に『改正通訳案内士法』が施行されるまでは、元々「通訳案内士」の国家資格を持った人しか有償の通訳ガイド業ができませんでした。

このことからもわかるように、ガイド業はその地域の情報を正確に伝える必要があり、ガイドの質が担保されないと務まりません。
またガイドの予約が入れば、ガイドする場所の最新の状況を把握するために、現地調査に出向くことも少なく無いようです。

そもそも観光ガイドを頼むような旅行者は、事前にご自身である程度のことを調べた上で、観光ガイドにはより踏み込んだ質問をしたい、ネットやガイドブックには載っていない情報を知りたいとお考えの方も少なくないようです。

屋外ガイドの場合は当日の天候によっては急遽キャンセルになることもあり、折角の準備が水泡に帰す可能性も多々あります。
このように非常に高い能力や不断の努力が求められるのが観光ガイドの仕事です。

ところで、総務省の令和2年版情報通信白書の「情報通信機器の保有状況」によると、
―――
2019年における世帯の情報通信機器の保有状況をみると、「モバイル端末全体」(96.1%)の内数である「スマートフォン」は83.4%となり初めて8割を超えた。
―――
との記載があります。

これだけスマートフォンが普及すると、観光地を訪れてわざわざ有償の観光ガイドを手配する必要性が薄れてくるのであろうことは容易に想像がつきます。

例えば由利本荘市の観光協会のサイトを訪れれば、観光スポットの情報が充実していますし、空港や駅の観光案内所のパンフレットラックに置かれている紙媒体の観光ガイドの表示やダウンロードもできてしまいます。

各種ウェブサイトからアクセスできる情報は無料かつ24時間365日アクセスできるのに対し、ガイドを手配すると有料かつガイドを依頼したい日の遅くとも2週間ほど前迄には予約を完了させる必要があります。

様々な情報が無償で手に入る現代。そして、交通や宿泊の予約手配が間際化・直近化している今の旅行形態からすると、通訳ガイドを手配する旅行の優位性がなかなか見出しづらくなっています。

また自分から情報にアクセスする場合は、自分の関心がある項目だけを集中的に調べることができますが、ガイドを依頼する場合は「どのような観光案内が聞けるか当日行って(会って)みないとわからない」という一種の賭けのような状況になってしまいます。

先述の通り、観光ガイドの皆様は様々な職歴をお持ちで、それぞれ得意分野も異なります。歴史ガイドが得意な方もいれば、植物ガイドや子連れ旅行客の対応が得意な方もいらっしゃいます。

本来「(旅行者が興味・関心がある)〇〇の分野に精通している」とか、「この客層の対応が得意」等の条件を指定してガイドを選べれば良いのですが、現状ではこのような指名制度は取り入れていない観光地がほとんどの様です。

当日割り当てられたガイドが相性の合うガイドであれば良いですが、相性が合わない場合は、その日の半日~1日が台無しになってしまう危険性もあります。

いまや各地の観光地で旅行者のGPS情報を使って音声ガイドを用いた観光情報提供システムの実証実験が推進されているというニュースも耳にします。
例えば、ある観光スポットに足を運ぶと、自動で観光案内が表示されたり音声ガイダンスが流れるような類のものです。
観光ガイドとの相性を懸念する旅行者はこのようなシステムの方が選びやすいのかも知れません。

現代のような時代の変遷の渦中において、有償観光ガイドが今後も価値を提供し続けていくためには、ガイドの接客レベルを上げてやコミュニケーションスキルを磨く他ありません。

ウェブサイトにアップされている情報や音声ガイドで、知識を深めることは出来ても地域の印象を良くすることは出来ませんし、旅行客それぞれの状況を踏まえた最適解を提示してくれることもありません。

文字や音声で一方的に発信される情報に勝るためには、双方向のコミュニケーションから痒い所に手が届く情報をテンポ良く提供できることが求められます。

例えば、
・ガイドをしているその時期、その時刻に見える景色に価値を見出したガイドをする
・天気に恵まれず絶景が臨めなかった時の為に「晴天だとこんな景色が見られるんですよ!」と動画や写真を準備しておく
・「いま見えている景色は別の季節だとこのような景色になるんです」と動画や写真を準備しておく
・子連れの場合は、子供にわかりやすく喜びそうな案内の仕方にやツール(虫 眼鏡等)を用意しておく
・ガイドの後の行き先や滞在地、明日の予定を聞き出し、そのルート上にあるいま話題のスポットを紹介する
・自分の得意分野を磨き、興味がある旅行客には惜しみなく情報提供し、他者との差別化を図る
といった具合です。

由利本荘の観光ガイドの皆様には研修中に実践練習に取り組んでいただきましたが、相手の状況を考えた案内や対応が非常に良くできており、さすがプロのガイドの皆様だと感心したことを覚えています。


【DX】というキーワードがまん延する今日です。
今回の話は観光ガイドに限った話ではなく、様々な接客現場で同じような局面を迎えています。
接客業で働く皆様は「デジタルでは提供できない、人間(自分)にしか提供できない価値とは何か?」を常に問い続けて、益々市場価値・存在価値を高めていっていただきたいと思います。

 

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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