連載コラム~おもてなし接客術~

『おもてなし接客術』㉟―「新入社員研修8つの心得」

Posted on 2019-02-18

 

旬刊旅行新聞2月11日に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㉟です。

「新入社員研修8つの心得」

新入社員を迎える4月が目前に迫り、新入社員研修をどうするか検討している宿も多いと思います。


 旅館のスタッフ研修を専門に行い、毎年新入社員研修も担当させていただく私から、各宿の新入社員研修で、是非取り組んでもらいたい8つの項目をお伝えします。


 1.宿の予約体験
 まず、実際のお客様と同じように、インターネット経由で自宿の予約を体験してもらいます。予約する時に、お客様がどのような情報を入力する必要があるかを理解するとともに、分かりづらい点があればそのことを報告してもらいます。

 2.宿の宿泊体験
 スタッフ研修をしていると、「自宿の会席料理を食べたことが無い、お風呂に入ったことが無い」という声をよく聞きます。これはあまりにも無責任で、スタッフ失格ですので早期に体験してもらいます。
 また、自宿に泊まったことのない人の視点は宿側にとっても貴重で改善につなげられることも多いので、気が付く点を報告してもらうと良いでしょう。

 3.旅館業界の動向
 旅館で働く以上、旅館業界の動向を把握しておくことが望ましいです。「全国に旅館が何軒あって、それが30年前と比較してどうなのか」や、「旅館が衰退していった原因は何なのか」など大まかなことは教えておくと良いでしょう。

 4.旅館の利益構造について
 利益について知ってもらい、会社の設備・備品を大切にする意識を持ってもらうとともに、会社が利益を上げることや、スタッフが給料をもらう大変さを理解してもらいます。

 5.宿の歴史、こだわり、コンセプト
 歴史のあるところは、前身や創業年、何代目かなどの沿革を伝えます。コンセプトなどは全スタッフで共有し、日常業務のなかでもその点を意識して行動してもらいます。

 6.地域の歴史・文化について
 地域の歴史文化について理解を深めてもらうことは、お客様をリピーターに結びつけたり、商品企画やサービスの幅を広げるうえでも役立ちます。

 7.基本接客・おもてなしについて
 旅館業は究極の接客業と言われるくらいですので、基本接客は早々に身に付けておく必要があります。また、おもてなしについての理解も深めてもらい、顧客満足が提供できるスタッフを目指してもらいます。

 8.各配属先の業務について
 いずれの部署でも、体系的にまとめたマニュアルをベースに業務の流れを把握してもらい、ロールプレイングや実践練習を繰り返します。
 

研修も接客だけではなく、業界やマーケティング(販売方法)、数字についての教育も行い、バランスの取れた視点を養うことをお薦めします。
 外部講師を招いての研修をご希望の方は、お問い合わせ下さい。

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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*おもてなし接客本、出版しました!「ちょっとした心づかいでこんなに変わる! おもてなし接客術」

『おもてなし接客術』㉞―「観光地としてのおもてなし」

Posted on 2018-12-11

旬刊旅行新聞12月11日に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㉞です。

「観光地としてのおもてなし」

先日、小樽市で開催された「観光関連産業で求められる人材育成講座」内の一講座で、「道内・国内観光客に対する魅力の発信とおもてなし」というテーマで講演をさせていただきました。

講座の一部では、おもてなしについて講義し理解を深めてもらったうえで、滞在前・滞在中・滞在後という時系列に沿って、どのようなおもてなしが提供できるかを、ワークショップで議論してもらいました。

受講者からは、「小樽」という町を軸にさまざまな施策を考えて発表してもらいました。なかでも印象的だったのは、滞在後の「小樽市に対する評価を聞くアンケートを実施する」というものでした。

私は「旅館」の研修を通じて、滞在前・滞在中・滞在後にどのような「おもてなし」を提供できるかに試行錯誤していますが、「観光地」という視点では、深く考えたことがありませんでした。旅行をしていると、国や地方の行政単位でも「〇〇(国名や地域名)の人は、皆さん温かかった」という感想を耳にすることがあります。

やはり、その地域の印象がそのまま評価につながっており、旅行のし易さや魅力度向上につながっています。

旅の中継地点である飲食店や宿では、口コミを投稿できるサイトが普及し、常に評価の目に晒されています。

一方で、その中継地をつなぐ交通手段や観光案内所、地元商店の人々、さらに当該観光地のWebサイトや交通・観光案内の仕方(看板など)を含めた観光客視点の利便性などは、評価されても、それをダイレクトに主体者側が把握する仕組みは、整っていないように思います。

具体的には、「〇〇観光案内所のスタッフの対応が良かった/悪かった」や「〇〇温泉のWebサイトの作りが時代遅れで、スマホでの閲覧がしづらかった」というようなことです。

旅行中に色々と感動したり、不満に思うことはあっても、その感想や評価を当事者に伝える環境が整っていないのです。

SNS(交流サイト)で自身の行動や思いを積極的に発信している人は、感じたことをアップしているかもしれませんが、それが相手に伝わっているかは、また別の話です。

余程のことであれば、相手先に直接クレームを言う人もいるかもしれませんが、大体は仲間同士で愚痴を言って終わってしまうのがふつうです。

それが旅館であれば、予約サイトの口コミ投稿機能が発達しているため、お客様の些細な感想も(嫌でも)把握しやすい環境が整っているわけです。

お付き合い先の旅館でも、お客様の声から改善を積み重ねてレベルを、めきめきと上げているところは少なくありません。

そう考えると、「観光地」という視点ではまだまだ改善の余地があり、そこに目を向けることで発展が期待できるものと思います。

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『おもてなし接客術』㉝―「おもてなしも程々に」

Posted on 2018-10-11

旬刊旅行新聞9月11日に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㉝です。

「おもてなしも程々に」

支援先のゴルフ場で7、8月は前年対比マイナスという残念な結果となってしまいました。6月までは同比プラスと好調に推移してため、悔しさもひとしおです。マイナス要因は、昨年が冷夏でプレーヤーが例年よりも多く、今年は異常な酷暑でプレーヤーが少なかったことに尽きます。

 昨年8月の東京エリアの天気は、最高気温が31度以下の日は16日でしたが、今年はわずか6日しかなかったようです。ゴルフ場のように冷夏の方が繁盛する業種もある一方で、猛暑で繁盛する業種もあります。

ただ、あまりに極端だと、色々と不都合が出てきます。やはり何事も“程々が好ましい”という言葉が当てはまると思います。このことは言わずもがな「接客・おもてなし」についても当てはまります。

 顧客満足について考えると、「少しやりすぎかな」というくらいのことをしないと、お客様の印象に残らないという考え方があります。控え目にすると、お客様の印象に残らないうえに、控え目“過ぎる”と「こんなこともしないのか」とサービス不足とみなされ、クレームになってしまうのです。

 お客様が快適に思う「接客・おもてなし」の“程度”は、人によっても異なります。実にコントロールが難しいものの、お客様が深層心理で求めているのは、「(お客様個々人の)程度をわきまえた接客・おもてなし」にほかなりません。

 現在マニュアル作成の支援をしている旅館で、①お子様のお名前を聞き、滞在中はお名前を呼んで差し上げてはどうか②お子様にはウェルカムドリンクに大人と同じお茶ではなく、ジュースを提供して差し上げたらどうか――と、子供連れのお客様向けの対応を提案しました。

 旅館からの共感は得ることができましたが、①については、あまりにたくさんのお子さんの名前を呼んでしまって「耳障りだ」と逆効果になることがあるので、目安の上限回数を決めたい、ということになりました。

 ②については「子供扱いせずに、大人と同じにしてほしい」という意見(主にインバウンド客より)もありました。

 また、旅行中は“いい子”でいてもらうためにジュースをあげることが多く、親としては必要以上にあげたくないといった意見もあり、これまで通りで行くことになりました。

 あくまで一例ですが、こちらが喜んでもらいたいと思ってしたことが、お客様にとっては程度を超えて映ってしまう可能性があることは、心得ておかなければなりません。

 スタッフの配慮の食い違いを少しでも無くすために、お客様に質問をするなどのコミュニケーションをとることは大事なのですが、やはりこれも程々が求められます。

 つくづく旅館接客の複雑さや求められるレベルの高さを思い知らされます。

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『おもてなし接客術』㉜―「英語にもおもてなしを」

Posted on 2018-08-17

旬刊旅行新聞8月17日に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㉜です。

「英語にもおもてなしを」

 旅館のスタッフ向けの「接客英会話研修」を担当しました。私の英会話レッスンをお願いしているカナダ人の先生に講師を依頼し、私は研修内容の構成や当日の通訳を含めたアシスタントという役割でした。
 
 研修中には沢山の質問をいただき、研修直後には受講した旅館スタッフの皆様から、「面白かった」「ぜひまたやってください」と大変な高評価をいただくことができました。
 
 このカナダ人の先生は、弊社で監修し販売している【旅館の接客英会話】の英文のチェックをされた方なので、一般的な日本在住の外国人よりは、旅館について精通しています。(※旅館の接客英会話 https://wa-omotenashi.jp/products
 
 さらに、日本在住期間も25年と長く、日本の常識・文化・(商)慣習を良く知っていますし、大企業のビジネス英会話のトレーナーとしても活躍しているので、安心して研修講師を任せることができました。
 
 接客英会話の研修先は、平均して1日1組程度の海外のお客様が来られる旅館でした。スタッフの方々は、外国人が宿に来られるのは当たり前になっているものの、具体的にどのような声掛けをすれば良いかがわからず、もどかしい思いをされていたようでした。
 
 参加したスタッフは約20人で、年代別では約3分の2が50代以上でした。
 
 この旅館の経営者の言葉をお借りすれば、「彼らの英会話のレベルは小学生程度。読み仮名が付いていないと英単語を発音できない超初心者レベル」とのことでした。
 
 ただ、お年を召した方ほど関心度合いが高く、研修に没頭されていて、良い意味で期待を裏切られました。
 
 研修中に挙がった質問には以下のようなものがありました。
 ・スリッパに履き替えてもらう時には何と言ったら良いか。
 ・滞在中にお客様が外出される場合に、どういうお見送りの言葉をかけたら良いか。 
 ・お戻りの際には何と言ったら良いのか。
 ・食事が終わったら内線○番まで連絡ください、は何と言ったらよいのか。
 ・お会計のときの合計金額の伝え方は。(10万円を超える数字の数え方は)。
 いずれも些細な会話だったり、英単語とジェスチャーだけでも伝わるものですが、〝伝わる(生きた)〟英語で言うにはどうしたら良いかに、興味を持たれているようでした。
 
 講師から適切な回答を得た時には、「へぇー」とか「それでいいんだ」と感心して、必死にメモを取っている姿が印象的でした。
 
 今後、ますます増えることが予想される訪日外国人観光客にも、日本人と変わらぬ「おもてなし」が提供できるよう備えておきたいものです。
 
 ※研修のようすはブログで写真付で紹介しています。https://wa-omotenashi.jp/archives/3592

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『おもてなし接客術』㉛―システム×おもてなし

Posted on 2018-06-17

旬刊旅行新聞6月11日に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㉛です。
「システム×おもてなし」

 旅館の接客の現場でも、スマートフォンやタブレット端末の導入が普及し、業務の効率化や顧客満足度向上につなげられています。
 
 例えば、紙伝票を起こすことなくタブレット端末でチェックインの手続きができるようになり、お客様が紙の宿帳に記帳する手間が省けます。具体的には、予約時に伝えていた住所や電話番号が予め入力されたタブレットの画面を見て、誤りが無ければ署名をすれば良くなります。
 
 ドリンクの注文も、これまでは注文を受けたスタッフが、裏方に戻ってからでないとドリンク作りに着手できなかったことが、注文を受けた時点で端末入力すればその内容が共有され、手が空いているスタッフが代わりに作ることもできるため、お客様を待たせずにドリンクが提供できるようになります。
 
 そのほか、端末から顧客情報を確かめることもできるため、リピーターのお客様には、再度聞くことなく過去の宿泊履歴から好みを確認できたり、記念日やお子様の名前を呼べたりするのです。
 
 このシステムの導入で、いわゆる“気の利いた”対応ができるわけです。
 
 現時点で、このような取り組みをしている旅館はまだ多くないかもしれませんが、今後普及していくと予想されます。
 
 ただ、ここで考えなければいけないのは、スタッフがシステム(端末)に振り回されてはならないということです。
 
 端末を導入した旅館での接客研修をすると、スタッフが端末に依存しすぎる傾向があり、クレームをもらいやすくなってしまうことがありました。
 
 端末ではさまざまな情報が確認できるため、見なくても良いタイミングで端末を閲覧して、お客様の気配に気付くのが遅くなってしまったり、お客様の目を見ずに端末の画面を見ながら会話を進めてしまい、失礼な対応を取ってしまっている、といったものです。
 
 一部では、業務用の端末であることに気が付かずに、スタッフがプライベートのスマホを操作しているのだと誤解していたお客様もいらっしゃった、という話も耳にしました。
 
 本来は顧客満足度向上を目的に導入した端末でも、使用する人が使い方を間違えると返って満足度が下がってしまうことがあります。
 
 あわせて気を付けなければならないのは、スタッフが端末を持っていると、当然お客様の期待値や要求度合いも上がるということです。端末を携帯しているにも関わらず、先回りした対応ができなかったり、お待たせしてしまうようなことがあると、「なんでこんなこともできないの」という評価をされる場面が、増えることが想定されます。
 
 システムの導入で便利になる反面、スタッフには基本的な接客対応と機転の速さ(おもてなし)がますます求められるようになるでしょう。

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