連載コラム~おもてなし接客術~

『おもてなし接客術』⑩―おもてなしは従業員満足から

Posted on 2014-12-11

旬刊旅行新聞12月11日に掲載されたコラム『おもてなし接客術』⑩です。
「おもてなしは従業員満足から」

 


 
脳科学者の茂木健一郎さんは「何らかの行動によって脳が『喜び』を感じたときにドーパミンは分泌され、人間に『快感・快楽』をもたらす。脳はその快感をもたらした行動をよく覚えていて、また同じようにその快感を再現しようとする。そしてその快感をもたらした行動を繰り返すうちに、上達していく。これが『学習』のメカニズムである」と仰っています。

 
このメカニズムを接客にも当てはめようと思うと、従業員満足が非常に重要であることがわかります。「従業員満足」は経営者の努力次第と思うかもしれませんが、そればかりではありません。スタッフ自ら自分自身を満足させようと行動することが従業員満足だと考えています。

 
先日、クライアント旅館に次のような口コミが投稿されました。「何より従業員の方々がとても親切!子供の浴衣が少し小さめだけどとくに替えなくてもいいかなと思っていたら、従業員の方が『あら?少し小さかったかな?もう少し大きいものもあるので今持ってきてみますね!』と声をかけてくれました。また利用してみたいです」。この時に担当していたスタッフは、自分で考えて行動したことがお客様に評価されたことに対して非常に喜んでおり、その後の成長にも目を見張るものがあります。これこそが従業員満足です。逆説的ですが、お客様に評価されて自分が満足するためにはどのようなことができるかを考えながら接客することが、結果的に顧客満足につながるのです。

 
それでは今よりもお客様に評価されるためにはどうしたら良いでしょうか。それは、接客の質と量を高めることです。接客の質を上げることはこれまでのコラムでも繰り返し伝えているので、今回は量を増やすことに注目したいと思います。

 
旅館では縦割業務が常識ですが、係にとらわれず横断的に仕事をすることで接客の量を増やすことができます。例えば、予約スタッフが客室清掃や客室案内、料理の盛り付けをします。これまでお客様とのやり取りは電話とメールだけだったとすると、接客場面が圧倒的に増えることになります。前回コラムで「電話対応は商品やサービスそのものではなく、『問い合わせ』や『手配』である場合が多く、お客様評価の対象となりにくい」とお伝えした通り、そもそもお客様から評価を得にくいのが予約係です。自分が清掃した客室に案内したときに「綺麗なお部屋!」と感激されたり、自分の盛り付けた料理を提供したときに「素敵な盛り付け」と褒められたりすれば、その予約係は満足し、また喜んでいただける接客をしようと思うはずです。

 
おもてなし強化において、顧客満足への取り組みと併せて、従業員満足も意識してみてはいかがでしょうか。一見遠回りなようですが、意外と近道かもしれません。

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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『おもてなし接客術』⑨―電話でのおもてなし

Posted on 2014-10-11

旬刊旅行新聞10月11日に掲載されたコラム『おもてなし接客術』⑨です。
「電話でのおもてなし」



パッケージ旅行や航空券、宿泊等の旅行商品も、インターネット販売が主流になってきていますが、電話での問い合わせや予約比率は依然として高いのではないでしょうか。お客様はネットでははっきり分からず不安な点を、電話確認して安心してから商品を購入したいと思っています。
 
このようなお客様からの問い合わせに対して皆さんはきちんとした回答や説明ができていますでしょうか?
 
私の研修講師としての経験はもちろんのこと、お客としての経験を踏まえてみても、多くのスタッフが自社の商品をよく理解していないまま電話対応をしているようです。
 
これまでに実際に体験した旅館での対応事例を挙げると、ネットで販売されている「スタンダードプラン」と「グレードアッププラン」の違いを質問すると、「料理の品数が違います」との回答で、具体的な食材を聞くと即答できずに保留をされてしまったり。また、旅館までの交通案内の説明を受けた際に、「○○駅からバスにお乗りください」と言うので、○○駅の何口(南口や北口など)に降りたら良いか質問すると、「ええと……」と困り果ててしまわれたことがありました。
 
これではあまりにも自社や商品に対する興味・関心が見えませんし、旅館のスタッフとして責任が無さ過ぎます。何よりこのような情けない対応しかできないスタッフに当たってしまったお客様が可哀想です。
 
前回の本コラム「第一印象とその後の評価」では、第一印象がその後の評価に与える影響は非常に大きいとお伝えしました。電話こそお客様との初めての接点であることが多く、失敗が許されない場面です。また冒頭でもお伝えした通り、お客様は不安を取り除きたいがために電話してきているのであって、そこでの対応さえも不安に感じられれば、他へ逃げてしまうのが常です。かく言う私も過去に泊まろうとしていた宿の電話対応が気に入らず、別の宿を手配した経験があります。
 
このように、電話対応は、改善しないデメリットが大きいにもかかわらず、あまり重視されないという現実があります。現に、弊社への研修依頼のご相談内容を見ても、料理提供や客室案内、チェックイン&アウト対応などの研修と比較して、電話対応の研修案件は少ない傾向です。
理由は明確で、電話は商品やサービスそのものではなく、商品やサービスに関する「問い合わせ」や「手配」である場合が多く、クチコミやアンケートの評価の対象となりにくいためです。
 
お客様に指摘される機会が圧倒的に少ないので、自分たちで問題意識を持って見直さない限り、なかなか改善しようと思われないようです。皆さんや自社のスタッフが正しい知識を持ち、お客様の期待に応えられる電話対応ができているか、いま一度確認してみることをおすすめします

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『おもてなし接客術』⑧―第一印象とその後の評価

Posted on 2014-08-11

旬刊旅行新聞8月11日に掲載されたコラム『おもてなし接客術』⑧です。
「第一印象とその後の評価」



接客業に携わっている方ならおそらく誰もが耳にしたことのある「第一印象」について紹介しようと思います。
 
第一印象といえば、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンの研究結果を意訳した「メラビアンの法則」を思い浮かべる方も多いかもしれません。第一印象を決定付ける要素として最も大きい割合を占めるのが視覚から入ってくる情報であるというものです。第一印象を良くするためには、身だしなみや表情、動作、視線などが大切だと言われます。
 
私は日ごろ研修で、第一印象の話をするときには、このメラビアンの法則を紹介するのとともに、なぜ第一印象を良くしなければいけないのか、第一印象を良くすることのメリットや重要性を理由付けて説明するようにしています。
 
第一印象を良くすると、皆さんや皆さんの働く会社にとって次のようなメリットがあります。第一印象を良くすれば、お客様は安心し、その後良いところばかりを探してくれるようになります。反対に第一印象を悪くすると、お客様は不安に思い、悪いところばかりに目が行くようになり粗探しをし始めます。
 
具体的には、第一印象が良ければ、その後の接客や商品・サービスで良い部分を見つけては「ほらね、やっぱり思った通り」という評価をします。反対に、悪い部分を見つけたときには「まぁこういうこともあるよね」という評価をします。
 
一方、第一印象が悪ければ真逆のことが起こってしまいます。悪い部分を見つけては「ほらね、やっぱり思った通り」という評価をし、良い部分を見つけたとしても「まぁこういうこともあるよね」という評価をするのです。
 
このことは、私が旅館の視察に行く経験のなかで導き出したものです。視察で旅館に泊まりに行くときには、電話で予約を入れるようにしていますが、そのときの印象(第一印象)によって滞在前の期待値も、滞在中の評価の仕方もまったく異なることに気が付きました。旅館のスタッフと初めて接点を持った時に抱く印象は、その後の評価を大きく左右するということです。
 
それではなぜお客様はこのような行動をとるのでしょうか。お客様は、自分が最初にした判断が正しいということを理由付けしたいためです。最初にした判断の根拠探しをするように脳が勝手に働くようになっているようです。
 
第一印象とはその字の通り、最初に接点を持った時点で決まるものです。また、その第一印象は、付き合いが深まって相手のことを良く知るようになるなど、その印象を覆すほどのことが無い限りは、そのまま皆さんや会社の印象として定着してしまいます。

お客様に不安を与えたり、皆さんや会社の評価を下げたりすることの無いよう、第一印象を大事にしていただきたいと思います。

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『おもてなし接客術』⑦―スタッフへもおもてなしを

Posted on 2014-06-11

旬刊旅行新聞6月11日に掲載されたコラム『おもてなし接客術』⑦です。
「スタッフへもおもてなしを」



スタッフ同士の情報伝達不足がお客様に迷惑をかけてしまうことは皆さんご承知の通りですが、いくら情報を伝達していても、情報を正確に伝えることができないと、かえって“何もしない方が良かった”という結果を招くことがあります。
 
家族旅行で飛行機に乗っていたときの出来事です。その飛行機の座席は2列、3列、2列の配置でした。私たちは通路に挟まれた3列シートに家族3人で座っていました。
 
しばらくすると、ドリンクサービスが始まり、私たちから見て左側通路の客室乗務員の方が先に到着し、左側の席に座っている主人と真ん中の席に座っている娘に「お飲み物は何になさいますか?」と声をかけてドリンクを提供してくださいました。右側に座っている私は右側通路の乗務員さんから提供を受けるのが通例なので、左側通路の乗務員さんは私にはドリンクを聞いてきませんでしたし、間もなく到着する右側通路の乗務員さんを待っていました。
 
右側通路の乗務員さんが到着すると、間もなくドリンクを出し終える左側通路の乗務員さんが「こちらのお客様はドリンクをうかがっています」と右側通路の乗務員さんに口頭で伝えました。右側の乗務員さんは笑顔で「かしこまりました」と答えると、なぜかワゴンを持って引き返してしまいました。当初、何か足りなくなったドリンクを補充しに行くのかと思い、戻ってくるのを待っていたのですが、一向に戻って来る気配がありません。そこで乗務員さん同士でミスコミュニケーションがあったことを確信しました。
 
先ほどの左側通路の乗務員さんが発した言葉で、私たちはもちろん「こちらのお客様=主人と娘」のことだと捉えていたのですが、右側通路の乗務員さんは「こちらのお客様=私たち家族全員」と認識していたのです。
 
スタッフ同士で連携をとろうとして口にした“一言”がかえって仇となってしまったのです。その当時体調が優れず、早く水分を摂りたかった私の立場からすると“その一言”が余計でした。
 
本来、左側通路の乗務員さんが右側通路の乗務員さんに、「女性のお客様にはお飲み物をうかがってください」など、情報伝達した意図をはっきりさせるために“もう一言”付け加えるべきでした。スタッフに対するおもてなしの心が欠けていたがために起こってしまった出来事です。ドリンクサービスだからこの程度の問題で済んだものの、緊急時だったら取り返しのつかないことが起こっていたかもしれません。医療の現場なら医療ミスが起きているところです(当時具合が悪かったためかこのような事を考えてしまいました)。
 
おもてなし接客を実現し、顧客満足を獲得するためには、お客様にだけでなく、スタッフに対するおもてなしの気持ちも忘れないようにしたいものです。

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おもてなし接客術⑥―評価されるおもてなし

Posted on 2014-03-21

旬刊旅行新聞3月21日に掲載されたコラム『おもてなし接客術』⑥です。
「評価されるおもてなし」



先日、旅行新聞新社主催の「第11回『もてなしの達人』、第12回『優秀バスガイド』、第1回『優秀バスドライバー』表彰式」にお招きいただき、“おもてなし”について講演する機会をいただきました。
 
「今はおもてなしができないと務まりません!」と、力強くおもてなしの重要性を説いていたのは、なんとバスドライバーの方だったりと、流石は表彰された方々です。とても意識の高い方ばかりでした。
 
式の目玉は、優秀バスガイドによる「1分間ガイド」。その名の通り、受賞者が1分間のバスガイドをするというものです。皆アナウンサーのようなはっきりとした美しい声で、方言を使ったり、歌を歌ったりしながら各地域を紹介されていて大変盛り上がっていました。
 
式次第には推薦理由が掲載されており、「笑顔が良い」とか「心配りができる」などといったことが数多く挙げられていました。その中から、印象的だった2つの理由を紹介したいと思います。
1つは、「自分のホテルだけでなく町の復興も考えている」ということ。もう1つは「知識が豊富」ということです。
 
ホテルだけでなく町の復興も考えているという理由からは、「自分のホテルや旅館さえ良ければそれで良い」「地域には興味や関心がない」という姿勢はマイナスに働くということがわかります。
 
「接客中にそんな態度取らないのでは?」と思われるかもしれませんが、それでは「接客中に地域に対する興味や関心を示せていますか?」と問えば、果たしてどうでしょうか。今回の受賞者の推薦理由となるくらいですから、お客様に地域に対する興味や関心を示すことは、スタッフの好感度を上げる1つの要素となるのです。
 
例えば、お客様におすすめの観光地を聞かれて「あまりこの辺りにおすすめできる観光地はないんですよ」などと答えてしまうと、お客様にマイナスの印象を与えてしまいます。お客様が自ら選んで足を運んだ地域ですので、地域の人がその地域のことを大切にしている姿勢はお客様にとってもうれしいはずです。
 
次に、「知識が豊富」という推薦理由からは、笑顔や心配りができて“感じが良い”だけでは不十分で、知識も備えていないとお客様は満足されないということがわかります。「へぇ~知らなかった!」という案内ができるバスガイドの評価は高くなるものです。これは旅館やホテルのスタッフにも当てはまる
ことで、「とても感じの良い人だな」と感心しても、料理や観光に対する質問をすると的外れな答えが返ってきて残念に思うことがあります。
 
受賞者の皆様には、このような推薦理由と私の拙い講演にも触れて、お客様が望む対応をしてこその“おもてなし”を実感していただけたのならうれしく思います。

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