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2025年問題には、高齢者の“足”の配慮が必要

Posted on 2022-05-23

以下は、https://egolf.jp/column/47620/ の記事
「75歳を境にゴルフをプレーする人はガクンと減る」からの抜粋です。

―――
 「2025年問題」についての衝撃データが、ついに可視化されました。ゴルフ業界は急いで対策を立てる必要に迫られています。

 4月18日配信の「ゴルフ特信」(一季出版)が報じているものです。同紙はスポーツ庁の令和3年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」に回答した全2万人(18~79歳)のロー(生)データに着目。この1年間にゴルフ(コースでのラウンド)をした人1233人(ゴルフ特信のカウント)を1歳刻みで集計したところ、73歳が58件でトップ。70~74歳のいわゆる「団塊の世代」が含まれた層が、突出した巨大な山脈を形作りました。

 深刻なのは、75歳のところに出来た断崖絶壁です。後期高齢者となる75歳は20件と半分以下に激減。76歳以上は11、12、12、13件と79歳までどん底の数字が並びました。

 <中略>
 
 やはり「後期高齢者」の5文字は当事者に内外から大きな変化を迫る呼称であることは間違いありません。

 身内からはゴルフ場への“足”である運転免許証の返納を迫られ、年金生活で経済的な問題にも直面します。また自身の問題としては体力の低下を多くの人々が感じ始めるタイミングでもあります。
―――

2025年を迎えると日本の人口の年齢別比率が劇的に変化して「超高齢化社会」となります。社会構造、雇用、医療、福祉など、さまざまな分野に影響が出ることが必至で、2025年には約800万人いる団塊の世代が後期高齢者(75歳)となり、国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会となります。

先述の記事からすると、ゴルフ場にラウンドに出る年齢は73歳がピークで、75歳以降は劇的に減る。その理由は健康問題だけではなく、身内から運転免許証の返納を迫られる、という足の部分が無くなることも理由として挙げられていました。

『2025年』問題はゴルフ業界に限った話ではなく、観光業界にも当てはまる問題です。

インバウンド客が皆無の今、観光のメインターゲットは時間もお金もある国内のシニア客です。
シニア客ほど宿泊旅行仕様の大きな荷物を持っての移動が困難だったり面倒で、公共交通機関を利用するよりも、マイペースで気ままに回れるマイカーでの旅行が好まれます。
北海道や沖縄といった首都圏から遠くマイカーでの旅行ができないところでも、結局は空港や新幹線の駅からレンタカーをして旅行をする方が圧倒的でしょう。

それが、免許返納してしまうと、旅行で車を使うというこれまで当たり前であった選択肢が無くなってしまいます。
重い荷物を持って、公共交通機関の乗り換えをしたり、観光地を巡る位なら旅行をしない方がマシと考える高齢者は少なくありません。
自動運転車が出れば・・・という話題もありますが、日本で普及にはまだまだ時間が掛かるでしょう。

そうなるとパッケージツアーに参加するか、ドライバーとなる子供夫婦と一緒に旅行に行く等しないとならなくなりますが、これまで気の置けない間柄の夫婦や友人、もしくは一人旅で自由気ままなマイカー旅行を楽しんでいたシニア層にとっては窮屈に感じる方も多いはずです。

高齢者の運転は、いくらドライバー歴が長い方であっても、体力が落ち判断力も鈍り危険が伴いますので、団塊世代の免許返納には個人的には賛成です。
ちなみに警視庁のデータによると、令和3年の65歳以上の免許返納件数は約52万件で、なかでも70~74歳の返納件数は165千件あったことが分かっています。

団塊世代の旅行消費を止めないためには、高齢者の“足”への配慮が欠かせないことがわかります。

自治体レベルでは自治体内の高齢者に対して市営の交通機関の利用が無料になったり、タクシーの運賃割引や利用券を配布しているところもあるようですが、旅先に関する補助は聞いたことがありません。
都道府県をまたいだ旅行でも気軽にタクシーを使えるような制度が整えば、高齢者の旅行回数の維持・向上につながるでしょう。


コロナが落ち着きインバウンドが以前のように戻れば、国内の団塊世代が旅行しなくなることによって失った分を外国人旅行者で埋め合わせることが可能でしょうが、このような状態がいつまで続くかわかりませんし、一旦はコロナ以前のように戻ったとしてもまたいつ国境閉鎖のような事態になるかわかりません。

観光・旅行業界の市場規模を、国内だけでも賄えるような準備が求められるでしょう。

2025年を目前に控えた今、このような団塊世代誘致の策を観光地域レベルで取り組んでいく必要があると考えています。

 

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株式会社観光文化研究所 井川今日子

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G7の外国人観光客受け入れ状況

Posted on 2022-05-09

『外国人観光客、6月にも入国再開 まず団体客で政府検討 入国者数の上限引き上げ調整』
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA051360V00C22A5000000/?unlock=1
とのニュースがありました。

観光業界にとっては「ようやくか!」と息をつける喜ばしいニュースであることには間違いありません。

GoTo再開時期よりも前に入国再開時期の情報が流れるという恰好になりましたが、こちらの記事を見る限りは、

・2週間ほどの新型コロナウイルスの感染状況を見極めて、
・1日の入国人数を2万人に制限して、
・旅行会社の小規模団体旅行から再開
・入国者の待機期間が『不要』になるには、指定ワクチン(ファイザー、モデ ルナ等)の3回接種が条件(=中国製のワクチンがメインの中国は対象外)

とのことですので、FIT(海外個人旅行)客が入国できるようになるわけではありません。
以前のように街なかで中国人を中心とした外国人観光客を見かけるようになるまでにはもうしばらく時間が掛かる見込みです。

また、記事によれば「6月には他の主要7カ国(G7)並みに円滑な入国が可能となるようにさらに緩和していく」とのことです。

“他の主要7カ国(G7)並みに円滑な入国”がどのような状況を指すのか、日本を除くG7の日本からの渡航者や日本人に対する規制について最新情報を確認してみました。

■米国 入国条件あり/行動制限あり
 米国への入国(空路)に際しては、18歳以上の非移民である非米国市民に対し、ワクチン接種証明の提示が義務付けられる(一部免除あり。※)。
 また、ワクチン接種の有無にかかわらず、2歳以上の全ての旅客に対し、米国への「出発前1日以内」に取得した)新型コロナウイルス検査の陰性証明書が求められる。
 上記に加え、全ての渡航者に「宣誓書」の提出が求められる。

■ドイツ 入国制限あり
 日本からドイツへの入国は、欧州医薬品庁(EMA)によって承認されたワクチンの接種が完了してから14日間経過している者、ドイツ・EU加盟国・シェンゲン協定適用国国籍者及びその配偶者、並びに長期滞在許可所持者及びその配偶者等に限り許可する。ワクチン接種を完了していない場合は、ドイツ内務省が定める重要かつ必須な渡航理由を有していることを証明できる場合において、例外的に入国が可能となる
 
■英国 入国制限および入国条件・行動制限なし
 特に無し

■フランス 入国条件あり/行動制限あり
 日本からフランスに渡航する場合ワクチン接種済み(※)であれば、搭乗前の検査、到着時の検査及び到着後の隔離は不要。

 ワクチン未接種の場合は以下のいずれかが必要。
 ア 入国前72時間以内に実施したPCR検査又は入国前48時間以内に実施した抗原検査の陰性証明書
 イ 罹患した際に実施したPCR検査又は抗原検査の陽性証明書(陽性判明から11日以上経過しており、6か月以内のものであることが必要)

■イタリア 入国条件あり/行動制限あり
 新型コロナウイルス感染症の症状を発症していないことを条件に、イタリアへ入国するための公共交通機関に乗る際、デジタル又は紙のフォーマットで、以下の(ア)及び(イ)を提示すること。(ア)及び(イ)を提示すれば、入国後の5日間自己隔離は免除となる。

(ア)ワクチン接種証明書(※1)、治癒証明書(※2)又は陰性証明書(※3)
(イ)Passenger Locator Form(居所情報に関するデジタル又は紙のフォーマット)
 なお、上記(ア)を提示できない場合も、入国は認められるが、イタリア入国後、Passenger Locator Formに登録した住所で5日間自己隔離を実施し、隔離終了時にPCR検査又は抗原検査を受ける義務がある。ただし、6歳未満の幼児は、PCR検査及び抗原検査が免除される。

■カナダ 入国条件あり/行動制限あり
 新型コロナワクチンの接種を完了(※1。以下「ワクチン接種完了」という。)
 した渡航者は、入国時に、電子又は紙媒体でのワクチン接種証明書(翻訳を作成した場合は、原本も併せて携帯することが必要(※2))、渡航情報等必要事項を入力することにより表示される『ArriveCan』(※3)の受領証及びパスポート等を携行することにより、観光目的を含めカナダへの入国が認められる。

 参考)外務省 海外安全ホームページ 令和4年5月6日(午前6時更新)より
  https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html


このように、基本的にはワクチン接種が完了していれば、PCRや抗原検査の必要も、隔離期間も無く観光目的の入国が出来るようになっています。

翻って日本の入国制限です。
―――
外国人の新規入国については、原則として全ての国・地域からの新規入国を一時停止し、「特段の事情」がある場合に限り、新規入国を認めることとしているところ、下記(1)又は(2)の新規入国を申請する外国人については、日本国内に所在する受入責任者が、入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了した場合、「特段の事情」があるものとして、新規入国を原則として認めることとなります(観光目的は認められません。)。
(1)商用・就労等の目的の短期間の滞在(3月以下)の新規入国
(2)長期間の滞在の新規入国

参考)厚生労働省 外国人の新規入国制限の見直しについて
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00341.html
―――

と先述のG7各国と比較すると、雲泥の差があることがわかります。
第一には、観光客を受け入れている国と受け入れていない国 という大きな壁がありますし、G7並みの円滑な入国を達成するには撤廃すべき制限が沢山あるのでしょう。

日本国内の旅行状況をみると、先週の3年ぶりの行動制限のないGWを境に大分回復してきたように感じられますが、インバウンドに関してはゼロからの(むしろマイナスからの)スタートであることを改めて感じます。

日本の水際対策の規制緩和が進めば、外国人観光客は増え続けるでしょう。
特にいまの20年ぶりの円安・ドル高水準が続けば、日本を旅行先に選ぶ外国人観光客は少なく無く、国内の観光事業者にとっても外国人観光客がお金を落としてくれる絶好の機会でもあります。

インバウンド客が増えることは外貨獲得にも繋がり、日本の観光業界にとっても非常に喜ばしい事です。

しかしながら、恐らくは日本がG7並みの入国制限に至るには、規制緩和と規制強化を繰り返し徐々に慎重に進めて行くことが考えられます。
外国人観光客が入国するようになれば、新たな株の感染流行が進むことも考えられますし、マスク着用の義務すら撤廃されたような国からの観光客が、マスク着用が“義務”よりも“定着”している日本で滞在することで日本人とのハレーションが起こることも考えられます。

完全な海外からの個人旅行(FIT)の再開には一進一退を繰り返しながらの規制緩和が必要となるでしょう。

このことを踏まえながら、海外観光客の入国状況の動向に注意を払い、受け入れに態勢を整えながらも、やはり当面は国内観光客の集客に注力することが求めらそうです。

 

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従業員離職率を改善する“5つの場”づくり

Posted on 2022-04-25

「従業員が2名辞めることになりました」

先週ご支援先旅館の女将と打合せしていた時の話です。
従業員数の少ない小規模旅館の為、「2人もですか?」と驚いて尋ねると、従業員の2人が1ヶ月違いで辞めたいと言ってきたのだそうです。

急に言われても人繰りのこともある為、後から言ってきた方に「少し辞める時期を延期してもらえないか」と相談してみても「もう次が決まっているので無理です」との回答であった様です。

従業員の私生活においても面倒見の良い女将で、コロナ禍で休館も多く雇調金もしっかり出していたので、非常に落胆した話しぶりからは恐らく裏切られた気分だろうなと察する他ありませんでした。

去っていく従業員を嘆いても仕方ないので、今後について離職率を下げるにはどうしたらよいかという議題に移すことにしました。


ところで、従業員の離職率についてですが、いま大企業を中心に非財務情報を盛り込んだ統合報告書の作成が必要とされています。
ESGレポートとも言われ、企業が取り組むE(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)についての取り組み情報を盛り込んだレポートのことを差し、世界的にみれば投資家は財務情報と同じかそれ以上に非財務情報に重点を置き投資先を見定めると言います。

そのS(社会)の部分には、従業員に関する情報開示が求められており、離職率も企業が適正経営をしているかどうかの重要な判断材料の1つとなっています。

ホスピタリティ、レジャー業界の大手企業オリエンタルランド社のESG情報にも従業員関連データが報告されています。
 http://www.olc.co.jp/ja/sustainability/social/data.html

2019年と2020年とではコロナの影響を受ける前と正に受けている年で参考にしづらい指標ではありますが、オリエンタルランドの指標では2019年からデータの参照元に大幅な変更があった上、2019年以前の情報が少ないため、この2年を比較することとします。

■平均勤続年数
 2019年 10.8年 /2020年 9.8年

■離職率(定年退職は除く)
 2019年 1.11% /2020年 2.66%

■新卒入社者の定着状況、3年後定着率
 2019年時点 97.5% /2020年時点 90.9%

非常に特殊な2年の比較で、断片的な情報ではありますが、単純に数字を比較する限りでは、数字は悪化し従業員の定着が安定していないことが判ります。

なお、【厚生労働省 雇用動向調査 産業(大分類)別入職・離職率】の指標を見るとの宿泊業,飲食サービス業の離職率はワーストで
 2019年の33.6% /2020年 26.9%
という結果でした。こう見るとオリエンタルランドの離職率が悪化したとはいえ、優秀な数値であることが判ります。

オリエンタルランドでは従業員データに対して、どのような手を打っているかを示すものとして下記の指標を挙げています。

■研修時間(社員向け/1人当たり)
 2019年 13.5時間(20,000円) / 2020年 9時間(8,000円)

■企業風土とES(従業員満足)関連データ
・「I have アイデア」応募数
 2019年 1,479件 / 2020年 2,075件
・「スピリット・オブ・東京ディズニーリゾート」で交換されたメッセージ数
 2019年 475,497枚 / 2020年 未実施
・スピリット・アワード受賞者数
 2019年 522名 / 2020年 未実施
・「ファイブスター・プログラム」で上司からキャストに手渡されたカード数
 2019年 11,042枚 / 2020年 9,416枚
・サンクスデー参加者数(準社員/出演者)
 2019年 約17,000名 / 2020年 未実施
・サンクスデーキャスト役参加者数(役員、管理職、社員)
 2019年 約1,400名 / 2020年 未実施

企業風土とES(従業員満足)関連データについて、各項目の詳しい内容まではわかりませんが、
・従業員を教育する場
・従業員のアイデアを吸い上げる場
・従業員を表彰する場
・従業員が評価される場
・従業員を労う場
を整えていることが判ります。
(以前、ディズニーリゾートで働くスタッフの不遇さが「やりがい搾取」と 問題となったゆえに始まった取り組みかもしれません)

私もまさに従業員の会社へのエンゲージメント(会社への忠誠、自発的貢献)を高めるには上記の5つの場が必要であると考えています。


話を戻しますと、冒頭のご支援先の女将には、まずは従業員に日報もしくは週報を書いてもらい、それに対して女将や幹部社員がフィードバックすることをお勧めしました。

『好きの反対は嫌いではなく無関心』という言葉がありますように、従業員が働くモチベーションが湧かなくなるのは『誰も自分を評価してくれない』という状況です。
誰も自分を評価してくれない環境に身を置くと、従業員は『自分は果たして会社の役に立てているのか?、成長出来ているのか?』という疑念を抱くようになり、他の居場所を探すようになります。

日報を書いてそれに対するフィードバックをすれば、従業員を評価・教育し、従業員のアイデアを吸い上げることもできます。そうすることで従業員は会社の自分に対する関心を実感することができ、会社に貢献出来ていることや時には自分のアイデアや意見が通ることで、成長を実感できるようになります。

また、こちらのご支援先では夏休みを迎える前、丁度新たな従業員が入社することもあり、教育の場としての研修計画も立てています。

従業員を労うことは普段からなさっている女将ですので、これまで通り続けて頂き、今後は従業員を評価する場も作っていこうと考えているところです。


今回の事例のように従業員の離職率の高さに頭を悩ませている場合は、
 1.従業員を教育する場
 2.従業員が評価される場
 3.従業員を労う場
 4.従業員のアイデアを吸い上げる場
 5.従業員を表彰する場
という5つの場が作れているかどうかを振り返ってみることをお勧めします。

場(土壌)が作れてはいても、従業員に上手く伝わっていないことも多々ありますので、その場を改めて分かりやすい形にして提供してみてはいかがでしょうか。

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SDGs推進と注意したいグリーンウォッシュ

Posted on 2022-04-11

先日行った奄美大島の視察先で、特に環境面でSDGsを意識した取り組みをされていたので紹介します。

SDGsとは、既にご存じの方も多いと思いますが、簡単に言うと持続可能な開発目標で、差し当たっては2030年時点の目標設定およびその達成が求められています。

今回(今年4月)のプラスチック新法もその取り組みの1つです。

1945~2015年に生産されたプラスチックの総量は83億トンを超え、そのうち20億トンが使用中、残りの63億トンはゴミとなりました。
リサイクルや焼却に回されたのはわずか21%で、残りの79%は埋立もしくは自然環境へ流れています。
そのプラスチックは今でも大量に生産されており、2020年の年間の生産量は3.8億トンで全人類の体重に匹敵する重量とも言われています。
プラごみの海洋汚染を放置すると、2050年にはプラごみの重量が魚の重量を超えるなんて話も聞かれるようになりました。

脱プラの動きは、レジ袋有料化、プラストローの廃止等目に見える形で推進されるようになり、この4月からは宿泊施設で提供されるプラスチックアメニティの扱いや見直しも求められる段階に来ています。

このようにSDGsは良く環境問題と関連付けられることが多いですが、環境問題だけでなく「貧困をなくそう」とか、「全ての人に健康と福祉を」、「人や国の不平等をなくそう」といった目標もあり実に多岐にわたっています。


視察先1泊目の宿は、特にSDGsを謳っていた訳ではないのですが、エントランスを入るとすぐに頭上のTVモニターが目に入りました。
そこにはその宿泊施設の太陽光発電所の稼働状況が示されており、日射強度や気温、太陽光からの現在の発電電力、電力会社からの本日の発電電力量が確認できるようになっていました。
(宿の方にヒアリングすると、そもそも奄美大島は日照時間の少ないところでもあり、太陽光で宿泊施設の電力が賄えることは無いと仰っていました。)

客室に入ると、アメニティが環境配慮型のものになっており、それを知らせるPOP(恐らくアメニティメーカーが提供しているもの)が下記の通り設置されていました。
―――
「当館でご提供しているECOアメニティは、ポリプロピレン樹脂(PP)に天然の藁(わら)を配合する事で、プラスチック使用量を約40%削減しています。
『プラスチック使用量を低減する(REDUCE)』という方法で環境へ配慮した環境負荷低減アメニティです。
今後も環境保護活動に積極的に取り組んで参ります。」
―――


2泊目の宿泊施設も、特にSDGsを謳っていた訳ではないのですが、チェックイン対応が完全ペーパーレスで、タブレットに登録や署名をするというスタイルを取っていました。

客室には「客室清掃カード」という、連泊の場合の清掃の必要有無と希望時間を知らせるものが設置されていました。以下の必要な項目にチェックを入れる仕組みです。
―――
□ ゴミ回収
□ タオル回収
□ アメニティ補充
□ ベッドシーツ交換
□ ウェア交換
□ 洗面台清掃
□ トイレ清掃
□ 浴室清掃
□ その他リクエスト
―――


どちらの宿泊施設も環境への配慮が見られて好印象でした。

特に2泊目の宿泊施設は宿側のオペレーション面を考えても理想的で、ペーパーレスのチェックイン対応では、宿泊客が入力した内容がダイレクトに宿の顧客システムに入力されるでしょうから、宿スタッフが顧客システムに入力する手間も転記ミスも省けるでしょう。
また宿帳を保管するスペースや手間を省くことができるのも魅力的です。

また、客室清掃カードは「全てクリーンアップするというのが当たり前(基本型)」という既定概念を取り除くことにも役立ちますし、環境に優しいだけでなく、人材不足が常態化している宿泊業界にとっても望ましい取り組みと言えます。


しかしながら、その一方で、客室にはペットボトルの水や使い捨てのミニアメニティボトルやパウチ型のスキンケア用品が大量に置かれているのには違和感を感じました。
やっていることに一貫性が無く、消費者として「グリーンウォッシュ」という言葉が頭を過ぎりました。

別の話ですが、ご支援先のある地域で「町でのSDGs推進をPRするのに紙のパンフレットを印刷する」という話を聞いたときには開いた口が塞がらなかったのを覚えています。

グリーンウォッシュとは、環境に配慮したイメージを連想させる「グリーン」と、ごまかしや上辺だけという意味の「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた言葉で、環境に配慮しているように見せかけて、実態はそうではない状態であり、消費者に誤解を与えるようなことを指します。

いまはプラスチック新法がはじまって間も無く、丁度いまは過渡期ですので、在庫が終わるまでは提供するという宿側の事情は良く分かります。
その後にきちんと一貫性のある対応をするつもりがあるのかが重要になってきます。


1~2年前より全国の都道府県ではSDGs推進企業の募集を募っており、続々と企業が参画しています。また、最近出張に出ると、SDGsのバッジをスーツに付けて歩く方を多く見かけるようになりました。
今回のプラスチック新法を機に、脱プラ・減プラに取り組み、SDGsを推進する企業が急増していることを実感します。


SDGsをブームと捉え1つの側面ばかりに気を取られていると、それと矛盾した取り組みが目立つようになり、「あの企業はグリーンウォッシュだ」というレッテルが貼られてしまいます。
そうならないように、経営者だけでなくそこで働く従業員も正しく幅広い知識を付ける必要があると考えています。

 

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新入社員研修が全社員の士気が高める

Posted on 2022-03-28

3日間の新入社員研修と全体研修を担当しました。

プログラムは下記のような内容です。
■1日目 
(1)新入社員向け
 ・基本接客研修
 ・旅館の接客実務研修

■2日目
(1)新入社員向け
 ・呈茶研修
 ・和食器の扱い研修
 ・動画マニュアル視聴研修

(2)全社員向け
 ・コミュニケーション研修

(3)2年目社員向け
 ・SWOT分析研修
 ・通知表渡し

■3日目
(1)新入社員向け
 ・ロールプレイング研修

新入社員は、日本人だけではなく3ヶ国からの外国人がいらっしゃいました。
特に外国人スタッフは、日本文化や旅館特有の専門用語がよくわからない、旅館に泊まったことが無い、急須が何かわからない、正座ができないという中で日本人スタッフと同じ研修メニューを必至に取り組んでいてよく頑張っていらっしゃいました。初めて自分の淹れた煎茶を飲むという経験は感慨深いものがあった様です。

日本人も外国人スタッフも動画マニュアルを初めて見たあとは、動画のURLが欲しいと希望し、こちらが頼んだわけでもないにもかかわらず、各自が予習をした上で館内案内・客室案内のロールプレイングに臨みんでおり、非常に逞しく感じました。

いずれのスタッフも指摘を受ければすぐに直すという素直な性格で、今後の成長が非常に楽しみになりました。

全社員向けにはコミュニケーション研修を行い、お客様対応だけではなく、スタッフ同士のコミュニケーションを円滑にする上での、発信側と受信側のテクニックを紹介し、あらゆるテーマでの実践練習に取り組んでいただきました。
会話のキャッチボールを続けるためには、返事をするだけでなく1つ話題を付け加えること、そのためには勉強して知識を付ける必要があることをお伝えしました。

普段あまり会話をする機会のない他部署のスタッフと敢えてペアを組んで頂いたにもかかわらずどのペアも会話が盛り上がっていて、テクニックが実践できたようでした。

2年目社員向けには、SWOT分析に取り組んでいただきました。
実は昨年私が新入社員研修を担当した方々で、1年前と比較すると皆旅館の仕事が板につくようになっていて成長を感じました。中には既に顧客を持つ方や商品企画に携わった方もいて感心してしまいました。

これまで、2年目社員の方々には新入社員研修とフォロー研修を担当し、接客やコミュニケーションレベルを上げる内容が中心でしたが、2年目になるに際し少し視座を上げて頂きたいと思い、会社のポジショニングを意識し対策を考えて頂く機会を設けました。

SWOT分析という言葉すらご存じない方が多い中で、限られた時間内で自分の働く旅館の弱み・強みを抽出し、旅館が取り組むべき対策を考えて頂きました。商品開発から他店とのコラボレーションに至る迄様々なアイデアが飛び出しました。

また、1年間勤めたフィードバックとして通知表を作成しお渡ししました。
全25項目の評価項目を上司・先輩に評点してもらい、上司・先輩および同期からのコメント付きという内容です。
「自分の弱み・強みが良く分かった。強み・弱みも意識しながら今後も頑張りたい」との力強いコメントが寄せられ、これからの1年どう過ごすのかについて前向きに考えていただきました。


今回の研修を担当して感じたのは、新入社員が入り、新入社員がしっかりと研修を受けるという場面を目の当たりにすることで職場全体の雰囲気がグッと引き締まり初心に帰るきっかけになったのではないかということです。
どの部門のスタッフと話をしても新入社員のことを気に掛ける声が聞こえてきて、新入社員が入ってくるから「もっとしっかりしないと!」「働きやすい環境を整えないと!」「追い抜かれないようにしないと!」という気持ちが伝わってきました。

2020年以降、コロナ禍で集合研修を見送っている企業も多いと思いますが、ワクチン接種も進み、そろそろ県民割やGoToトラベル再開の話題が上るようになりました。
既存社員の士気を高め、2020年のGoToトラベルで盛り上がっていた繁忙期を思い出し、それに向けた準備を進める意味でも今年は新入社員研修や全体研修を実施してみてはいかがでしょうか。

研修に際しご相談があればお気軽にご連絡くださいませ。

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