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『GoTo2.0』と観光分野の「ワクチン・検査パッケージ」に関する技術実証

Posted on 2021-10-11

第100代内閣総理大臣が岸田文雄氏に決まり、コロナで冷え込んだ消費マインドを回復させようと「GoTo2.0」プランが示されています。

緊急事態宣言が明けた今、「リベンジ消費」が期待されています。
コロナにより旅行の予定が立てられなかったり飲み会が中止になったり、自粛生活を強いられました。そのリベンジとして本来使われるはずであった多額のお金が、これからスピード感を伴い使われるようになるという見方です。

「GoTo2.0」がこのリベンジ消費を後押しする刺激策となるのは容易に想像がつき、日本経済の急回復を期待する人は少なくないでしょう。

この「GoTo2.0」プランですが、以下の5点が挙げられています。

1.ワクチンの接種証明や検査の陰性証明の提示で割引率アップ
2.クーポン券のデジタル化
3.中小の旅館や旅行会社への割引率優遇
4.平日利用の促進
5.公共交通機関運営会社への配慮
 ※4.5.に至っては、今回国土交通大臣となった斉藤鉄夫氏のインタビューによるものです。斉藤氏はお名前に違わず鉄ちゃんだそうでして、5.への動きは加速するのでは…と個人的には考えています。

GoToトラベルリスタートは、早ければ11月か?との報道もありましたが、上記5つの方針については、衆院選後に決まるとのことですし、新たなルールでの運営側・受け入れ側の準備期間が必要ですから現実的でないと考えております。

さて、「1.ワクチンの接種証明や検査の陰性証明の提示で割引率」に関しては、早速観光庁で
【観光分野における「ワクチン・検査パッケージ」に関する技術実証を実施します!~対象案件を選定~】
https://www.mlit.go.jp/kankocho/news08_000344.html
が掲載されていました。

―――
旅行会社が実施するツアーや宿泊施設を対象に、感染防止対策を継続した上で、ワクチン接種歴の確認や事前の検査のオペレーション等を検証することとしています。
―――
との記載があり、今回は10月~11月上旬に催行予定11社38本のツアーが選定されました。そのうち阪急交通社は9本、読売旅行は7本のツアーが対象案件となっており、それぞれ以下の特集ページが存在しています。

―――
阪急交通社「新型コロナウイルスワクチン2回接種済またはPCR検査陰性の方参加者限定ツアー」
https://www.hankyu-travel.com/kokunai/vaccination/

読売旅行「ワクチン・検査パッケージ」ツアー
https://www.yomiuri-ryokou.co.jp/kokunai/pcr/

<ツアー参加の条件>
1.新型コロナワクチンを2回接種し、2回目の接種から出発日前日までに14日以上(アストラゼネカは15日以上)経過していることが必要です。
2.出発日の3日前以降に採取した検体によるPCR検査または抗原定量検査の結果が、陰性であることが必要です。
―――

何れも、上記の1か2を満たすことがツアー条件となっているだけで、現時点では特典や割引等が設けられているわけではありません。添乗員含めたツアーの参加者は「新型コロナの感染リスクが低い」ことが保証されるだけの商品です。
このような【“外部との接触あり”の半バブル方式(?)】が、ツアー参加者へのツアー参加への動機づけ、価値訴求となっているのでしょうが、ツアーで利用する施設のスタッフに①や②が保証されているわけではない点が面白いところです。

阪急交通社は、「利用予定施設(宿泊、食事、観光、お土産店など)は、新型コロナウイルスワクチン2回接種済みまたはPCR検査陰性を確約するものではございません。予めご了承ください。」との記述。

日本旅行は、「※添乗員およびバス乗務員も、ワクチン 2 回接種済か検査陰性を確認し、業務に就いています。ツアー中に利用する宿泊施設や食事場所、観光施設等については、当社の感染防止対策の基準を満たすことを確認しています。」と記すに留まっています。

当然ツアーで利用する施設で働くスタッフを対象にするとおびただしい人数が調査対象となり、確認するのも困難です。ワクチンを接種しない人については、事実上連日PCR検査をしないと働けなくなってしまいます。

今後施設側に1.や2.の条件を求めるか否かは、今回の結果次第ということになるのでしょう。
今回の実証実験後に、旅行事業者と参加者にアンケートを取るということですから、万が一ツアー参加者に感染者が出てしまえば、「GoTo2.0」では自ずと施設側にも1.や2.の条件が求められるのではないかと推測されます。


何れにしろ、岸田首相が当選前から提言している「GoTo2.0」です。
以前と同じルールでGoToトラベルキャンペーンが再開することはまず有り得ないでしょうから、またゼロから新ルールを理解するという心積もりでいた方が良いかもしれません。

旅行割引をし、地域クーポンを発行する旅行業・宿泊業、地域クーポンの利用対象施設となるあらゆる産業界からは早期のスタートだけでなく、早期のルール制定も求められています。

 

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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総裁選候補者の観光振興策 ~自民党総裁選 国民の声に応える政策討論会~

Posted on 2021-09-27

投開票を9月29日(水)控えた自民党総裁選。

9月25日(土)に、候補者が国民から直接質問を受け付けるオンライン形式の【自民党総裁選 国民の声に応える政策討論会】が初めて開催されました。

その様子がYouTubeにも挙がっていましたので、主に観光振興についての質問について各候補者が掲げる政策を調べておりました。
https://youtu.be/h2QzWFT-Mvk

観光振興に関する話題は、1時間3分~28分頃、1時間35分~42分頃に触れられています。

主な質問は以下の5点です。

1.コロナ後の観光振興について
2.富裕層観光の誘致について
3.GoToトラベル再開後の感染拡大の懸念について
4.アフターコロナを迎える前の、今やるべき観光振興策は?
5.疲弊している地域の立て直しは観光振興で実現できるのか。外国人観光客増加による弊害等、ネガティブな側面にどう対処するか。

各候補者の各質問への回答は下記にまとめておりますが、現状の日本の観光業界に強い方はいらっしゃらないのかな、という印象でした。質問に対する回答ができずにはぐらかしていることが多いのも良くわかります。

その一方で、
・コロナ後の観光振興について、「旧来のGoToトラベルをバージョンアップさせ、ワクチンパスポート、陰性証明を条件にプレミアム率を上げる、中小、 小規模店のプレミアム率を上げる」という岸田さん
・コロナ後の観光振興について、「小人数、お一人様観光に選ばれるような宿の改築にお金を支援していきたい。」という高市さん
・富裕層誘致に対して、「スーパーヨット、プライべートジェットがスムーズに行き来できるようなインフラ整備が必要」という野田さん
・富裕層誘致に対して「関税の保税ルールを替えて、保税地域でオークションをできるようにしたい」いう河野さん
のような具体策が提示された回答には好感を持てました。

観光業界に非常に大きな影響力を持っている二階氏の動向も気になるところですが、各候補者が総裁になった際には、日本の観光振興を少しでも実現するために今回の政策討論会での発言事項、是非実行してほしいと願います。


※下記は上記YouTubeを見て、私が意訳したものであり各候補者の意向を正しく反映できていない場合があります。予めご了承ください。

■岸田氏
1. GoTo2.0を観光振興策としたい。ワクチンパスポート、陰性証明を条件に プレミアム率を上げる。
  前回のGoToトラベルでは、大型店、高級店に集中したため、中小、小規模 店のプレミアム率を上げる。
  地域共通クーポンのデジタル化をする。

2. そもそも日本の観光業は伸びしろが大きい。同じインバウンド客が滞在中に使うお金は、日本と米国とでは10倍近くの開きがある。例えば、日本で20万円消費する人は、米国では200万円消費する。この原因は、体験型の観光が日本には不十分であるとの指摘がある。
  日本には素晴らしい文化・芸術がある。地元広島でも空手の体験、体験漁業、和菓子作り等様々な種がある。まずはこの種を活用してから日本の観光の可能性を追求したい

3. GoToトラベルをバージョンアップした格好での再開を考えている。
  コロナは変異を繰り返す為、油断してはならない。社会全体が共存するためには無料や簡易の検査キットが簡単に入手できる体制を整える必要がある。
  旅行自体もどういう旅行の仕方をするのが安全なのかを考えること大事。

4. 実際人の行き来ができないなかでの観光は難しい部分がある。
  人の行き来ができるようになった時期に備えて、どういう情報を発信していくのかいまが大事な時期。
  様々なツールやソフトを作って情報を提供していく。地方都市の歴史・文化・伝統は海外にとって魅力があるので、きめ細かに発信していくことが大事。
 
5. 観光は期待が持てる大きな文化。
  観光を生かすためにも、受け皿である地域や社会そのもののを活力をつけ てから観光をのせていかないと魅力が発揮できない。
  地域・地方を考えた時に、デジタル田園都市構想を持っている。都市と地方の物理的な距離、時間的な距離をデジタルによって埋めることができないだろうか。ドローン宅配、自動運転、リモート医療、リモート教育で高齢者・若者にも魅力がある地方がつくれないだろうか。
  スマート農林水産業というような形で若者に希望を持ってもらいたい。
  地方をしっかりつくった上で、観光を載せて大いに発展させていきたい。


■高市氏
1. コロナが収束したら我慢していた需要が急に増える。
  その時までに事業がつぶれないように補正予算を成立させて支えたい。
  「長期滞在型、単価が高い、看板商品がある、受け入れ態勢が整備されている」こういった観光地が選ばれるようになる。
  小人数、お一人様観光に選ばれるような宿の改築にお金を支援していきたい。

2. コロナで訪日外国人9割減った。コロナが収束して富裕層をどう呼び込むかについて、韓国では富裕層に対しカジノ付のホテルでVIP待遇するホテルが増えているが、IRは時間が掛かる。
  富裕層という面では宇宙旅行も出てきている。日本でも日本の技術を活用した特にICT技術を使ったスペシャルな、あなたにしかできない体験が作れたら楽しいと思っている。

3. 国産の治療薬が皆さんに行き渡るまでは心配である。
  感染対策をして距離をとりながら経済を動かす必要がある。交付金を活用頂いている宿の感染防止対策は重要な対策。
  小人数の家族旅行、一人旅行に合うように宿の設備を変えることには、事業再構築補助金を拡大して取り組みたい。

4. いまだからこそ発信するチャンス。
  海外では日本のアニメや歌、映画が親しまれている為、ゆかりの地をアピールする方法がある。バーチャル体験が確立しているので発信していく。
  生産者やJAが協力して、国もお金を出して野菜や生産物のネット販売はいまがやりどき。
 
5. 日本の国内観光は5割減っている。インバウンドもウェルカムだが、まずは国内観光を大事にしたい。日本人が日本を知って、文化に触れ、いろんな地域の人と交流する質の高いものにしたい。
  海外客によってさまざまな問題が起きているが、海外客から見た日本は、マナーの良さ、清潔であること、お風呂の使い方等が高評価。こういった日本の強みを学んで帰ってもらいたい。


■野田氏
1. 政治の仕事の前には帝国ホテルに勤務しており、観光振興の担い手の1人 だった。
  都会にあっても観光にあっても伸びしろは沢山ある。
  GoToトラベルが経済に寄与しているのは事実。なるべく早くある程度の目途を付けて行動制限を解除してGoToトラベルを利用して多くの方たちがリベンジ消費・旅行することによって新たな経済を進めて行きたい。
  地方にとっても観光は新たな産業。これをしっかり育んでいくために、いまは一旦中断しているけれども新たな表示を作って旅行と観光を通じて人々の心が豊かになっていくよう取り組んでいきたい。

2. インバウンドの再開に当たっては、ある意味では経済を回している超富裕層、スーパーリッチの客層のマーケットが開拓されていない。
  日本の強みであるコアレベルな医療ツアーを実施したり、スーパーヨット、プライべートジェットがスムーズに行き来できるようなインフラ整備も必要。

3. 以前のGoToトラベルの時の状況とは異なり、今回は科学的にも医学的にも解決できる術があり、治療薬も出てきているといういまの日本の取り組みがある。
  経済困窮により命を落とすことがないようにしたい。
 
4. アニメは呼び込みのコンテンツになる。
 海外の日本食レストランで食べて美味しいから日本に来たくなるという流れも。
  日本酒の会の会長をしいており、輸出に限る酒造免許を去年から取り組んでいる。日本酒も日本に来るきっかけになると良いと思っている。
 
5. 観光を国の主要な施策に決めた時、先進国の中で観光産業が遅れている、一番稼げていないという状況で取り組んできた。
  少子高齢化で地方に残っている活力が少なくなっている、工場が他国に行ってしまったり、教育も都に集中して人材がいなくなっている。
  そこにしかない観光資源は魅力であり、賢く消費をしてもらう。
  岐阜県では労働力を必要としている、外国人との共存・共生でうまくやって行く。


■河野氏
1. コロナ後の日本人のリベンジ消費・リベンジトラベルがあってから、その後にインバウンドが始まってくる。
  これからの観光、キーワード「いまだけ、ここだけ、あなただけ」非日常を体験できるようなものになってくる。
  ワ―ケーションのような働き方、観光の楽しみも出てくる。
  外国人向けには外国人向けのマイナポータルのようなもの外国の方にも行政や民間のサービスが提供できるような仕組みをつくったらどうか。
  プロダクトアウトではなくマーケットインが必要。
 事例)徳島県では「阿波踊り・うず潮」をアウトプットしていたにもかかわらず、海外からの検索ワードは「サーフィン、サテライト移住、ゴミゼロであった。

2. シェフ同伴してスイートに月単位で泊まったり、瀬戸内海の離島を自分のヨットでクルージングしながら離島のホテルを巡るようなめぐる富裕層の方がいる。
  東京の迎賓館や京都の和風迎賓館 京都の由緒あるお寺を貸切にしてイベントをしてもらうのは現実に始まっている。
  外務大臣の時に東京競馬場に各国の大臣を招いて楽しんでもらった。
  関税の保税ルールを替えて、保税地域でオークションをできるようにした。できればアートバーゼルを東京に誘致したいと思っていて、非常に有望な市場の為しっかりやる。

3. 感染リスクデータを集めて分析する必要がある。
  感染、重症化してもキチンと治療できる体制が必要。
  経済を停滞させるわけには行かないので、どういうかたちで経済を進めて行くか、政府として説明をして国民の理解を頂きながら広めていきたい。

4. アバターを利用すればあたかも自分が行って観光しているような気分になれる。食材を送って日本食を味わってもらいながら、アフターコロナでは日本に来ていろんなことを楽しんでください、というメッセージにする。国だけでなく、地域や企業のにとっても大事な取り組み。

5. 観光産業は非常に大事になってくる。国内の観光需要もあるが、コロナをしっかり抑え込めればインバウンドを復活していきたい。
  富裕層をどう日本に来てもらうかは、アジアをはじめとして東京に2~3度来た後は、北海道や沖縄の日本の地方を味わいたいニーズもある。
  インバウンドを盛んにすることで日本全国に良い影響が出てくる。それだけで経済を取り戻せはしないが、大きな未来がある。地域で問題は起きているが、地域毎に対処していく必要があると考えている。

 

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ワクチンを条件としたコロナ行動規制緩和に期待

Posted on 2021-09-13

コロナ行動制限、10月以降緩和 ワクチン条件、段階的に―酒類提供、イベント開催
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021090800514&g=pol

ようやく長い長いトンネルの出口が見えてきたという状況です。

最近打合せをした首都圏の40代の方の話では、漸くワクチンの予約が取れて、9月20日頃に1回目の接種と仰っていたため、2回目は10月中旬頃になることを考えると実際はもう少し後ろ倒しになるのかなというのが個人的な見解です。

コロナによる行動制限が緩和されると、消費者は世間体を気にすることなく堂々と出掛けられるようになり、自粛中のストレスも緩和されるでしょう。
事業者側は商品やサービスを実質的に提供できる他、“間接的な被害”からも開放されるようになります。この“間接的な被害”から解放されるのは観光事業者にとって喜ばしいことだと思います。

先日伺ったご支援先(緊急事態宣言下の神奈川県)では、先月送ったメルマガに対し、「緊急事態宣言中に旅行に出かけるように煽るメールを送るとはどういうつもりだ!」という怒りの匿名メールが届きました。いわゆる自粛警察のようです。

旅行は移動が前提の消費行為である為、「不要不急の外出・移動の自粛」を言われてしまうと手も足も出ません。
そんな中でも感染防止対策をしっかりと講じながら営業しているにもかかわらず、批判の的になってしまうのは、観光事業者の皆様なら1度は経験したことがあると思います。

商品やサービスを実質的に提供でき無くなることは非常に苦しいことですが、金額が十分ではないにしろ、保証金や補助金は出ます。
一方で、自粛警察は非難したところで対象の観光事業者に少しもお金も落とさない上、その批判行為1つで観光事業者の気力を一気に失墜させる影響力を持つため、いつも「無責任だな」という印象を持ってしまう私です。

一方で、緊急事態宣言下だからとメルマガの配信を控えていた別のご支援先では、リピーターのお客様に「こんな時なんだからしっかり宣伝しないとダメ。
宿からのメルマガが旅行に出る後押しになるのだから休まずに続けなさい!」と説教されたというのですから、まさに賛否両論とはこのことを指します。

行動制限が緩和されれば、自粛警察の主張が通らなくなりその雑念に囚われることなく営業ができるようになるため、取り巻く環境が随分と良くなるのではないでしょうか。

来る今月末の自民党総裁選で菅総理から新総理にバトンが引き継がれることになりますが、このコロナの行動制限緩和案は是非継続して実行されることを期待したいです。


さて、仮に行動制限緩和案が実現すれば、ワクチン接種済者が優遇される状況がしばらく続くものと考えられます。大勢が集まるイベントには参加する資格が得られなかったり、場所によってはアルコール飲料の提供に差が出ることもあるかも知れません。また、各自治体主導で割引優待等の優遇措置が取られることにもなるでしょう。

あくまで私の知る範囲ではありますが、同じ場所と空間を共有していてもワクチン接種済者は陰性、未接種者は陽性というケースが多発しています。
このことを目の当たりにすると、ワクチン接種が効果絶大であることを思い知らされます。
そういったことを鑑みてのワクチン接種を条件とするのが感染予防策であり、ワクチン接種を促す優遇措置なのでしょう。

そうすると、今度はワクチンを打てない&打たないという選択をした方からの批判が観光事業者に浴びせられることになるというのが容易に想像できます。
併せて、ワクチン接種済者から「なぜ未接種の人を受け入れるのか?」という批判が出ることも想定内です。

ただし、日本でのワクチン接種は任意ですので、ワクチン未接種者を批判する理由はありません。

彼らから「なぜワクチン接種済者を優遇するのか?未接種者は歓迎しないのか?」
等と聞かれた場合に、観光事業者は“企業としての統一回答”を用意しておくと安心です。

性悪説に立った物の見方で恐縮ですが、多様性を受け入れるか否かに関連付けられるデリケートな問題であるがゆえに、通話(会話)記録を録音されてSNSで公開され炎上というリスクがある為、慎重な回答が求められます。

例えば、ワクチン未接種の方からの質問には、
「国(自治体)の方針に則った対応をしております。但し、当館としましてはワクチン未接種の方でも感染症対策を徹底していただければもちろん歓迎いたします」
とか、ワクチン接種済者の方からの質問には、
「ワクチン接種は義務ではないため、当館から強制することは出来ません。但し、当館としましてはワクチン接種が普及する以前よりも増して感染症対 策を徹底しておりますのでどうかご安心してご滞在くださいませ」
等、どちらの立場の方も否定をしない、どちら側に立っても不快な思いを極力させなくて済む回答を用意しておくことをお勧めします。


兎にも角にも、行動制限緩和が進み、遅くとも今年度中には旅行をはじめとするレジャー産業界に盛り返しの兆しが見えることを期待したいです。

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中小企業にもSDGsを浸透させるためには

Posted on 2021-08-30

先週、「小売り・外食に脱プラ迫る 政府が削減12品目公表」というニュースがありました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA2317X0T20C21A8000000/

年5トン以上使う大手事業者が対象とのことですが、事例として挙げられている事業者の中にはホテルも含まれており、対象製品には「ヘアブラシ・クシ・カミソリ・歯ブラシ・シャワーキャップ」があります。

事業が取り組むべき対策としては、【提供方法】と【製品の工夫】に分けられています。

【提供方法】には5種類あり、
・有料化
・断った場合にポイント還元
・繰り返し使える製品の提供
・消費者への意思確認
・回収し再利用

【製品の工夫】には2種類あり、
・軽量化や代替製品への切り替え
・商品やサービスに見合った大きさの製品の提供

今後、大手の宿泊施設はこれまでのように無条件に客室や脱衣場にプラスチック由来の「ヘアブラシ・クシ・カミソリ・歯ブラシ・シャワーキャップ」を設置しておくというオペレーションができなくなります。

また宿泊業界においては、グーグルマイビジネス内のホテルのアトリビューションに、【持続可能性】というカテゴリが追加され、企業の『・エネルギー効率/・水の保全/・廃棄物の削減/・持続可能な調達』についての取り組みの有無についてチェック項目が設けられるようになり、SDGsの波が押し寄せていることを実感します。


この動きは、2020年10月に菅首相が2050年カーボンニュートラルを宣言したこと、元を辿れば2015年国連総会でSDGsが採択されたことに端を発するものです。

最近では、企業が上場した途端、SDGsやESGの部署の発足が求められ、投資を受けるための必要最低限の条件として、環境や社会、ガバナンスに持続可能性を求めていかなければならないようになっています。

近年SDGsという言葉が浸透してきたものの、これまでは「ステークホルダーからの要求がある企業が取り組んでいるもの」とか「一部の意識の高い企業が取り組むもの」、「将来取り組み始めれば良いもの」というイメージがあったかと思いますが、ここ最近急速に行動が求められるようになってきていることを実感します。

いまは大企業が対象となっているものの、大手企業で浸透すると必然的に中小企業も追随する格好となり、遅かれ早かれ対応が迫られるようになるでしょう。
年間5トン以上使うか使わないかにかかわらず、中小企業も“費用削減につながる”という視点だけでも良いので、この流れに乗っていまのうちから取り組んでしまうのが良いかも知れません。

視点を変えれば、これらのホテルのアメニティを製造していた企業も業態転換等、何かしらの対策をして行かないと生き残っていけなくなります。


ところで先日、イマココラボが主催するカードゲーム『2030 SDGs』を受講してきました。

ニューヨーク国連本部でも行われたカードゲームで、「経済」「環境」「社会」のバロメーターの条件が整えばSDGsが掲げる17の指標にかかわるプロジェクトが実行できるようなり、そこでお金や時間を使ったり獲得したりして、次のプロジェクトを実行するというものです。

同じテーブルにいた方と意見交換して出た話としては、
・まず先に「経済」を成長させないと、「環境」的、「社会」的なプロジェクトが実行できない
ということでした。

カードゲームでも実感した通り、現実社会でも経済を成長させないと環境配慮や社会貢献をする余裕がないのは確かです。
言い換えれば、余剰資金が無い・利益が出ていない限りは、環境に配慮した割高な製品を導入することは出来ないし、トレーサビリティを意識した仕入れ等に手を出すことができません。

従って、中小零細企業にSDGsの働きかけを行うには、SDGsの取り組むを行えば融資条件が良くなるといった動機付けを行うことが効果的だと考えており、その点、滋賀銀行の「サステナビリティ・リンク・ローン」等の商品が好事例だと思います。
https://www.shigagin.com/company/catalog/

以前環境省のVTRで、滋賀銀行の頭取が「お金の流れで地球環境を守る」と仰っていたのが非常にしっくり来ており、その考え方が他の地銀にも浸透して行くと、日本の全企業数のうち99.7%を占める中小企業へもSDGsが浸透し、2050年カーボンニュートラルな日本・ひいては世界へと前進できるのではないかと考えるこの頃です。

 

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人を介さないデジタル化を推進するほど、高度な人材育成が必要になる

Posted on 2021-08-16

『スマホの付属アプリにホテルのチェックイン機能を搭載、ホテルの業務フロー がどう変わるかを考えた』
―――
アップルは2021年6月、同社のウォレットアプリに、ホテルのキーを格納する新機能を加える計画を明らかにした。モバイルでのチェックイン手続きが簡単になり、宿泊客にとっては大きな前進だ。
―――
https://www.travelvoice.jp/20210807-149319
より抜粋

最近のニュースでは上記のアップルの計画発表があった様に、宿泊業界でもデジタル化が進んでいます。

ひと昔前から遡れば、
・予約
・チェックイン
・ルームオーダー
・レストランオーダー
・混雑状況の可視化
・精算
・チェックアウト
等、場面によっての導入率の開きはあれど、あらゆる場面でのデジタル化が進んでいるのは皆様ご承知の通りです。

デジタル化をする主なメリットには以下のようなものがあります。

1.業務効率向上≒人件費の削減
2.待ち時間を極力無くすことができる≒単価が上がる
3.証拠が残る
4.間違え(人的ミス)を減らせる
5.クレーム(トラブル)を未然に防げる

オンライン予約は予約内容の証拠が残ります。
一方、電話予約の場合は、会話録音機能を導入していない限りは、口頭でのやり取りで何の証拠も残らないため、予約の齟齬が生じれば“言った言わない”のトラブルになるのが目に見えています。

チェックインも、例えばお客様のスマホがホテルのキーになれば、客室を間違えるというリスクが限りなくゼロになります。チェックイン処理のし忘れも無くなるでしょう。

ルームオーダーを内線電話ではなくデジタルでオーダーするようにすれば、注文内容が提供されるまでにかかる時間の短縮はできないかもしれませんが、注文するまでにかかる時間は限りなくゼロにすることができ、「お客様を待たせる」という行為を極力減らすことが可能となります。

従来は、“注文の電話対応に待たせる”リスクと“注文内容提供に待たせる”リスクという2つのリスクがありましたが、それを1つに減らすことができるのです。

またルームオーダーシステムをPMSと連動させておけば、従来のように、手書き伝票から手動で入力する手間を省くことができ、それに付随するヒューマンエラーを防ぐことができます。

レストランでのオーダーシステムもルームオーダー同様、「お客様を待たせる」場面を1つ少なくし、ヒューマンエラーを未然に防ぐことができます。併せて、オーダーのタイミングを気にしなくて済むことは単価向上にもつながります。例えばドリンクを頼みたい時になかなか注文できない状況が続くと食事とのタイミングも合わなくなり、『もういいや』と注文を断念するケースも出てきますが、タイミング良くオーダーできれば、プラス1杯の売り上げに繋がります。

特に今回の新型コロナウイルスの影響で導入が加速しましたが、混雑状況を可視化するシステムも、「お客様を待たせる」場面を減らすことに大いに貢献しています。
客室からレストランや大浴場等の混雑状況が把握できれば現地で苛立ちを募らせながら待つ必要が無く、空くまで客室で快適に過ごすことができるのです。

精算では、自動精算機や事前オンライン決済システムの導入が進んでいます。特に事前オンライン決済システムでは、滞在中に精算専用のURLが送られてきて、そこにアクセスして決済を完了させることができます。
従来はチェックアウト時間ギリギリまで滞在しようとすると、フロントの長蛇の列に並んだり、事前精算で朝の早い時間にフロントに立ち寄って会計を済まさねばなりませんでしたが、それが客室内から瞬時に精算を済ませることができるのです。
ここでもやはり「お客様を待たせる」場面を減らすことができます。

この自動精算機や事前オンライン決済の導入はホテル・旅館側の会計・経理業務の効率化にもなります。
オーダーシステムと連携されたPMSからは自動で料金明細が出力され、それが“人手を介さずに”精算されれば、現金チェックや仕分けの手間が大幅に削減されます。

チェックアウト処理も自動化されて、清掃スタッフに通知が行くようにすれば、即座にチェックアウト済の客室に清掃に入ることができ、業務時間の短縮に繋がることは言うまでもありません。


このように、デジタル化の恩恵は非常に大きく、導入費用やランニングコスト等の問題さえクリアできれば採り入れない手はありません。
対顧客視点では「待たせる」というクレームの温床となる行為を省いたり少なくすることができ、社内に目を向ければ業務効率な大幅な向上につながります。いまでこそ違いますが、万年人手不足に悩まされている宿泊業界においては少ない人手で効率良く運営できるという点だけでも十分価値があります。

“デジタル化”とは“人を介さないこと”と言い換えることができます。
皮肉にも、“人を介さないこと”でこれだけのメリットが生まれるのは紛れもない事実です。

しかしながら、この“人を介さないこと”でヒューマンエラーを限りなくゼロに近づけることが宿泊業界のロールモデルとされてもてはやされてしまうと、各宿泊施設の差別化が、立地(景色・景観)、施設、料理でしかなくなってしまい、接客やおもてなしの評価基準が脱落してしまうことになります。
宿泊特化型のホテルなら良いですが、特におもてなしを売りとする旅館には不相応です。

人を介さなければ、感動する接客体験等は生まれようがありません。
接客で差を付けるためには、スタッフを教育した上で、人を介す場面を設ける他ありません。

デジタル化を推進すればするほど、スタッフのスキルアップが求められます。
導入したシステムが上手く機能しないときにお客様はスタッフに質問するでしょうから、これまでアプリやシステム等に無縁だったスタッフでさえも少なくとも初期レベルの対応や説明ができる必要があります。

それに加えて旅館では、スタッフが今まで対応していたことの多くがデジタルに置き換わる分、いままで以上にスタッフがお客様に積極的にかかわり、おもてなし力やコンシェルジュ的役割を発揮する必要があるのは明らかで、そこまで体制を整えられてこそ、ホテルとの差別化ができ、選ばれる旅館になることができます。

人を介さないデジタル化をすればするほど、高度なスタッフ教育が必要になるというのは興味深いものです。

 

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