連載コラム~おもてなし接客術~

『おもてなし接客術』㊾―「滞在中の顧客評価を集めよう」

Posted on 2021-06-14

旬刊旅行新聞6月11日合併号に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㊾です。

「滞在中の顧客評価を集めよう」

 宿泊予約の際、宿のクチコミ評価が最後のひと押しになるのは、今も変わりません。

 顧客評価は、“滞在後”だけでなく、“滞在中”にもしてもらえれば、最終的な評価を上げられると考えています。
 
 滞在中の不満がその場で解消されれば、お客様の評価の下げ幅は、最低限に留められるのですが、それができないことで、不満指数はどんどん大きくなり、顧客評価が最低にまで下がってしまいます。そのタイミングで滞在後のアンケート評価を依頼されると、自ずと評価点が下がるのは言うまでもありません。
 
 ただ、アンケートが滞在後だけではなく、滞在中にもできれば、宿側がお客様の不満に即対処でき、お客様も今以上の満足度が得られるはずです。
 
 それでは、どのようにすれば滞在中にお客様評価(とくに不満点)を集めることができるでしょうか。それはやはり接客を通して確認していくほかありません。
 
 この時、着目したいのが、「お客様が意見を言いやすい環境を整えられているか」という点です。
 
 例えば、旅館の夕食提供の時に、スタッフからお客様に「お部屋ではお寛ぎいただけましたか。至らない点はございませんでしたか」などと聞けば、お客様も意見や不満を言いやすくなります。
 
 一方で、スタッフが料理の説明だけをしていると、お客様が部屋への意見や不満を言うのは、相当にハードルが高いと思います。
 
 接客中にお客様の意見や不満を吸い上げる仕組み作りをすれば、顧客評価を収集できますが、収集だけでは不十分です。 
 
 大切なのは、お客様からいただいた意見や不満に即座に対応できる体制を整えることでそこに価値が生まれ、顧客評価向上という結果に結びつきます。
 
 宿側に不満を伝えたお客様は、その解消を期待しています。それがチェックアウトの時間になっても解決されなければ、当初の不満に加えて「わざわざ不満を伝えたのに無視された」と、不満指数は倍増して、かえって顧客評価が悪くなります。
 
 また、お客様の不満を吸い上げるのと合わせて、既にいただいた(過去の)クレームを活用しながら、不満を未然に防ぐ取り組みも効果的です。
 
 たとえば「貸切風呂の温度が熱すぎて入れなかった」とクレームがあった場合、その後に貸切風呂をご利用になるお客様には、「一度浴衣のまま、浴槽の温度をご確認いただけますでしょうか。調整が必要でしたらお知らせください。直ぐに伺います」と声を掛けるといった具合です。
 
 このように既存のクレームを踏まえた声掛けひとつでも、お客様が意見や不満を言いやすい環境を整えることができ、不満を未然に防ぐことにつながります。滞在中の顧客評価の収集こそが、最終的なお客様評価を上げる近道です。

 

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『おもてなし接客術』㊽―「接客の極意・3つのポイント」

Posted on 2021-04-21

旬刊旅行新聞4月11・21日合併号に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㊽です。

「接客の極意・3つのポイント」

今年の新入社員研修では「接客の極意・3つのポイント」をお伝えしています。

 1.接客は掛け算である
 お客様は、無意識にも常に宿を評価していますが、評価の仕方は足し算・引き算ではなく、掛け算であるということです。

 たとえば、身だしなみはしっかりできているけれど表情に問題があるスタッフには、身だしなみ◎(2点)、表情×(0点)というように評価されます。

 この時の計算(評価)式は、「身だしなみ(2点)+表情(0点)=2点」ではなく、「身だしなみ(2点)×表情(0点)=0点」となることです。

 他の項目でいくら◎や○(1点)の評価を得られても、1項目で×の判断をされると、評価は0点にしかならないということです。

 

 2.接客業は信頼業である
 顧客満足とは、リピーターやクチコミを生み、集客や売上を左右する非常に重要なものです。この顧客満足の獲得とは、お客様の信頼を獲得することを意味します。

 信頼は【失わない】ステップと、【獲得する】ステップの2階建てだと考えています。まずは、常識のある対応を通して【信頼を失わない】体制を徹底したうえで、お客様のようすを観察しながら咄嗟の対応をすることで【信頼を獲得する】という段階に進むことを推奨しています。

 

 3.コミュニケーションを正しく理解する
 そもそもコミュニケーションには「気持ち・意見などを、言葉などで相手に伝えて通じ合う、社会生活を営む人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達。動物個体間での、身振りや音声・匂いなどによる情報の伝達」という定義があります。

 つまりは「気持ちや意見、知覚・感情・思考の伝達」というのがコミュニケーションであり、客室案内や料理説明はコミュニケーションとは言えません。

 スタッフがお客様を気遣って行動したことや、興味や感心を持って質問したことこそがコミュニケーションです。

 また、言葉だけでなく、身振りや音声、においもコミュニケーションの手段です。

 やはりスタッフ自身の気持ちや意見を表すもので、相手にとって失礼な状態であれば、相手を侮辱していることにもつながりかねません。非言語の部分からも、お客様を尊重している姿勢を伝えなければなりません。

 ところで、宿泊業界でも生産性向上やコロナ対応を目的として、自動精算機やチャットボット、ブュッフェ会場での自動盛り付け機などの導入が進んでおり、人を介さない接客場面が徐々に増えつつあります。

 そのようななかで、わざわざ生身の人間(スタッフ自身)がする接客というのは、どういう意味を持つのかを考え、自分自身が対応する価値を最大限に発揮してほしいと願っています。

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『おもてなし接客術』㊼―「今こそコロナ対応のブラッシュアップを」

Posted on 2021-02-24

旬刊旅行新聞2月11日号に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㊼です。

「今こそコロナ対応のブラッシュアップを」

 春に向けてスタッフ研修の再開依頼や、新規の依頼をいただくようになりました。

 昨年春以降に、コロナが猛威を振るい始めてから研修の一時中断が相次ぎ、緊急事態宣言下では、宿の営業がままならない状況続きました。

 その間、宿泊施設では、これまでの常識と照らし合わせて戸惑いながらもコロナ対策を導入し、接客方法を大幅に見直すことも余儀なくされています。

 6月以降に営業を再開し、7月からはGo Toトラベルキャンペーンが部分的(旅行代金の割引のみ)に始まり、緩やかに旅行需要が回復してきました。

 地域共通クーポンの配布も行われ、キャンペーンの恩恵が最大限に受けられるようになった10月以降は、連日大型連休のように宿泊客が押し寄せる時期が続きました。

 ただ、年末年始は新規感染者や重症者数の増加で、Go Toトラベルキャンペーンも一旦停止し、大都市圏を中心に緊急事態宣言が発令されるという事態となっています。

 このように、旅行需要が急速に減退する逆風の中で、未知なるコロナと共存しながら、それに伴う政府や業界の動向を必死に追いかけて、自館のことを振り返る時間もまったく持てなかった宿泊施設が「他館ではどのような対応をしているのか気になるが、視察にも行けなかった」という声も多く聞かれます。

 また「Go Toトラベル再開までの間の経営に不安はあるが、この閑散期を良い機会と考え、自館のやり方をこのまま継続しても良いのか、改善が必要かなど、1度フィードバックの機会を設けたい」と考える宿泊施設も多いようです。

 具体的には「送迎車やエレベーターでは、お客様を待たせてでも1組ずつにこだわった方が良いのか」など、顧客対応一つひとつの細かな点が気になっているようです。

 実は、このような宿泊施設でお客様への対応に悩む点は、宿泊客にとっても懸念事項であります。

 ユーチューブで「ホテル コロナ対策」というキーワードで検索すると、大手資本やグループ企業を中心に、国内外の宿のコロナ対策が動画で紹介されていて参考になります。

 宿泊客の視点で見ても大変安心できるものです。今からでも動画で自館のコロナ対策を紹介することもお勧めしたいです。

 Go Toトラベルの一旦停止期間中(2月7日現在)に、自館のWithコロナ時代の接客スタイルを全般的に見直す機会にしたり、コロナ対策の紹介動画を撮る時間に充てて、Go Toトラベル再開後にさらにレベルアップした宿になるための準備期間にするのも賢明な判断です。

 当社では、受入態勢や接客内容の改善アドバイスにスタッフ研修、コロナ対策の紹介動画作成の支援も行っております。

 ご相談やお見積りなど、気軽にお問い合わせください。

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『おもてなし接客術』㊻―「Go To限定客へのおもてなし」

Posted on 2020-12-12

旬刊旅行新聞12月11・21日号に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㊻です。

「Go To限定客へのおもてなし」

 Go Toトラベルのキャンペーン期間中、普段と異なる“旅行予算帯”のお客様も多く来られます。

 そのお客様をタイプ別に分類すると、①普段通りの予算帯の宿に宿泊する②普段よりも高い予算帯の宿に宿泊する③普段よりも安い予算帯の宿に宿泊する――の3つに分類されます。
 
 トラブルが起こりやすいのは、②と③のお客様であるのは言うまでもありません。
 
 普段と違うお客様が来られるということは、それだけ新規客の割合が高くなることを意味します。
 
 新規客が多い=相手の“常識(認識)”が分からないこともあるので、トラブルも少なくありません。
 
 ②のお客様を受け入れたケースでは、あるOTA(オンライン旅行会社)の1泊朝食付きのプランで滞在したお客様から、クチコミ評価1点を付けられたそうです。その投稿内容は「夕食が付いていると思った。夕食が付いていない旅館などあるのだろうか」というものでした。
 
 お客様の考える“予算帯”や、そのお客様の“常識”からすると、「旅館である以上、この金額なら夕食が付く」ということなのでしょう。
 
 ③のお客様を受け入れたケースでは、新規で連泊のお客様に、2日目に部屋の掃除などで、入って良いかどうかを確認しようと「お部屋はいかがなさいますか」と聞いたところ、「そのままにしておいてください」と言われたため、お客様が外出先から戻られてからリネン類の交換やアメニティ類を届けに、お部屋に伺おうと考えていたそうです。
 
 ところが、お客様が外出から戻って来て、お部屋に入るなり「ゴミの回収やタオルの交換など、何もしていないのはどういうことだ」と物凄い剣幕で怒られたそうです。
 
 恐らく、このお客様は普段からこの旅館と同等クラス、あるいはそれ以上の国内外のホテルに泊まり歩いておられており、ホテルタイプの“常識”を持ったまま、旅館に泊られたのだと思います。
 
 このように、国内の観光需要喚起のために、政府や自治体から多額の旅行補助があったり、海外旅行という旅行スタイルが制限されている間は、普段とは異なる“予算帯”で、異なる“常識(認識)”を持つお客様も多くなります。今の時期に接客・おもてなしをするうえでは、このことに留意しなければなりません。
 
 Go To期間中は、これまで接点を持てなかったたくさんのお客様と出会う絶好のチャンスでもあります。
 
 平常時にお越しになるお客様(リピーター)と比べて、利用頻度は少ないかも知れませんが、目の前のお客様の“常識(認識)”を理解・共有するように努めていただき、再度足を運びたくなる宿として印象に残せるよう、普段以上のきめ細やかなおもてなしを、提供していきたいものです。

 

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『おもてなし接客術』㊺―「おもてなしの危機管理」

Posted on 2020-10-14

旬刊旅行新聞10月11日号に掲載されたコラム『おもてなし接客術』㊺です。

「おもてなしの危機管理」

 

 厚生労働省が発表している「新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について」(9月11日集計分)を見ると、新型コロナウイルスに関わる雇用調整の可能性がある事業所数は全国で9万3929事業所、解雇など見込み労働者数は5万4817人となっています。

 業種別では、「宿泊業」が事業者数で数の大きい順で第8位の4475事業所で、全体の4・8%を占めます。労働者数では、製造業に続いて第2位の7795人で、全体の14・2%となります。

 宿泊業界では、団体客と高齢者を中心に、これまでのようにお客様が宿泊施設に来られない(旅行に出られない)のですから、事業規模の縮小に伴う人員削減を検討する施設が増えています。

 コロナ禍において宿泊業界は「人材不足」から一転、「人材過剰」とさえ言われた時期もありましたが、先が見通せないなかでの採用はリスクでしかなく、結局はギリギリの人数で運営しています。

 このような状況下で勧めているのは、部署を超えた勤務スタイルです。業界では数年前より「マルチタスク」などと呼ばれていますが、スタッフに横断的にさまざまな部署で働いてもらう形態です。

 例えば、出勤時は仲居係として朝食を提供し、チェックアウト時間になったらフロント係として精算処理を行う。さらに、チェックアウトが済んだら清掃係として客室を清掃し、チェックインの時間にはフロント係としてチェックイン対応をするといった具合です。

 一般的に、接客やおもてなしを行う部署の業務習得には時間も掛かり、慎重さが求められることが想定されるので、まずは接客・おもてなし業務の1つひとつを明確にし、文章や動画に収めて教材を作ることが大切です。

 1人のスタッフが複数部署で横断的に活躍できる体制を整えれば、スタッフの労働生産性が上がり、人材不足だけでなく、万が一旅館のある部門でコロナ感染者(クラスター)が出た場合も、カバーし合えるという危機管理も機能します。

 厳しいコロナ時代の経営体制を整えるためには、経営者の皆様に一般社員とも経営状況や今後の見通しを共有する必要があります。

 厚労省の資料にあるように、宿泊業界はコロナの影響を大きく受けていて、失業者も多いというニュースが蔓延しています。

 「自分の働く会社はいつまでもつのか、雇用はいつまで守られるのか、失業したらどうしよう」など、悶々と悩んでいる社員も少なくないと思います。

 幹部社員とは、今後の資金繰りの見通しなどを話し合っていても、一般社員に状況を説明できていますでしょうか。

 社員の心理状態は顧客対応にも反映されます。先行き不安の中では、良い接客は提供できません。社員に“余計な”不安を与えないような情報を提供する環境整備も必要です。

 

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